2017/10/03

『Qi』の次は『Pi』 近くに置くだけ&同時に4台充電する「真のワイヤレス充電」登場

iPhone 8の登場によって再び脚光を浴びているワイヤレス充電技術。ケーブル接続は不要で、パッドの上に置くだけで充電できるなんて便利! と思っていたら、「真のワイヤレス充電」と豪語するツワモノが現れた。その名は「Pi(ピではなくパイと読みます)」

ココがスゴいぞ! の最初のポイントはその給電方法。Piは富士山のような(円錐台)のカタチをしており、ぱっと見たところはスピーカーのようだ。この近くにスマートフォンを置けば、デバイスが勝手に端末を認識して充電をスタートさせる。デバイスにくっつけたり、立てかけたりといった作業は不要。半径30cm以内にポンと置くだけでOKなのだ。

そして、2つ目のスゴいポイントは、4台同時にフルスピードで充電できること。なお充電速度は落ちるものの、4台以上の充電も可能とのこと。最大出力は20W。既存の充電パッドの2倍かそれ以上なのである。先般発表されたApple純正のワイヤレス充電パッドAirPowerが7.5W、現在市販されている充電パッドが5〜10Wの最大出力なので、比べてみてもかなり頼もしく、パワフルといえる。

電磁誘導のブレイクスルーが生み出した製品

ワイヤレス充電の主な技術は「電磁誘導」と「磁界共振」の2方式がある。PiはQi規格の電磁誘導方式を採用しているが、電磁誘導方式の難点はストライクゾーンが狭いことにある。「ココだ!」という場所にビシッとスマホを置かないと電気が流れない。ところがPiはランダムに置かれたスマホに対して、しっかり送電している。一体どうなっているのだろう?

どストライクに送電するために正確な位置を割り出す計算は、最新PCで解析しても数分かかるほど厄介なものだった。Piの生みの親であるマサチューセッツ工科大学のLixin Shi氏はハイスペックではないプロセッサーを搭載するPCでもサクッと計算できる手法を発明し、製品化に至ったのだそうだ。Lixin氏は3年半を費やして、アルゴリズム開発や磁場をつくり出す専用部品を開発したという。いやはや、あっぱれ!

2018年に200ドル以下で販売! 未来はすぐそこだ!

ところでPiという名前の由来は、共同創設者がアップルパイ大好き人間だから、というわけではないらしい。Lixin氏とMacdonald氏はMITの卒業生。MITは円周率(=π)と縁が深く、入試の合格発表を毎年3月14日に実施するほど。MIT発のテクノロジーだぞ! との思いを込めて「Pi」と命名したようだ。

PiはQi規格に対応したスマートフォンなら充電可能。対応していない場合でも、専用ケースを装着すれば充電可能だ。販売開始は2018年。公式サイトでは予約を受け付けており、価格は200ドル(約22,000円)以下の予定。あなたがアーリーアダプターを目指すなら、今のうちにサイトへGOだ。先着予約した314(!)人は、50ドル(約5,500円)割引に。早速公式サイトにアクセスして、真のワイヤレスを手にしてほしい。

文:吉田 努