2016/05/17

史跡観光から防災情報まで...... ARを活用したご当地アプリがアツい

世界のどこにいても同じ情報を受け取れるのがインターネットのメリットだが、「AR技術」の進歩によって、特定の場所にいるときや、特定の物がそばにあるときだけ楽しめる"ご当地アプリ"が続々登場している。

「AR」とはオーグメンテッド・リアリティ(Augmented Reality)の略で、直訳すると「拡張現実」。人が知覚する現実環境をコンピュータにより拡張する技術や、拡張された現実環境そのものを指す。......というと難しく聞こえるが、つまりは、現実世界にいながら、スマホなどを通すことで空想上の未来や異次元のビジョンを見せてくれたり、新たな情報を与えてくれたりする機能といえる。GPSなどから取得できる位置情報や、特定の空間や画像を認識することなどで作動し、画面に追加の情報を表示するのだ。

これらの機能は地方観光サービスととても相性が良く、さまざまな自治体が積極的にARを取り入れている。スマホのAR機能を使ってその土地を楽しく、深く知ることができる、アイデアが詰まったアプリを4つ厳選してご紹介!

「歴なび多賀城」(多賀城市文化遺産活用活性化実行委員会/無料)

歴史的な名所が多い宮城県多賀城市内の史跡を案内してくれる「歴なび多賀城」。名所や史跡にカメラを向けると、在りし日の多賀城政庁正殿や多賀城廃寺の建物などがCGによって再現されたり、ポイント解説があったりと、楽しみながら歴史をしっかり学ぶことができる。松尾芭蕉など、土地にゆかりのある歴史上の人物との記念撮影も!

現在、史跡となっている場所にスマホやタブレットのカメラを向けると、ご覧のとおり。現実の光景にCGを重ねて表示される

「福岡歴史なび」(Coara Inc.、福岡市経済観光文化局/無料)

©Level-5.inc

ニンテンドーDSなどのゲームで人気を博した謎解きゲームのキャラクター、「レイトン教授」とコラボしたスマートフォンアプリを配信しているのは福岡市。「近代遺産」「城下町」など、各テーマに沿った散策ルートをマップで案内してくれる。地図に沿って文化財スポットに到着すると、レイトン教授とその仲間たちによるクイズが出題される。また、各スポットのボタンをクリックすると、文化財の詳細な解説が表示されるほか、通常見ることのできない場所や場面をVRや動画で見ることもできて便利。

移動距離や所要時間などの情報も表示されるので、空いた時間に合わせて散策ルートを選ぶのもいい。ゲーム感覚で歴史散歩を楽しめる
©Level-5.inc

「LIVE SCOPAR」(レイ・フロンティア/無料)

全国各地のご当地キャラクターと一緒に記念写真を撮ることができるアプリ。LIVE SCOPARを通して空を映すと、今いる地域のご当地キャラクターがスマホ画面に現れる仕組み。その土地に実際に行ったからこそ出会えるというところがスタンプラリーのようでコレクター心をくすぐる。47都道府県すべてを網羅しているので、旅行のきっかけづくりにも最適。

全国各地のご当地キャラが現れるほか、「くまモンと記念写真を撮ろう!」というタグでは、全国どこからでも熊本の方角へカメラを向ければ「くまモン」が現れる!

【番外編】「ARハザードスコープシリーズ」(キャドセンター/無料)

「観光用のご当地アプリ」ではないが、GPSと連動して、地図上にハザードマップを表示しながら、カメラで撮影された実写の映像にその場所の防災情報を合成して表示するアプリ。東日本大震災をきっかけに、日常的に災害の備えを行うことを目的に開発された経緯がある。周辺にある避難所情報や、津波の高さや河川の浸水、建物の倒壊危険度、火災発生の危険度など、該当地域に即した情報を表示。紙のハザードマップを持ち歩く必要がなく、スマホを使えばいつでも立体的なイメージが把握できるので分かりやすい! 対応している自治体はホームページで要確認。

カメラで写した映像に、避難所の方角と距離が表示される。慣れない土地でも直感的に位置を把握できるので万が一のときに役立ちそうだ。浸水の高さをビジュアル化してくれる機能も

エンタテイメントから防災までさまざまな形で活用されている「拡張現実」、AR機能。これからもユニークなアイデアのARアプリの登場に期待できそうだ。

文:山口優希(ユーフォリアファクトリー)