2016/10/06
ドローンで守り、ドローンから守る! 驚きのセコム最新警備システム
センシングやネットワーク、制御技術などの技術進化により、ドローン自体の飛行性能や安定性が向上し、小型・軽量かつ高解像度なカメラの搭載も活躍の場を広げている。飛行機やヘリコプターでは難しい環境での空中撮影をはじめ、迅速かつダイレクトな商品の配達、さらには災害発生時の支援活動など、その用途は多岐にわたる。
最新の盾と矛、「セコムドローン」「セコム・ドローン検知システム」
こうしたドローンのビジネス活用が進むなか、ひときわ注目を集めているのが、国内の警備サービス業界でトップシェアを誇るセコムが発表している、自律型小型飛行監視ロボット「セコムドローン」と、ドローンから身を守る「セコム・ドローン検知システム」だ。
「セコムドローン」は、民間防犯用として世界初となる、ドローンを使ったセキュリティシステム。ドローン本体に監視カメラとLEDライトを搭載し、監視エリアで不審な人物や車両の侵入を発見した際、上空から接近して近距離で対象の周囲を自律飛行し、人物の顔や身なり、クルマのナンバー、車種、ボディカラーなどを撮影する。
この画像を、無線で素早くセコムのコントロールセンターへ送信し、不審な人物や車両の追跡・確保に役立てるというわけだ。従来の固定式監視カメラと比べて死角がないほか、近距離から鮮明な画像を撮影できるというメリットがある。なお、このセコムドローンはすでに同社のオンライン・セキュリティシステムと、「レーザーセンサー」外周監視を長期契約している法人向けに、オプションとして提供されている。オプション価格は5,000円~(税別)で、工事料(ドローンポート、制御部含む)が80万円~(税別)だ。
"自宅警備隊"としてドローンが飛び回るなんて、まるでSF映画のよう。不審者の検挙率アップに期待が高まるシステムだ。
ドローンの侵入を検知する「セコム・ドローン検知システム」
一方で、ドローンの普及による事故・事件が増加している。
記憶に新しいところでは、2015年4月には日本で首相官邸の屋上に、小型カメラを装備したドローンが落下した。また、2015年9月に姫路城の大天守へドローンが衝突した事件も大きく報じられた。そこで登場したのが、重要施設などの監視エリアに侵入したドローンを検知するセコムの「セコム・ドローン検知システム」だ。
このシステムは、カメラなどを搭載可能な直径約50cm以上のドローンが100m以内に接近すると、レーダーで自動的に検知するというもの。ドローンの方向と距離を表示するとともに、3D指向性マイクが当該方向の音を集音、近赤外照明付きの高速パンチルトズームカメラが自動追跡し、ライブ映像を表示することができる。なお、セコム・ドローン検知システムに関しては、ドローンによる重要施設の破壊活動防止などの長期契約だけでなく、多くの人々が集まるイベント会場に設置して安全を確保するといった短期契約も行っているという。システム価格は4,000万円~(税別)で、工事料金および保守料金は設置場所等に応じて個別見積り。イベント等での短期利用についても個別見積りとなっている。
高性能化したドローンは機密情報の収集や爆発物の輸送など、さまざまな犯罪に使われる可能性がある。しかも、そのボディーサイズや上空という侵入経路から目視での監視が難しいだけに、こうした検知システムは今後さらに需要が高まっていくだろう。
ドローンは、その高い性能ゆえに犯罪で使われるケースもあるが、それ以上にアイデア次第で非常に大きな可能性を秘めている。「弊社が2012年12月に、民間防犯用として日本初となる自立型の小型飛行監視ロボット開発完了を発表して以来、現在まで海外メディアを含めて多数の報道取材依頼をいただいております。それだけ世界的に注目を集める技術として誇りを持つと同時に、お客様へさらなる安全安心をご提供するべく、今後も積極的に取り組んでいきます」(セコム広報担当者)とのこと。
近い将来、「個人宅の警備もドローンがしてくれる」・・・・・・という未来図が実現するかもしれない。今後も新たな用途やサービスの登場に期待したいところだ。
文:ユータック