2016/01/28
子どもたち自らが考えたスタンプで、STOP! LINEいじめ
「LINEいじめ」という言葉があるほどに、SNSを現場にした子どものトラブルは日常的に発生している。KDDIの「ジュニア向けケータイ教室」ベテラン講師のKDDI CSR・環境推進室の大久保輝夫によれば、その原因は話のなかで起きる言葉の行き違いだ。些細な入力間違いや勘違いで言い争いが起き、いじめにまで発展するケースもあるという。
しかし、トラブルが起こっている一方で、クラス、部活、仲良しグループ等でのコミュニケーションインフラとして、LINEに代表されるメッセンジャーアプリは、既に欠かせないものになっている。それを禁止しても、問題の解決にはつながらないことから、上手に使いこなせるよう支援する取り組みも広がっている。大阪でコワーキングスペースを運営するKaeruは、子どもたち自身に「『こんなスタンプがあればいじめにつながらない』スタンプを考える機会を作る」ことを目的に、小学生から高校生までを対象に、「LINEいじめ防止スタンプデザインコンテスト」を開催した。
募集にあたっては、PCが使えない子どもでも応募できるよう、紙に手描きの線画でも受け付けた。189点の応募作品の中から40点を選び、漫画家のへいたろう氏がスタンプ用のデータを作成。2016年2月末を目処に、"「みんなで作ってみた。」スタンプ"としてLINEクリエイターズマーケットでの販売を準備中だ。なお、LINEクリエイターズマーケットでの規約により無料配布はできないため、必要経費を除く収益については「いじめ防止」にかかわる団体に寄付する予定としている。
採用された「いじめ防止スタンプ」の例(提供:Kaeru)
もちろん、サービス提供側も手をこまねいているわけではない。LINEは青少年のトラブル防止活動の一環として、中・高校生を対象とした公募による「悪口等のトラブルを防止するLINEの"おたすけスタンプ"」制作に乗り出した。Eテレ(教育テレビ)で放送された、「いじめをノックアウトスペシャル第6弾 ボクたちは、あきらめない。」という番組が発端となって実現した企画だ。採用された案は、トラブル抑止効果をより高める観点から、臨床心理学や教育学等の学術専門家のアドバイスを取り入れ、プロのイラストレーターによって加工したのち、無料スタンプとして2016年春頃に配信する予定だ。
スマホのトラブルを避けるために、子どもにメッセンジャーアプリなどの利用を禁止しても、根本的な解決にはならない。また、自分でいくら気をつけていても、トラブルに巻き込まれてしまうこともある。「場の空気を変える」ツールがあることで、深刻な事態に発展する前に止めることができるかもしれない。
文:水島みなと