2016/11/01

プロが伝授! ネコのかわいすぎる撮り方「6つのポイント」

SNSでできるだけ多くのシェアを獲得すべく、スマホカメラの撮影テクニックを探求するTSスマホカメラ部。今回のテーマは「いいね!」がもらいやすいテッパンネタ、"ネコ"を上手に撮る方法です。

ネコは澄ました顔でもヘン顔でも、肉球を撮るだけでも絵になるフォトジェニックな動物です。でも、人の言うことを聞いてくれません。ちょこちょこと動き回ったり、逆にまったく動いてくれなかったりと、気分屋のニャンコを撮影するのはなかなか難しいのです。

そこで今回は、『猫と楽しむニャンスタグラムのすすめ』(インプレス)の著者である写真家・浜村菜月さんの教えを乞うことにしました。取材場所は、「猫カフェMoCHA渋谷店」。まずは、浜村さんにお聞きした、ネコを撮影する際のポイントを紹介しましょう。

ネコを撮るときに覚えておきたいこと

1.考える前に、連写する

「ネコを撮るにはスピードがいちばん大事。シャッターチャンスがあればとにかくパパパッっと撮って、明るさや色みはあとで調整すればいいんです。インスタグラムは編集や加工の機能も優れているので、余計な部分をトリミング(切り出し)したり、ボカしたり、周辺の明るさを落としたりも簡単にできますから」(浜村菜月さん、以降同)

浜村さんがインスタグラムに投稿したまきゃべり(@machiavelli_y)くんの写真。動きのある複数の写真を並べて投稿するというのも、ひとつのテクですね(写真提供/浜村菜月 @machiavelli_y)

2.音やオモチャで目線をもらう

「聞きなれない音を鳴らすとパッとこっちを見るので、私はカサカサ音がなるおもちゃや鈴を鳴らしながら撮っています。家族に協力してもらえるなら、ネコの鳴き声を鳴らすアプリも使えますよ。とくに一頭飼いだと普段はほかのネコの声を聞かないから、鳴き声がすると『だれ? だれ?』みたいな感じでじっと様子をうかがうんです」

浜村さん手づくりの猫じゃらしを使って、目線をもらい中。この猫じゃらしは「meowonder」でオンライン通販しているそうです

3.照明はできるだけ明るく

「動き回るネコを撮るには、自然光を入れたり照明を増やしたりして、できるだけ部屋を明るくしましょう。そうすることでシャッタースピードが速くなり、ブレにくくなります。ただし、明るすぎるとネコの瞳孔は縦長になってしまいます。顔をアップにしてまん丸の瞳を撮りたいときには、暗めの部屋でブレないようにがんばるしかありません。ネコが落ち着いたときを狙って、床や壁にスマホを押しつけてブレないように撮影してみてください」

窓際の明るい場所で、筆者が撮った写真。たしかに、瞳孔が閉じて縦長になっています。これはこれでかわいいですけどね

4.カメラを下にすると、あおりやすい

「小さなネコを撮ると、どうしても上から見おろす構図になりがちです。それでもかわいいのですが、いろんな表情を撮るには、スマホを逆さまにしてカメラのレンズが下になるように持ってみましょう。動物は同じ目線の高さや見上げるような低い位置から撮ると、いつもと違った表情を引き出せて新鮮。上からのアングルでは見えにくい口元もよく見えます。ネコが見上げているときに下から撮ると、口がへの字に写るのでかわいいですよ」

これも筆者の撮影。上の写真とほぼ同じ位置でカメラを構えても、レンズを下にするだけで角度がこんなに変わりました

5.眠そうなときが、撮影のチャンス

「寝起きや食後はネコのまったりタイム。この時間は動作が緩慢で、言うことを聞いてくれやすいです。逆に、トイレの前後などはハイになって走り回るので、撮りにくいですね。ネコの生活サイクルにも気を配りましょう

動作が緩慢なときは、カメラの準備を。寝顔やあくびなど、いつもと違った表情が撮れます(写真提供/浜村菜月 @machiavelli_y)

6.引いた写真も撮って、構図にバリエーションを

「インスタグラムに投稿されているネコ写真を見ると、やはり画角いっぱいにネコが写った写真が多いです。そのなかで目立たせるなら、シチュエーションがわかるような、背景込みの写真も用意しましょう。あとからトリミングするにしても、引いた写真の方が便利です」

洗面台の上にちょこんと載ったまきゃべりくん。instagramjapanのアカウントに紹介されたこの写真には、296,000件の「いいね!」がついたそうです(写真提供/浜村菜月)
こちらは、浜村さんが取材中に猫カフェMoCHAで撮影した写真。同じスマホで、同じく初対面のネコなのに、筆者の写真と比べると差が歴然。かわいいだけでなく、ストーリーが感じられます(写真提供/浜村菜月)

ニャンスタグラムは、スピード勝負のドキュメンタリー

写真家の浜村菜月さん。ネコを飼い始めたのは1年前。まきゃべりくんが初めての愛猫だとか

実は浜村さん、女性ファッション誌をメインに活躍するプロの写真家であり、愛猫・まきゃべりくんの写真をアップし続ける"ニャンスタグラマー"(「ニャンスタグラム」は、ニャンコとインスタグラムをかけ合わせた造語)でもあります。スマホで撮影するときにも、やはりカメラマンならではのテクニックが生きているのでしょうか?

「うーん・・・・・・まきゃべりの写真は日常のヒトコマを撮っているので、本当にたわいのないシーンが多いんです。ネコってなにをしてもかわいいですから、技術よりも"被写体勝ち"みたいなところがありますね。一眼レフもときどきは使いますけど、カメラの性能よりも速さが大事。ネコが面白いポーズや突発的なアクションをしたらすぐに撮らないといけないので、必然的にスマホカメラを使うことが多くなります。それに、きれいな写真にいいね! がつくかというと、意外とそうでもなかったりして。ちょっとおかしかったり、つっこみたくなったりするような写真の方が、いいね! がつきやすいんですよね(笑)」

浜村菜月さんが運営するまきゃべりくん専用のインスタグラムアカウント「@machiavelli_y」

なんでも、昨年インスタグラムでもっとも多く使われた日本語のハッシュタグは、「#ねこ」「#猫」だったそうです。海外にも愛猫家は多いようで、「#cat」「#cats」「#catstagram」などのハッシュタグのほか、ネコ写真を紹介するまとめアカウントも多数。ネコ写真を愛でるというSNS文化は、世界共通なんですね。

「とにかくネコは見ているだけでもかわいいので、言葉の壁を簡単に超えちゃう(笑)。私の場合も、まきゃべりの写真が@instagramjapan@meowboxなどのまとめアカウントに紹介されたことで、フォロワーが急に増えました。今フォローしてくださっている方は、半分くらいが海外の方だと思います」

撮影者のアカウントとともに猫写真を紹介する「@meowbox」には世界中で63万人、「@cats_of_instagram」には700万人のフォロワーがいます

これだけ愛猫家が多いということは、ハッシュタグなどに投稿される写真の数も多いということ。そのなかで「いいね!」をもらうためには、ひときわ目立つだけの愛くるしさを写真に収め、見る人をキュンとさせなければなりません。

「でも、いいね! をもらわなきゃって考えると続けるのがつらくなってきますし、結局のところブレても背景がごちゃごちゃしていても、そのネコの魅力が伝われば成功なんですよね。ポーズや撮影場所など、いろいろと注文をつけたくなる気持ちは私もよくわかりますけど、たいていのネコは人の望みどおりに動いてはくれません。それに、心配しなくても、ネコを眺めているだけで"ああっ、この顔を撮りたい!"ってなる瞬間がいっぱいあります。ニャンスタグラムはヤラセではなくドキュメンタリーだと思って、気楽に臨むのがいいと思います」

文:T&S編集部
撮影:林 和也