2016/06/23
【検証】愚痴って稼げ! 『不満買取センター』アプリ、2週間試用レポ
「最近、Wi-Fiがつながりづらい」「家電量販店の接客がしつこかった」「近所のスーパーで店員がビニール袋をくれなかった」......など、誰しもが日常生活に小さな不満を感じることはあるはず。いま、それらを「お金」に換えてくれるという、夢のようなサービスがあるのをご存じだろうか。
その名も「不満買取センター」。2015年3月から提供を開始し、12月の時点で累計会員数約25万人を突破。雑誌・テレビでも話題のアプリとして取り上げられる注目のサービスだ。
一体、"不満をお金に換えられる"とは一体どういう仕組みなのか。サービスは、「不満買取センター」側がアプリに投稿された不満を買い取り、企業に対して「消費者の意見」という形で販売されることで成り立っている。不満投稿に使うアプリは登録無料で、パソコンとスマホの両方から利用できる。投稿の基本ルールは、まず1日24回制で受け付けている、毎時00分の募集時間に不満を投稿。買い取りはポイント制となっており、3営業日をまたいで不満の査定・買い取りが行われると、センターの"値付け"に応じたポイントを獲得。500ポイントから、Amazonギフト券に交換可能となる。
仕組みを理解したところで、実際にどのくらい稼げるのか? 筆者は2週間にわたり、プライベートと仕事の両面で抱いた不満で、徹底試用を行った。
不満ひとつで最大10ポイント。目指せAmazonギフト券!
前提として、「不満の買取は最小1pt、通常最大10pt、高価買収キャンペーンでは最大50pt」という取り決めがある。「キャンペーン」とは、不満アプリセンター側が、企業と連携して意図的に設けた、不満のお題を指す。
手始めに、「飲食店のメニューやコンビニ、スーパーでの税抜き表示」と投稿した。皆さんも、レジを通してから「高い!」と感じ、損をした気分になることがあるはず......! 結果、これは2ptの査定。のちにわかるのだが、これは検証中、自己最低の査定額となった。
続いて、旅行に行く際に感じたことで、「バスの設備への不満。席の幅が狭すぎる。後ろの人に気を遣って席を倒せないので、元から倒しておいてほしい」という投稿をしてみる。不満投稿時には、任意項目として、「業界カテゴリ」「業種カテゴリ」「会社・団体」「支店・店舗名」「不満の対象」といったカテゴリが用意されていたため、ここでは実験的に、すべてのカテゴリを入力してみた。すると、10ptという高額査定となる結果に! これを受けて、ものは試しとカテゴリを入力せずに同じ内容で新規投稿したところ、査定は6pt。項目への記入は必須ではないとされるものの、細かく不満の内容を明記していくことで、高ポイント査定につながっていくのだ。
しかし、たとえすべての投稿で10ptの査定を受けたとしても、500ptを目標として貯めるまでには50投稿もしなければならない......。検証中は、早く500ptにたどり着きたいと思っていても、たびたび不満が尽きてしまうのと、単純に不満を呟いているだけでは高価格で買い取りが行われない、という壁にぶつかってしまった。不満がないのが不満という、皮肉な事態が発生。
そこで筆者が試みたのは、ただ不満を書くだけでなく、目につくあらゆるものを「どうすればもっと良くなるか」を考えたうえで、"改善案"とともに不満を投稿すること。たとえば、「満員電車がストレス」だけではなく、「満員電車はストレスやトラブルの元になる。車両に重量制限をつくって、少しでも余裕を持って朝の通勤をさせてほしい」にすると、9ptの査定を受けることができた。つまり、投稿したい不満に加えて「改善案」を並行して記述することも、高額査定につながる傾向があるのだ。
2週間で売却した不満の合計は金額は......
こうして2週間にわたり、手の空いた時間に1日3〜4回ほどの投稿を実施。結果、合計52投稿で381ptという結果に! さほど根を詰めずに投稿していたので、あと1日1投稿でも増やしていれば500ptに到達できたのではと悔やまれる。ポイントの有効期限は、付与から1年とのこと。ちなみに、今後はAmazonギフト以外への換金方法も検討中だそうだから楽しみだ。
今回、筆者は「より早い500pt到達」を目指しており、2週間毎日、常に不満がないか探し続けることは決して楽ではなかった。しかし、2ptでも5ptでも、査定のたび、地道にAmazonギフト券に近づいていくのは嬉しいことであり、また不満投稿の際にその改善策を同時に考えることも、ただの「愚痴」に終わらせずポジティブな思考につなげるという、良い頭のトレーニングになっていたと感じる。
そして、わかったことがある。「不満買取センター」は、愚痴を換金できるというただの面白サービスではなく、ストレスフリーな社会を目指すための画期的なサービスだ。今まで吐き捨ててきた愚痴や不満が、将来のさまざまなものの発展につながっていく種となり、価値を持って生まれ変わる――そんな仕組みをつくり出している。筆者は目先の500pt獲得を目指しながら、今後、投稿した不満がどういう経路で社会に反映していくかにも注目していきたい。
文:大和田茉椰(blueprint)
撮影:blueprint