2018/05/07
BMWやベンツも次々と スマホと連携した自動車のハイテク化が止まらない
AI(人工知能)やクルマのIoT化などテクノロジーの話題が絶えない自動車業界。近い将来、「自動運転の一般化」が訪れるとささやかれているなか、世界中の自動車メーカーがスマホとの連携サービスの実現に動き出している。
今回はBMWとメルセデス・ベンツの2社が手がけるスマホサービスにフォーカスし、スマホがクルマを便利にしている事例を紹介しよう。
スマホがリモコンになる「BMWリモート・サービス」
まずは、BMW Japanが提供するユーザー専用ポータルサイト「My BMW ConnectedDrive」にフォーカス。
この「My BMW ConnectedDrive」はBMWオーナーであれば誰でも登録が可能な、インフォメーションサイト。同サイトでアカウントの作成及び車両登録を行うだけで、カーライフを快適にしてくれるというもの。
このサービスのひとつに、無料で利用できる「BMW リモート・サービス」というアプリがある。専用アプリ「My BMW Remote(iOS/Android対応)」※1をインストールしたスマホを使って、クルマの遠隔操作が可能になるというものだ。
※1 新車(現行販売車両)については一部有料になるが、すべての車両に搭載が可能。 その他の車両についてはお問い合わせください。
そんな当サービスには、以下のような機能が備わっている。
■スマホから簡単にクルマのロック・アンロックが可能!
スマホを使って遠距離からクルマのドアを施錠する「リモート・ドア・ロック/アンロック」機能。クルマのオーナーなら必ず経験があるであろう、クルマから離れたあとに「さっき、ドア閉めたっけ?」という不安を払拭してくれる機能だ。遠隔からでもスマホからすぐに施錠できるので便利。
■クルマはどこ? GPSを使って現在地をスマホで確認!
クルマとスマホの距離に関係なく、GPS機能を使ってクルマの現在地を特定できる「リモート・車両サーチ」機能。万が一、クルマが盗難にあったときなど、自分のクルマが現在どこにあるかをスマホから瞬時にチェックできる。
遠隔でヘッドライトを点滅させる「リモート・ライトフラッシュ」という機能もあり、この機能と合わせれば、広い駐車場や立体駐車場などでありがちな「駐車した場所を忘れてしまう問題」も解決しそうだ。
■快適な温度でドライブスタート! 乗車前にエアコンをON
車外からエアコンを起動する「リモート・クライメート・コントロール」機能。真冬などにはエンジンをかけてもなかなか暖かくならず、真夏の炎天下ではサウナのように暑くなる車内だが、事前にスマホの簡単操作で車内を快適な温度に調節しておけば、乗車後すぐにスムーズなドライブをスタートできるだろう。タイマーで細かな時間の設定や温度の調整も可能だ。
そのほか、スマホでの住所検索情報をカーナビに転送できるなどの機能もあり、いずれもアプリから操作できるのはとても便利。クルマに乗り込む前や、クルマから離れたときに活躍してくれる。エアコンの予約設定なども、これからの季節にドライブのストレスが軽減されそうなので、是非とも一度使ってみたい。
メルセデス・ベンツが提供する「Mercedes me connect」
続いて、同じくドイツの自動車メーカーである、メルセデスベンツのサービスも見ていこう。
メルセデス・ベンツは「メルセデスから始まる、デジタルカーライフ」というコピーとともに、利便性の向上を目的とした「Mercedes me connect」というテレマティクスサービスを発表。Sクラス・Eクラスの最新車両※2に搭載される、専用のアプリと連動するさまざまなサービスがある。
※2 2017年9月上旬以降に納車される車両のみ。詳しくはメーカーにお問い合わせください。
まず、「Mercedes me アプリ」はスマホを使ってカーライフを便利にする機能がふんだんに盛り込まれている。ドアのロックを施錠・解錠できる機能をはじめ、走行距離、燃料計、平均燃費など、クルマに関するさまざまな情報を確認できる機能などを搭載。
ほかにも駐車位置をアプリ上に表示する機能や、アプリから目的地をCOMANDシステムに送信できる「Send2Car」、プラグインハイブリッド車では乗車前にアプリからエアコンを作動できる「プリエントリークライメートコントロール機能」など、多くの面でオーナーをサポートしてくれる。
なかでも目玉として世界的に注目されているのが「リモートパーキングアシスト」アプリだ。
この「リモートパーキングアシスト」は、その名の通り駐車をアシストしてくれる機能で、運転手が車外からスマホを操作するだけで、クルマの車庫入れや車庫出しを自動で行ってくれるという画期的なもの。スマホを使ってラジコンのように操り、しっかり駐車してくれるというわけだ。新しい「Sクラス」の最大のウリとして、“便利すぎる!”と世界を驚かせた。
狭い場所に縦列駐車をすることも苦ではなくなるだけでなく、バックで駐車する際にリアバンパーをぶつけてしまったり、見通しの悪い場所、狭い駐車スペースからの出発も安心になることは間違いないだろう。
自動車業界に訪れた“小さな革新”
今回紹介したようなスマホ×クルマの歩み寄りの事例は、いわば自動車業界に訪れた“小さな革新”といえる。
IoT家電のように、急速に一般化しているスマホや通信と連動した便利な機能がもっと増えていけば、いつの日か「クルマはハンドルを握って運転するもの」という常識から、スマホやタブレットで指示を出すデジタルデバイスのひとつに変わる日がくるのかもしれない。
KDDIも、クルマと人がインターネットを介してつながる「コネクティッドカー」の研究に力を入れており、「スマホやタブレットをかざすだけ」でエンジンルームを点検できるAR技術や、自動運転自動車のための情報配信技術の開発を行っている。
これらの技術が私たちの生活に大きな変化をもたらすその日は、すぐそこまで来ているはずだ。
文:石川優太/安東渉(EditReal)