2016/01/04
【検証】通勤ラッシュをスマートに迂回 『JR東日本アプリ』を使って都内を回ってみた
都市近郊に住む人にとって通勤は悩みのタネ。ラッシュ時の通勤電車は超満員で、遅延でも発生しようものなら駅構内はパニックに。混乱のなかで迂回ルートを探し、なんとか職場にたどり着いたころにはもうすっかり疲れ果ててしまう。こうしたトラブルを回避して、通勤を少しでも快適にしたいと願う人は多いだろう。
そんな電車通勤者の強い味方になりそうなのが、JR東日本が2014年3月にリリースした「JR東日本アプリ」だ。このアプリでは、列車の運行情報や位置情報、駅構内図など、電車移動に必要な情報をまとめて確認できる。今のところ一部の路線や駅に限られているが、山手線では各車両の混雑状況や車内の温度、東京駅では構内のコインロッカーの空き状況まで、かなり細かい情報がリアルタイムで更新されているのだ。果たしてどれくらい実用性があるのか? 実際にアプリを使って都内をぐるぐると回り、情報の精度を調べてみた。
まずは列車の遅延情報。このアプリでは、自分がよく使う路線や駅を「My路線」や「My駅」として登録することで、トップページに運行情報が表示される。運休や遅延があった場合は、運行情報一覧を選択すると、路線図上に遅延区間が赤やオレンジで表示され、遅延時間だけでなく、列車の現在位置がひと目でわかるのだ。
実際に、駅で遅延が発生した時にこれらの機能で確認してみたが、駅の電光掲示板と変わらない速さで情報が更新されていた。JR東日本の公式アプリだけあって、速報性は数あるアプリのなかでも随一。現在、11の路線をカバーしている列車の位置情報もかなり正確だ。
上に掲載したのは、中央・総武線で事故が発生したときのアプリ画面。列車位置情報を見ると、かなり細かな間隔で運行していることがわかる。電車の横にある「+1」~「+13」という数字は、遅延を分刻みで示したもの。時間だけでなく、列車がどれくらいの間隔で走っているのかがわかるのはありがたい。運転再開直後の電車は、スシ詰め状態。続く電車が1~2分間隔で並んでいることがわかれば、多少空いた電車が到着するまで待つことだってできるだろう。
続いて、浜松町駅で山手線に乗り換え、混雑と車内温度を確かめてみた。接近する電車の混雑状況をアプリでチェックし、いちばん空いている最後尾の1両目へ。アプリでは5段階評価でもっとも空いていることを示す「1」が表示されている。乗車してみると、車内はまだシートに空きがある状況で、まさに表示通り!
ここからは、山手線を回りながら混雑状況の表示にどれくらいのタイムラグがあるのかを検証してみよう。神田駅の手前から席が埋まりだして、アプリの混雑状況は「1」から「2」に。新宿の手前で完全な満員電車になり、アプリは最高の「5」を表示。いずれも1~2分程度の時間差はあったが、実用には申し分ないほどの精度だった。
参考までに、電車に温度計を持ち込んで、温度情報も確かめてみた。乗車した車両はアプリの表示では20℃、手持ちの温度計を見ると21.3℃。計測位置にもよるのか多少の誤差はあるものの、十分参考にできるレベルではないだろうか。とくに混雑時の満員電車では、暑くてもなかなか上着を脱いだりできない。あらかじめ温度がわかっていれば、上着を着たまま乗るか、脱いでおくかを考えることもできるのだ。
ちなみに、このアプリはまだ発展途上で、アップデートも頻繁に行われている。列車位置情報などの対象路線も拡大されているし、トップページにある「実験に参加する」では、今後、本機能に組み込まれる可能性のある実験的なサービスもお試しできる。たとえば、直近で公開されている「山手線混雑統計情報」は、過去のデータから曜日と時間帯ごとの混雑予想を出すというもの。この機能はぜひ、ほかの路線にも拡大してほしい。
現在地から目的地への乗り換え情報がないため用途は限定されるが、通勤ルートや自宅最寄りの駅や路線を登録し、"いつもの電車の現在情報を確かめるアプリ"として使えば、情報精度も速報性も、実用性のあるレベル。駅の構内図がやや見にくいなど改善してほしい点もいくつかあるが、そのあたりは今後さらなるアップデートに期待したいところである。
文:橋カナメ