2015/12/04

食品の成分測定ができる『分子スキャナ』をスーパーに持って行く時代に

健康管理やダイエットのために、あなたはどんなことを意識しているでしょうか? 生活習慣の改善や適度な運動も大切ですが、「食は人なり」といいます。やはり重要なのは、私たちの身体を作ってくれる「食事」でしょう。しかし、食事のたびにカロリー計算や成分表の確認をするのはいささか面倒。そんな悩みを一瞬で解消してくれるガジェットがConsumer Physics社からリリースされました。それが家庭用分子スキャナ「SCiO(サイオ)」です。

光を照射すれば、目の前のものの情報をマルッと丸裸に!

SCiOは、内蔵された極小の分光器から光を照射するだけで食材の成分、糖度、カロリーなどの情報を一瞬で分析し、スマートフォンのアプリに表示してくれるという優れものです。その手軽さにより、さまざまなシーンでの使用が可能になっています。たとえば、買い物で野菜や果物を選ぶとき、「どれがいちばんみずみずしいか?」「糖度の高いものはどれか?」を即座に知ることができます。また、いちばん脂の乗った魚を選ぶこともできれば、脂身の少ない肉を選ぶことも可能です。

家の中での使用法としては、食材はもちろんのこと、飲んだことのない薬やサプリメントの成分を分析し、安全性を確認することができたり、観葉植物に光を照射して健康状態をチェックしたりすることも可能です。

分析したこれらのデータはスマートフォンの専用アプリと完全連動し、データベースに保存することができます。食材の季節による成分の違いや、自分の摂取カロリーはグラフ表示され、視覚的に確認することができるので、日々の健康管理やダイエットの強い味方となってくれること間違いなし。

高い利便性のヒミツは極小の「分光器」にアリ

成分やカロリーを分析してくれる分子スキャナの技術自体は以前からありました。しかし、そのほとんどが研究機関に設置するような「大型」で「高価」なものでした。この分子スキャナの核となる分光器を極限まで小型化することで、スタイリッシュ、かつ手のひらに収まるほどのサイズ、そして250ドルという低価格でSCiOを生み出すことができたとのこと。

この「SCiO」、実は食品の分析だけではなく、衣類を選ぶときも服の材質を分析することもできちゃいます。新品であればタグがついている場合が多いのであまり気になりませんが、古着を探しているときにはSCiOが買い物をサポートしてくれます。革やファーがリアルなのかフェイクなのかで迷うこともなくなるというわけです。

それだけでなく、家の外壁、自動車のタイヤ、人の肌など、あらゆるものの成分を分析してくれるSCiOには、教育、医療、環境など多方面での利用が期待されています。生活者の健康への意識の高まりや、身の回りに溢れる情報への不安の影響もあるのか、クラウドファンディングサービスKickstarterでの成功も収めており、SCiOが日常生活に欠かせないガジェットになる日も近いかもしれません。

文:高橋侑希