2016/10/27

文字盤もベルトもデザインが変えられる! 電子ペーパーでできた『FES Watch』

電子書籍ブームやキーボードの文字盤など、私たちの生活に浸透しつつある「電子ペーパー」。そもそも、電子ペーパーとは、紙のような読みやすさと少ない待機電力で、低消費電力を兼ね備えた次世代のディスプレイのこと。薄くて軽く、曲げることもできるため、持ち運びに適しており、コンパクトさを求める現代人にはもってこいの技術だ。

ソニーが手がける柄の変わる時計

そうした電子ペーパーの特徴を生かして作られたのが、「FES Watch」。文字盤とベルトが1枚の電子ペーパーでできており、ボタンを操作すると、好きなタイミングで文字盤とベルトのデザインを変えることができる。「FES Watch」のスタートは、「社内から提案される新たなビジネスコンセプトのスピーディーな事業化を促す」ためにスタートしたという、ソニーの新規事業創出プログラム(Seed Acceleration Program)。商品価値を確認するためのクラウドファンディングでも瞬く間に目標額に到達して知名度を上げた、機能性と話題性の両方を持つ、新しいスマートウォッチだ。

「FES Watch」のデザインバリエーションは、ホワイトとブラックを基調にした24種類のなかから切り替えることができ、本体のシルエットはさまざまなデザインを活かすため、あえて一般的な時計型のシルエットを採用。2015年度のグッドデザイン賞やDESIGN TOKYO大賞2016においてグランプリを受賞するなど、ファッション性にも優れたプロダクトだ。

動作に反応し、時刻を表示

通常、腕に装着しているだけの状態では、時計表示がなく、無地の状態。しかし、時計を見る動作をすると、本体内部に内蔵された加速度センサーが反応し、時刻が浮かび上がる「ウォッチアクション機能」を搭載している。ウォッチアクション機能は、ON/OFFの切り替えができるため、常に時刻を表示することも可能だ。

スマホと連携するFES Watch U

2016年8月には、ソニーが運営する、クラウドファンディングとEコマースを兼ね備えたサイト「First Flight」で、来春以降に登場予定のニューモデル「FES Watch U」のクラウドファンディングも実施されたばかり。専用アプリを使うことで、アナログやデジタル、カレンダーなど、今まで以上にデザインのバリエーションが充実する。また、オリジナルのデザインをつくることも可能となり、スマホで自身が撮った写真や、作成した画像を文字盤にレイアウトして、自分だけの「FES Watch U」をつくることができるようになる予定。

ハイファッションブランドとの素材コラボも実現

さらに、先日パリで開催されたファッションショーにおいて、ファッションブランド「ISSEY MIYAKE」とのコラボレーションも実現し、電子ペーパーを使った、柄が変わるバッグ「EB」(Electronic Bag)を発表している。これは、FES Watchを開発したソニーのFashion Entertainmentsプロジェクトが素材開発で参画したもの。このバッグでは、1画素の電子ペーパーの四隅に異なる電圧をかけることで、ホワイトとブラックのグラデーション模様を変化させ、多彩な表情を実現している。

©2016 ISSEY MIYAKE INC.
©2016 ISSEY MIYAKE INC.

「今後は腕時計に限らず、いろいろなファッションアイテムに展開していくことを検討しています。ファッション素材としての電子ペーパーの質感、表現の追究も続けていきます」と語るのは、ソニー株式会社 新規事業創出部Fashion Entertainmentsプロジェクトリーダーの杉上雄紀さん。

「FES Watch」は、現在「MoMA Design Store(表参道店、渋谷ロフト店など)」や「伊勢丹新宿店」、「First Flight」のオンラインショップなどにて販売中(取扱い店は下記Fashion Entertainmentsサイト参照)。価格は29,700円(税込)。「FES Watch」の登場は、テクノロジーとファッションの融合につながる、大きなきっかけとなった。今後の展開も、大いに期待される。

文:長浜優奈/中澤範龍(EditReal)