2015/09/10
「人の体感」情報が、地震情報の正確な把握につながる
震度分布(気象庁発表)
緊急地震速報が鳴ったとき、まず大切なのは、自分の身を守ること。次に、「いったいどのくらいの規模の地震だったのか?」「他の場所ではどのくらい揺れたのか?」といった情報を、できるだけ早く、正確に得ることだ。災害時の迅速な情報提供を目的に開発された、ウェザーニューズのスマホアプリ「地震津波の会」では、スマホの機能を活用した地震の揺れの自動観測と、会員による揺れの体感報告機能で、揺れの規模を確認できる。
「地震津波の会」は、「地震や津波の発生時にも必要な情報に必ずつながる」ことを目的として、ウェザーニューズが2013年に発足したコミュニティー。緊急地震速報のプッシュ通知のほか、地震情報、津波情報などを提供する。揺れの自動観測機能と体感報告機能は、集まった観測データから揺れの実態を調査することを目的として、2015年6月に追加された。
「揺れの自動観測機能」は、あらかじめ設定画面で"揺れ測定機能"をオンにしておくだけで、緊急地震速報発表と同時に、スマホに内蔵された3軸センサーによって揺れの観測を開始。揺れの到達予測時刻から3分間のデータが記録される。測定された揺れの情報はサーバーに送信され、揺れの影響範囲や強さの変化の情報が他会員にも共有される。
スマホによる自動観測結果
自動観測機能がセンサーを利用した客観的なデータの共有であるのに対して、揺れの体感報告機能は「人の感覚」によるデータの共有だ。利用者が地震発生時に感じた揺れの強さを「すさまじい」「激しい」「強い」「弱い」「揺れたかも」「感じない」から選択し、揺れ方を「ドンッ」「ユラユラ」「ガタガタ」その他から選び、時刻と位置情報と合わせてサーバーに送信する。システムの試験運用中だった2015年5月30日に発生した関東で震度5強の地震では、全国の約2,000名から揺れの体感報告が届いた。結果をマッピングしたところ、地震の震度情報と強い相関が見られ、人間の感覚は地震に対する有効な高感度センサーであることが立証されている。
揺れの体感報告画面
体感報告のマッピング
「地震津波の会」では、地震発生時にも必ず情報が届けられるように、定期的な「減災訓練」で接続テストや動作確認を行っている。減災訓練の実施予定はアプリ内で告知され、「訓練に参加する」機能をONにしているユーザーには訓練用緊急地震速報が配信される。ユーザーも自宅、勤務先、交通機関など、任意の場所から訓練に参加することで、緊急地震速報が届いたときにどのような行動がとれるのかを検証できる。とっさのときに的確な行動を取り、生き延びるために大切な、日頃の訓練でこうしたアプリを活用してみよう。
文:水島みなと