2015/09/17

後付け型スマートロックは世界初! スマホを鍵に変える『Akerun』

外出時にかけるのを忘れそうになったり、落として失くしてしまったり、とかく付いてまわる鍵のトラブル。文字通り、ライフセキュリティのキーアイテムだけに、トラブルが起きた時のリスクが大きく、心配の種になっている人も多いのではないだろうか。この問題にひとつの解決法を提示するのが、「Akerun」だ。

後付け型のスマートロックは世界初!

Akerunは、スマートフォンを鍵の代わりに使用できる、後付け型スマートロックロボット。ドアに専用の端末を設置すると、スマホからの通信で、端末がドアの鍵を物理的に開閉できるようになるのが特徴だ。

単純に鍵の開け閉めができるだけでなく、開閉権限の付与・回収が簡単にできるので、わざわざ合鍵を作る必要がなくなる。また、権限は特定のスマホではなく、IDごとに管理されるため、鍵を紛失してしまうといった心配もない。さらに、日時を限定した権限も発行でき、ホテルの宿泊客など一時的に利用するといった場面にも対応している。

今回は、開発元であるフォトシンスの真﨑豪太さんに開発の経緯や製品の特徴を伺った。真﨑さんによると、きっかけは飲み会での鍵にまつわる話だったという。

「創業メンバーが2014年の年初に集まった際に、家の鍵を会社に忘れてきたという話になりました。そこで、『スマートフォンでドアが開けられるようにしたい』というアイデアが出たんです。3Dプリンターなどでモノ作りができるメイカーズムーブメントのさなか、実際に作ってみようということに。そこからは、メンバー全員で、毎週課題を挙げながら開発を進めていき、春にプロトタイプが出来上がりました」

鍵の取り替えナシでスマート管理

工具を必要としないので、導入のハードルはかなり低い

スマートロックというガジェットは以前にもあったが、Akerunが他社製品と異なるのは、鍵自体を取り替えるのではなく、既存の鍵の外側からかぶせて、後付けで設置できる点。5分もあれば、工具なしで誰でも簡単に取り付けることができる。

設置完了後は、Bluetooth通信に対応したスマホを使って、鍵の開閉や権限の管理などが行える。

また、「Akerun Remote」という端末と、Web管理システムの「Akerun Manager」を使えば、さらに便利に。インターネット経由で鍵の開閉、権限の管理ができるので、PCやタブレット端末、フィーチャーフォンなどでも利用が可能になる。

権限の付与や削除はWebサイトで一元管理。遠隔から鍵の状態の確認や開閉履歴の確認も行える。

万全のセキュリティー対策と24時間のサポート体制

気になるのがセキュリティーだ。真﨑さんも、「開発する上でいちばん力を入れた」と語る。「鍵の偽造やサーバーのハッキングなど、さまざまな状況を想定し、万全の対策を施した」と言う。開発時には、第三者機関によるセキュリティー診断を通過。「AES256」と呼ばれる暗号方式やユーザー登録時の二段階認証などを導入し、安全性を高めている。

安全面だけでなく、ユーザーを安心させるために、24時間対応のサポート体制も構築している。スマホを紛失してまった、端末の故障などで鍵が開かなくなってしまったなどのトラブルが起きた場合にも、カスタマーサポートに電話すれば、すぐに対応してもらえる。「鍵の問題は心理的な負担が大きいので、いつでも対応できる体制を敷くことで、ユーザーを安心させたい」という。

また、あえて完全にデジタル化していない点もあるという。
「アプリやWeb上のみで開閉するとなると、スマホを紛失した場合はどうするのかといった不安が出てくるかと思います。Akerunは既存の鍵でも開閉できる仕組みです。慣れるまでは、鍵も持ち歩いているユーザーが多いです」(真﨑氏)

"スマホで開けられるドア"から"コンシェルジェ"へ!?

機能追加を続けるAkerun。将来はコンシェルジェ機能も!?

ドアの開閉に大きな変革をもたらす可能性があるAkerunだが、「スマートロック、電子鍵はまだまだ知られていません。そのため、認知を広める必要があります」と真﨑さん。ガジェット好きや、コワーキングスペースなどのアーリーアダプターだけでなく、オフィスや飲食店、一般家庭といった幅広い層の利用を狙う。

そして、その先には、鍵のついたドアの開閉にとどまらない機能を有する将来像を見据えているのだという。

「当社では、Akerunを単なる"スマートロック"ではなく、"スマートロックロボット"と銘打っています。たとえば、雨が降りそうな日には傘を持っていくようにアドバイスしてくれたり、イベント情報やユーザーが好みそうなおススメスポットなどを教えてくれたりする、コンシェルジュ機能を付けるのも面白いのではないでしょうか。ドアは建物の外と内の境界線だけでなく、心のオンオフを切り替えるポイントだとも思います。今後は、単に便利なガジェットではなく、人の生活をサポートする大事な存在になるようにと私たちは考えています」

"スマホで開けられるドア"というだけでなく、"ドアのコンシェルジェ"化も検討されているAkerun。ポケットに入れておけば、ドアに近づくだけでハンズフリー解錠できる機能やスマートウォッチへの対応も追加されており、今後もますます便利になることが期待できそうだ。

文:ふじいりょう