2016/06/03

【検証】「大人の塗り絵」が密かなブーム? ハイクオリティな塗り絵アプリ『Pigment』で遊んでみた

子ども時代、夢中になりましたよね、「塗り絵」。そんな幼い頃を彷彿とさせる遊びが、最近では「大人の塗り絵」としてブームとなっているみたい。そのモチーフは、主に花や動物の細かくて美しい絵柄で、大人でもやりがいを感じられるもの。実は筆者も「大人の塗り絵」を趣味で少々嗜んでます。

とはいえ、画材や本を揃え、机に広げて塗り絵をするのには少しばかりお金と時間が必要で、日常的な趣味としては若干ハードルが高い。

そこで、iPhone、iPadで利用できる「Pigment」という塗り絵アプリをご紹介。「Pigment」はスマホやタブレットで塗り絵を楽しめるアプリで、これなら忙しい人でも、気軽に始めることができる。

いざ、アナログからデジタルな塗り絵を体験!

ではさっそく「Pigment」をiPhoneにインストール。

「Library」にはさまざまな絵柄のシリーズがあり、季節ごとに新しいシリーズも追加される。今回は「Alphabet VolumeⅠ」のなかから、筆者のイニシャルである「Y」を選んでみた。

絵を選択して、まず筆者が不安になったのが、「指のタッチのみでこんなに細かい絵柄をはみ出さずに塗れるのか?」ということ。スマホの小さい画面ではうまく塗れないのではと思ったけど......大丈夫。心配には及ばない。

パレットに並んだたくさんの色と明度を選択し、その色で塗りたい範囲をタップして選ぶ。すると、その部分が点線で囲まれるので、実際にペンで塗りつぶすときと同様に指を動かして色を塗るだけ。指定された点線の内側にしか色がのらないので、しっかりと塗り分けができる。濃く塗りつぶすのか、鉛筆のタッチを残してさっと塗るのかも自由自在だ。

画材の種類もいくつか紹介しよう。

バリエーション豊富な画材やタッチで幅広い表現を

画材・タッチの種類は色鉛筆、絵の具、塗りつぶしなどを含め8つある。筆者が特に面白いと感じたのが、グラデーションタッチ。左の画像のようにツールバーを表示し、グラデーションを選択して塗りたい範囲を指定すれば、薄くしたい方向に指を動かすだけでその方向に向かって色が薄くなり、中央画像の花びらのようなグラデーションが出来上がるのである。なぞる回数を調整すれば、濃さも自在なのが魅力だ。背景色に役立ったのは「塗りつぶし」。右のように背景を真っ黒にするだけで、引き締まっておしゃれに見える......ような気がする。

遊び始めて小一時間が経過......。

無事、1枚の塗り絵を完成させることができた! 直感で色を選び、無心で塗り続けると、あっという間である。(色彩のセンスにはツッコミなしでお願いします......)

作品は「My Work」に保存でき、スマホ本体のライブラリにも保存することができる。ご覧のとおり、筆者も数作完成させるほどハマってしまった。ちょっとしたスキマ時間に塗り絵を楽しめるのがこのアプリの醍醐味だ。

遊んでいるうちに気になってきたので取材もしてみた

細部までこだわって作られたこのアプリの開発者に話を聞きたくなってきたので、同アプリ開発元、PIXITE appsのウジェーヌさんへ取材を敢行。

――どうして「塗り絵」アプリを開発しようと思ったんですか?

「私たちの課題は、人々のクリエイティビティを引き出すこと、そのための最適なツールを生み出すこと。私たちはこれまでも視覚的な芸術アプリに焦点を当ててきましたが、今回は、大人たちの安らぎとストレス解消のための趣味として塗り絵に着目し、その楽しみのハードルを下げてみようと思ったんです」

――単にスマホで塗り絵を楽しめるというだけでなく、さまざまな機能が盛り込まれていますよね? そのなかでもこだわった機能はなんですか?

「やはり、表現の幅を広げる8つの『色塗りツール』や、革新性を追求した『カラーパレット』、なにより多くの手書きイラストのある『Library』の3つです。無機質さを感じさせてしまうスマートフォンというデバイスを通してでもリアルな描き心地を実現したいと考え、画材・ツールの開発では、本物と比べながら調整に調整を重ねていきました。カラーパレットもベストな色の組み合わせでつくっていて、それぞれの明度調整も自在なので、配色のパターンや塗り方はほぼ無限といえるでしょう。そして、次々追加されるハイクオリティなイラストは、ユーザーを飽きさせることなく、いつも新しい楽しみを提供できるはずです」

――ほかにもいくつか塗り絵アプリがあるようですが、「Pigment」はどのようにそれらとの差別化したんでしょうか?

「既存の塗り絵アプリの多くは、タッチすれば、指定された『正解の色』でその範囲が塗りつぶされるという、実際の塗り絵から遠いもののように感じました。「Pigment」では自分の指を使い、微妙な色の明暗やタッチを表現することを可能にしています。ひとつの絵でも画材を変えればまったく趣の違う、別の作品になる。こうした機能はより美しい作品を作る手助けになるでしょう」

遊びでありながらも、「アート」の手段としての立場を大切にしているからこそ、これほどのクオリティを実現できたのだろう。

趣味が大人の塗り絵って素敵じゃない?

「Pigment」は、当然、何度でもやり直しがきくし、作例を参考にすることもできるので、これまで絵にはあまり興味がなかったり、絵心がないからと諦めていた人にもぜひオススメしたいです。

筆者的には、「なにしてんの? ゲーム?」「ううん、ちょっと塗り絵してて。まだ途中なんだけど......」「おっ、すごいじゃん」......なんていう会話を彼氏とする妄想をしました(願望です)。

ふとした空き時間にできる、ちょっとお洒落で素敵な大人の遊び。「Pigment」は、あなたの生活にちょっとした「色を添えて」くれるかもしれません。

文:高橋侑希