2017/04/19
文字盤に点字が浮かび上がる! 世界初、目の不自由な人向けスマートウォッチ『DotWatch』
お年寄りや目が不自由な人は、どのようにして時間を確認するのだろうか。これまでは近くにいる人に確認したり、ボタンを押すと音で時間を知らせる時計を使用するのが一般的だった。そのため静かな場所や、人が多い場所だとどうしても使いにくいという難点がある。だが、腕時計型の「DotWatch」はそれらの問題をすべて解決してくれそうだ。どのような方法で時間を知らせてくれるのだろう?
DotWatchとは?
DotWatchは、ワシントン大学出身のEric Ju Yoon Kim氏が開発したデバイスだ。盤面部分に縦3✕横10個のドットが配置されており、時刻に合わせて出たり引っ込んだりして、手で触れられる点字情報を提供。腕時計が点字で時刻を知らせてくれるのだ。
時計としてのデバイスだけではない
DotWatchが注目されている理由は、時間表示だけのデバイスではないという点もある。まずこの腕時計は、TwitterなどのSNSでも浮かび上がる点字でチェックすることが可能だ。現在、スマートフォンのOSでも目の不自由な人向けに、文字の読み上げ機能を備えているものが多いが、外で利用する時などはプライベートなメッセージを他人に聞かれたくない。点字による表示方法であれば、基本的に触れていなければ文字情報はわからない。
そしてもうひとつ注目したいのは、スタイリッシュなデザインだ。本デバイスはプロトタイプの段階から一貫して、触れて使いたくなるようなミニマルなデザインとなっている。
多くの受賞と今後の展望
DotWatch を開発したDot Incorporationでは、腕時計と同時進行でタブレット型の「DotPad」というデバイスも開発している。こちらは長文や図形コンテンツなども、ドット部分が浮かび上がる。ニュースサイトの確認や読書などは、点字であれば自分のペースで読解できるだろう。また、これまで点字を表示するための点字ディスプレイは備え付けタイプが基本で、非常に高価であった。DotPadは価格未定ではあるが、全世界の人に向けて展開することを目標としているそうなので、価格面でも期待できそうだ。
DotWatchは現在、今年販売の製品版に向けてブラッシュアップを行っており、予約を受け付け中。正式価格の発表はされていないものの、300ドル(約3.3万円)前後の価格になるとのこと。
IF Design Award 2016やSlush Tokyo 2017など、多くのデザイン・ビジネス賞を獲得しているDotWatch。プロダクトの社会的意義という、新たな方向性を示しているといえるだろう。
文:宇佐美フィオナ(ワードストライク)