2016/03/23

面倒なカロリー計算は調理器具にお任せ! シリコンバレー発の超賢いフライパン

提供:SmartyPans Inc.

ちょっと見ただけでは普通のフライパン。しかし、料理に使う野菜や肉などをフライパンに乗せると、自動的に計量して総カロリーも瞬時に計算する賢いフライパンが登場した。その名も「SmartyPans」(スマーティ・パン)。ちょっと見ただけでは普通のフライパンと変わらないが、フライパンの内部に温度と湿度、そして重さを計測するセンサーが埋め込まれている。

取っ手部分にはBluetoothとマイクロ・コントローラーが搭載されており、実際に調理を始めると、いつ、どんなタイミングで、材料を加えて火から下ろせばいいのかなどの調理の手順も、アプリが表示してくれる。

提供:SmartyPans Inc.

このSmartyPansを開発したのは、シリコンバレーに住む栄養士の姉と、技術者の弟コンビ。姉のプラチ・バクシ氏はSmartyPans社のファウンダーで、CEOでもある。開発経緯を聞いてみた。

「多くの人の栄養指導をしてみてわかったんですが、家で調理する場合、ほとんどの人が計量せずに目分量で食材や油などを加えていました。そのために、摂取カロリーがオーバーしたり、医者に薦められたメニューに従ってダイエットをしているはずなのに、肝心な分量が守れずに効果がでないという結果につながっていたんです」

提供:SmartyPans Inc.

そこで、面倒な計量やカロリー計算をすべて賄ってくれるフライパンの開発を思いついたのだという。

フライパンと連動したアプリには、ボイスコマンド機能を搭載。調理中に「タマネギを加えて......」「オリーブオイルを入れて......」と声に出すと、フライパンに加えられた食材の重量をアプリ上に表示し、総カロリーが割り出されるようにした。さらに出来上がった料理の脂肪分もアプリで表示される。

人数を指定すれば、材料を加えていく段階で、食材の過不足を円グラフで表示するので、それを見ながらグラフが正円になるまで材料を加えていけばいい。内蔵したセンサーは、0.5g単位で最高6kgまでの材料の計量が可能だ。

一方、弟のラウル・バクシ氏は、ソフトウエア・エンジニア。料理ができないため、外食が中心で、たまに調理するときには、どんな材料をどのタイミングでどう加熱すればいいのかがさっぱりわからない。台所で調理を教えてくれる"先生役"がいたらどんなに便利だろう、と考えていた。

そこで、まったく経験がない人でも簡単に料理ができるように、手順を一つひとつ示す機能をアプリに加えた。熱が強すぎれば「熱を下げて」とアプリが指令を出すので、焦がしてしまう心配もない。

提供:SmartyPans Inc.

アプリにはパスタや肉料理、ベジタリアン向けの料理など、約3,000種類の写真入りレシピを掲載。写真メニューから好きな料理を選んで、アプリの指示通りに材料を加えて調理していけば、初心者でもヘルシーな料理が手軽につくることができる。

「病気のため、カロリー制限をしなければいけない患者さんでも、自分好みのメニューを自由につくりながら、同時にカロリーオーバーにならずに済みます。窮屈だった食事制限に、少しでも"自由"を取り戻してあげたいというのが願いです」とプラチさん。

姉弟コンビのチームは、クラウドファンディングのIndiegogoで3万ドルの資金調達に成功。価格は約200ドルとなっている。商品の注文は同社のサイトで受け付けており、実際の配送は今年の夏から秋にかけてになりそうだ。

文:長野美穂