2015/11/19

悟空型? 『骨伝導ヘッドホン』が未来の通話スタイルのスタンダードになる?

あなたは骨伝達ヘッドホンというものをご存じだろうか? 骨伝導とは字のごとく、外耳を通さずに頭部や頸部の骨を振動させ、直接、内耳に音を響かせるという仕組みのことだ。

骨伝導の「3つのメリット」

骨伝導によって音を伝えることには3つのメリットがある。

ひとつ目は、「難聴防止」。耳を塞がないので疲れづらく、難聴防止にもなるという。従来のイヤホンやヘッドホンのように、長時間、耳を塞いでいると耳鳴りの原因にもなるが、その心配がない。

ふたつ目は「音漏れしない」ということ。電車やバスで、時折ヘッドホンから音が漏れている人を見かけるが、骨伝導ヘッドホンならば音を直接骨に響かせるため、自分以外の人に音が聞こえることはない。そのため、周囲を気にせずクリアな音声を楽しむことができる。

3つ目は、「安全性」だ。ヘッドホン使用中でも周囲の音が聞こえるため、事故防止につながる。駅のホームや自動車の通りが多いところでも安全に使用できる。

骨伝導ヘッドホン自体は、今ではそれほど珍しいものではないが、その一歩先を行く「スマートヘッドホン」がイギリスで誕生した。その名も『BATBAND』。開発したのはStudio Banana Thingsというロンドンのデザイン会社。数々のデザイン賞を受賞する実力派だ。

スマホの操作機能も備える、完成されたデザイン

BATBANDが今注目を集めている理由は、まずはそのデザイン性の高さだろう。開発元のStudio Banana Thingsは社員30名ほどの小規模な会社だが、過去に製作した作品が美術館に展示されるほど、その洗練されたデザインで高い評価を得る少数精鋭集団だ。BATBANDも過去の作品同様に、美しいフォルムと、激しい動きでも落ちない機能性を両立したデザインが、その系譜をしっかりと受け継いでいる。

特に、ユーザーライクな機能にはいくつかのこだわりを見て取ることができる。BATBANDはワイヤレス式なので、コードが邪魔になることがないのはもちろん、Bluetoothによるスマホとの「完全連動」によって、いちいちスマホを取り出す煩わしさのない操作を可能にしている。

たとえば、本体右側のタッチセンサーをスライドさせれば、音楽の曲送りやボリュームの調整ができ、左側のセンサーに触れれば通話対応や電源のオンオフの操作が可能だ。マイクも搭載しているので、スマホを起動させなくともスムーズな使用ができるというわけだ。また、USB経由でフル充電すれば8時間ほど連続使用が可能という点も、充電の面倒を解消してくれる。

BATBANDは、来年4月から発送開始予定。今ネットで先行予約すると199ドル、日本までの送料は15ドルで、Studio Banana Thingsのサイトから購入可能だ。

2015年はさまざまな企業からウエアラブル端末が発売され、「ウエアラブル元年」とも呼ばれている。来年以降も、スマートガジェットが普及していく流れは加速していくだろう。私たちのライフスタイルや、街を行き交う人々の様子が少しずつ変化していくなかで、BATBANDは「便利でスタイリッシュな生活」の先駆けとなるかもしれない。

文:高橋侑希