2016/07/22
夏の花火をスマホで超絶キレイに撮影するコツとは?
写真を撮りまくることになる季節の到来である。ちょっと出かけると絶対撮るよね! 観光地とか海とか花火大会とか。人類はもしかしたら写真を撮るために夏のレジャーの内容を決めているのかもしれない......などという論考はここでは追究しない。が、恐ろしいことに、その三大怪獣が揃い踏みするイベントが開催されてしまったのだ。auとぴあが共同で手掛けるエンターテインメント情報サイト「uP!!!」による全国花火大会観覧席の招待企画。そのなかでも特に人気の高い、クルーズ船から花火が見られるという横浜・山下公園の花火大会である。※
※「uP!!! Presents 横浜花火クルーズ2016」会場にて、「AQUOS SERIE SHV34」を掲げるオッサンとオッサン。auスマートパス会員限定で割引(通常ペア30,000円→10,000円)を受けられ、ここから豪華クルーズ船マリーンルージュに乗り込む。ビュッフェで飲み食いしながら3,000発のダイナミックな花火を撮りまくるのである
7月の連休、呼び出されたので行ってみると、旧知のカメラマン・イナダペイがフィリピンの郷土料理の串焼きをかじりながら佇んでいた。断片的に知らされた情報を組み合わせると、どうやらカメラ機能が非常に優れた新スマホ「AQUOS SERIE SHV34」という機種を使って、ライターたるおれとカメラマンたるイナダペイとで、花火撮影対決をせよ、というのがテーマであることがなんとなくわかった。
なるほどなあ、とうなづき合うオッサン二人。その横を、次々と浴衣のカップルが通り過ぎていく。
「......浴衣モデルちゃん同士の対決にした方が良かったんじゃないのか」
「おれもそう思う」
オッサン1はライターであり、オッサン2はカメラマンである。仕事で一緒になることも多いが、役割分担ができているので、これまで「写真の撮り方」など聞いたことがなかった。しかし、今回は「スマホカメラ部特別編」である。オッサン1はオッサン2に尋ねてみた。
「なあなあ、どうしたら花火ってキレイに撮れるの?」
Q.どうすれば花火ってキレイに撮れるの?
A.その1 暗めに撮るべし。
下の写真をご参照あれ。さあ、どっちがキレイ? 上がキレイで、下はそうでもなくない? ここにははっきりとした撮り方の秘密があるのである。
夜空に打ち上げられる、ということを意識するあまり、なんとか明るく撮ろうとするのは間違い。花火には意外と光量があるので、あまりに明るくすると花火の火花が白っちゃけてしまう。ひいては煙が白く浮き上がってしまう。上下の作品を見比べると、上の写真ではきちんと花火の緑色やピンクが表現されている。一方、下の写真は横浜港に現れた巨大なエクトプラズムのようにしか見えない。「花火行ってきたよ! これ写真!」と、到底自慢できるものではない。
A.その2 地面や人を入れ込んで構図をつくる
花火を撮りながら、人とか背景とかが入っている上の写真に対して、まさに花火だけを潔く捉えた下の写真。さて、どっちがいいのかというと......。
上が構図のある例。下は構図のない例。下の写真、さっきとは違い、暗い背景にそこそこ青と白の色目が出ている......という点は評価できる。けれど、なぜ花火のどアップ!? どこのどういう花火なのかがこの写真からは一切伝わってこないのである。いわば、名所旧跡で記念写真を撮るのに、背景を何も入れず人物のどアップ写真を撮るがごとし。花火を撮る際は、どこのどういう花火なのかを、きちんと画面上で表現したい。背景にポートタワー、手前の海上に屋形船、そのさらに手前に観客を入れた上の写真は叙情も情報もバッチリだ。
A.その3 手ブレに気をつける
被写体が花火であろうとなかろうと、気をつけなければならないポイントである。当たり前すぎて見出しにするのが恥ずかしいほど。でありながら、意外に守れていないのがこれ。スマホカメラの性能を過信すると、結構ブレブレになるのである。で、結構ブレブレな写真は「ヘタクソさ」を突きつけられる感じがして、恥ずかしいのである。
左・稲田平/右・武田篤典=撮影(ともにAQUOS SERIE SHV34)
みなさんは写真を撮影しているカメラマンの姿を見たことがあるだろうか。何かというとすぐ三脚を使う。使えないシチュエーションだと、脇を締めてガッチガチにカメラを構える。この写真には写っていないが、カメラマン・イナダペイ、このスマホを手渡された瞬間に粘着テープを貼り付けて、取っ手のようなものを作成した。それほどブレないように細心の注意を払うのである。ということを踏まえて右の写真を見られたし。
上のイナダはスマホをがっちりと握り、手すりや壁にスマホを持った手を押し付けて、完全に固定している。片やおれは、片手でカジュアルに、人生舐めきったような態度で撮っている。仕上がりは言わずもがな。「ブレて斜めになっていること」を「味わい」と言い切ることができれば。右の写真もないではない。でも、ないよな......。ない。
A.その4 花火撮影モードに全力で頼る
......と、ここまで、オッサンカメラマンにオッサンライターが教えを請い、カメラ技術を習得しようと試みたわけだが、プロの壁は厚い。フツーに勝負していては勝ち目はないのである。で、秘策の登場だ。果たしてどうなったのかというと......。
どうよ! 花火の色もきちんと出つつ、背景をしっかり画像に収めて、会場で行われた花火大会であるということも伝えつつ、ブレてもいない! 完璧な花火写真である。じつは、まさに誂えたかのような「花火撮影モード」が、この「AQUOS SERIE SHV34」に搭載されているのである。
この花火撮影モードでは、露出やシャッタースピードをいい感じに調整してくれるだけでなく、夜空にスマホを向けておくだけで、花火が炸裂したタイミングで自動的にシャッターを切ってくれる。花火撮影の際にもっとも失敗する確率の高い、「シャッターを切るタイミング」をカメラがやりおおせてくれる。なにより、シャッターボタンを押す必要がないというのは、デカい。
というのも、夜空に向けてシャッターを切ると、その瞬間に手ブレが発生する。花火モードをONにしておけば、押す度にスマホが揺れる恐れがなくなるのである。しかも、花火を目視しなくても、花火の方向に向けておくだけで写真が撮れる。これだけのアドバンテージがあれば、プロフェッショナルフォトグラファー・イナダペイを凌駕できるような、できないような。
ちなみにプロカメラマンってスマホで撮ってもウマイの?(料理編)
花火に限らず、最近のスマホカメラの性能的には、どんなふうに撮ってもまあまあそこそこキレイに写る。なので、あとはセンスの問題なのである。たぶん。たとえば料理を前にしたとき、どうやって皿を配置して、どんな具合に撮影するか。マシンが技術を補ってくれるなら、アイデア次第で素人がプロに負けない写真を撮れるのではないか? ええ、撮ってみましたとも!
嗚呼、しまったーーーーッ! ビュッフェスタイルの料理をどう盛り付けて、どういうシチュエーションで撮るかで雌雄が決するというのに、武田篤典のほうは、ネタに走ってしまった。お皿に料理で顔を描く以上、真上から撮らないと絵にならない。で、こんな構図になってしまったわけだが......。
実は、AQUOS SERIEには「フレーミングアドバイザー」なる機能が搭載されているのである。様々な被写体に最適な構図を実線で画面上に表示してくれる。で、左の白線が「料理1」のフレーミング。皿の一部を画面からはみ出させることでポイントが絞れる撮り方らしい。おれの写真は、この構図に合わせなかったが、奇しくもイナダカメラマンの構図が、これにぴったりではないか! 期せずして、フレーミングアドバイザーの実力を示す結果となった。
ちなみにプロカメラマンってスマホで撮ってもウマイの?(人物編)
ここまで、「人物」といえばオッサン二人しか出てこない。周りには「横浜・山下公園で花火を見に来た」お洒落カップルたちが闊歩しているというのに! なので、イケてる浴衣の男女をキャッチ! ライターVSカメラマンで、デッキで撮影対決してみた。
おお! 途端に、夏休みの情報誌的なムードが漂い始めた! ああ、もっと早く撮っておけばよかったぜ......。
さてさてどうでしょう。上がカメラマン・イナダペイの写真、下がおれ、ライター・武田篤典の写真である。よくわからないが、イナダペイはマニュアルモードで、露出やシャッタースピードを細かく設定した上で撮影に臨んだ。一方のおれは、「おまかせオート」モードを選択して撮影しただけ。
あくまでもオートで撮ったので、そこにどんなマジックが働いたかは謎なのだが、おそらく、HDR(ハイダイナミックレンジ合成)。というヤツが効いているのではないかと推測される。HDRとは、レンズに入ってくるもっとも明るい光ともっとも暗い光を感知して、何枚かの写真を撮り、すべての箇所が明るく写るように合成する技術のことだ。どうすか? 上の写真と下の写真、なかなかいい勝負じゃないっすか?
かくしてTSスマホカメラ部 特別編は終了。あえて結果っぽいことをいうなら、「カメラ技術を持ったうえで、「AQUOS SERIE」で撮ると、たぶん最強。でも、カメラ技術がなくても、「AQUOS SERIE」があれば、そこそこ満足いく写真が撮れる。2016年夏の思い出は、オート機能にお任せ、といったところでいかがでしょうか?
文:武田篤典
写真:稲田平 vs. 武田篤典
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