2016/05/19
【デジモノ課】どれぐらい酔っ払うと記憶をなくすのか? スマホの検知器で検証してみた
1軒目の筆者。このあと、10軒近くハシゴして記憶をなくすことがある
お酒が好きだ。毎日のように飲む。飲みすぎることも多い。飲みすぎた場合は記憶をなくす。
「最後に自転車を停めた場所を思い出せない」「朝起きたら布団の横に靴が揃えて置いてあった」などの失敗をすることは稀だが、悔しいのは酔っ払い同士で飲み語り合った楽しい記憶も往々にしてなくしてしまうことだ。
そんな折、呼気中のアルコール濃度を計測してくれる「FLOOME(フルーミー)」というガジェットがあることを知った。発売元のINNOVA GLOBALに問い合わせてみると、スマホアプリと連携し、自身のアルコール分解スピードを把握することで「アルコールチェック&マネジメント」が可能となるらしい。なんという朗報! さっそくメーカーの方に話を聞いた。
「『お酒を楽しく飲みたい』『健康のために飲みすぎに注意したい』という方々のために開発されたアプリです。スマホで簡単に計測できるうえに、業務用のアルコール検知器と同程度の精度を持っています」(INNOVA GLOBAL 法人営業部・山崎智恵さん)
スマホでアプリをダウンロードし(無料)、イヤホンジャックに「FLOOME」(税抜1万2800円)を差し込めば準備完了。さっそく取り寄せて1週間ほど試してみることにした。果たして、快適なアルコールライフは実現するのか――。
お酒を飲んでは、スマホに息を吹きかける日々
ちなみに、このアプリには「計測結果をSNSなどでシェア」「タクシーを呼ぶ」「近隣の空いている飲食店を探す」などの便利機能もあるが、今回は「呼気中アルコール濃度」と「記憶」の関係を検証することに徹した。
1日目。この日は荻窪で友人と飲んだ。ホッピー、ハイボール、ホッピーと好調に飛ばし、都合4軒ほどまわっただろうか。
スマホの画面に呼気中アルコール濃度が表示される
結果は1.51mg/L。アルコール分解スピードは性別、年齢、身長、体重によって異なるので、それらをあらかじめアプリに入力してある。いずれにせよ、自分の場合はこの程度の飲酒量では記憶が飛ばないことがわかった。
ちなみに、道路交通法的には0.15mg/L以上で酒気帯び運転となる。もちろん、僕は電車で帰るので問題ないが、奈良漬やブランデーケーキでもこの数値を超えるらしいのでドライバーは油断禁物だ。
前出の山崎さんによれば、クルマ社会の地方在住の方が購入するケースも多いという。飲酒後に近くのレストランなどに入り、数値が0.15mg/L以下になったことを確認するのだ。
そんなわけで高揚した気分のまま、日本酒をぐいぐいいただく
ついに、記憶をなくす呼気中アルコール濃度が判明
このようにして、夜な夜な飲んでは「FLOOME」に息を吹きかけるという生活を数日間続けてみたが、「けっこう飲んだかな」という日でも数値は1.5mg/L〜2.5mg/L。そして、記憶はある。
「あっ、吹かなきゃ」という思いが常に頭の隅にあるので、手放しで奔放に酔い切れないということもある。これも「FLOOME」を携帯することの隠れたメリットかもしれない。
しかし、ついにその日はやってきた。四谷にある角打ち(酒屋の店頭で飲ませる形態)の名店「鈴傳」を初めて訪れた夜だ。
高揚した気分のまま、おいしい日本酒をぐいぐいいただく。同行の酒好きの友人とも大いに盛り上がり、ほろ酔いで地元の高円寺へ。日本酒が効いたせいか、その後の記憶があいまいだ。
正気に返ると午前2時の自宅。朦朧とした頭で吹いてみたところ――。
出ました! 4mg/L超え!
今回の検証実験から、僕は呼気中のアルコール濃度が3mg/Lを超えると記憶をなくしやすいことが判明した。正確な酒量は曖昧だが、日本酒3杯、ハイボール2杯、ホッピー6杯程度は飲んだだろうか。
しかも、あらためて調べてみると呼気中アルコール濃度は血中アルコール濃度の約5倍。従って、4.27mg/Lだと血中アルコール濃度が0.854%となり、これは一般的な目安としては、まともに立てないどころか意識もはっきりせず、脳にも悪影響を及ぼすラインだった......。
以上の検証実験から、自分にちょうどいい酒量の目安と、要するに"飲みすぎ"だということがわかった。ふーふー吹きながら楽しくお酒を飲んで、(僕の場合は)呼気中アルコール濃度が3mg/Lを超えそうになったらおとなしく帰宅する。これができれば、悲願の「お酒と上手に付き合える男」という称号を手に入れられそうだ。
酔って記憶をなくしがちなあなたも、ぜひ試してみてほしい。
文:石原たきび