2015/11/18
【検証】レア体験! ガラケー解体ショーで、ガラケーを解体してみたら驚いた
いまやPCがなくても仕事ができるといっても過言ではないくらい、進化し続けているスマートフォン。しかし、ほんの数年さかのぼれば、その姿かたちや機能はまったく違ったものでした。あまりに早い進化を遂げてきた携帯電話に対して、「昔がなつかしいな」と、少し感傷的な気分に浸る方も少なくないのではないでしょうか。
そんな人たちが思わず「おっ」と反応してしまいそうなイベント、「2015.10.28 DMM.make AKIBA Studio presents 解体ショーvol.4 『ガラケー考古学』」が、東京都・秋葉原にある「DMM.make AKIBA Studio」にて実施されるとの情報が! 今回は実際にイベントへ参加し、懐かしのガラケーを解体しながら、今日のスマホにつながるガラケーの知られざるひみつや仕組みについて、解体新書してきました!
待ち受けていたのは100台のガラケー
会場は天井が高く、文系の筆者にはまったく理解できないような機械がたくさん並べられていました。その機械に囲まれるようなかたちで、今回のイベントの作業スペースが割り当てられています。
そして目の前に現れたのは、100台ものガラケー!
キャリアもランダムに集められたおびただしい数のガラケーを前に、参加者からは「なつかしい!」「これ学生時代に使ってた!」「こんなの見たことない......」といった、感動と驚きの声が飛び交います。
「このなかからひとつ選んで、さっそく解体してみましょう」とスタッフが声をかけると、参加者は100台ものガラケーから自分の愛機(解体しちゃうけど!)を探し始めました。
「ギミックがあるやつは解体しがいがあるよね」と、ストレートタイプより二つ折りタイプやスライドオープン式が人気のようでしたが、筆者が選んだ端末は、「A5520SA」。auのジュニアケータイ第1弾として発売されたもの。選んだ理由は、「文字盤のフォントの優しさに萌えたから」。
このユルいフォントがたまりません。
さっそく解体に移ります!
「隠れネジを見つけて!」エンタメ感あふれる解体作業
参加者にはひとり一つ、精密ドライバーセットが渡されます。スタッフの方いわく、「まずはネジです! ネジを徹底的に外すことで、皆さんは次のステージにいけるはずです!」とのこと。ゲーム性がある解説に笑いながら、ネジを外していきます。
が! このネジがやたらと固い......。
調べてみると、この端末の製造年は2006年。さすがに年期が入っており、錆びついているのかな?
悪戦苦闘していると、スタッフの方が気付いて、声をかけてくれました。
スタッフ「これはドリルでいくしかないですね」
筆者「え?」
一瞬で空きました。
ネジをすべてドリルで空けてもらうと、背面が......
無事に取れました!
普段あまり目にすることがないケータイの内部が姿を見せます。基盤かっけ〜。
この調子で前面の液晶部分も解体していきます。
実際に解体をしてみてわかったのですが、ケータイは、簡単に解体されるのを防止するため、ネジの頭を一般的なプラスドライバーやマイナスドライバーではなく、三つ葉の特殊なかたちにしているものが多いです。さらに、そもそも外観からはネジが見えないように工夫されていて、その絶妙なネジの隠し方に製作側の細かなこだわりが見て取れます。
「スマホはネジではなくて接着で留めている機種が多いのですが、これは軽量化や薄型化をしていくなかで進化したものだと思います」と、参加者の方のご意見。そもそも参加者の方のなかには「当時、モックを作っていました」と言うツワモノもおりました。頼もしい限りです。
やや力ずくに外すシーンもありつつ......。
液晶画面も取り出すことができました!
カラーには対応していますが、画面が小さい!
ヒンジ(蝶つがい)のパーツは外観からは想像もつかないぐらいゴツく、「このパーツはシブい」「携帯も見た目によらないな」と、参加者の皆さんで大盛り上がり。確かにシブくはあるけど、ヒンジひとつにここまで盛り上がるとは......!
その後も、超精密に組みあがったパズルのようなパーツを一つひとつ解体し、無事にガラケー解体完了!
薄く、小さく......携帯電話の進化
ほかの参加者も、順調に解体を終了。だいたい1時間で解体できるようです。
こうやって並べると、壮観!!
筆者が解体した端末も、パーツごとにA3用紙の上に並べてみました。
本体部分と端子、ボタンと接触部分、液晶モニター(メイン、サブ)、ヒンジ、バイブ用の振動モーター、カメラなど、ひとつの端末にこんなにも細かいパーツはいっぱい詰まってるんですねー。
ちなみにこちらはほかの参加者が解体していた完全防水携帯「G'z One」。端末によってまったく違う構造になっているのがわかります。
「昔の携帯と今の携帯では、端末それぞれの性能も進化しているんですよね。その進化は目に見えるものなのでしょうか?」とスタッフさんに質問をしてみると、基盤部分を2台、見せてくれました。
「右が古い端末、左は比較的新しい端末。比べてみると、パーツ一つひとつの大きさがまったく違うことがわかると思います。右の方が、大き目のパーツが基盤にところ狭しと並べられているでしょう?」とスタッフさん。
言われてみると確かに、左の方がスッキリした印象があります。
「こうやって端子などがどんどん小型化された結果、処理速度を上げることができたんです。でも、その一方で、『小型化がこれ以上できない』とされているパーツもあります。たとえば、バイブレーションを起こすためのモーター。モーター自体の大きさがある程度ないと、端末を振動させられませんから」
大きなイノベーションが起きない限り、モーターよりも薄くなる端末はできないってことですね。
さらに、カメラのパーツを手に乗せながら話は続きます。
「あとは、最近のiPhoneは、カメラレンズ部分が少し出っ張っていますよね? あれも、カメラが今の技術ではあれ以上小さく、薄くできないからという説もあります」
なるほど! 筆者も気になっていたiPhone 6以降に存在する「カメラレンズ部分の出っ張り」は、そういった理由があったのですね。
「ちなみに、今のスマホで必要なパーツは、これだけです」
たったコレだけ!? 少な!
「今はモーター、カメラ、レンズ、端子、バッテリーと外装だけですよ。しかも、そのうちの大半をバッテリーが占めている。そもそもスマホはボタンがほとんどなくなっていますし、仕組みがまったく異なるのです」
確かに、ボタンがなくなって画面が巨大化して、処理速度も上がるからバッテリーは大きくなる必要がある。仕組みを考えれば当たり前かもしれませんが、こんなに必要なパーツが変わってしまうんですね。
こうしてDMM.make AKIBAでのイベントは終了しました!
「今度はスマホも解体してみたい!」 と、謎の解体精神に目覚めてしまった筆者でしたが、ネジを緩めるたびに広がっていく未知なる世界は、素人でも十分楽しめる内容でした。
端末をよくよく見てみると、今のスマホまでの軌跡と技術の進歩を垣間見ることができます。ガラケーとスマホでは仕組みがまったく違うものの、昔と今がつながっていることをパーツや端子を通して実感できた、貴重な体験イベントでした。
ちなみに、ご自分の通信端末は容易に解体してはいけませんのであしからず。
文:カツセマサヒコ(プレスラボ)