2015/09/04
手のひらに乗せて見る、「今」の地球
気象観測に欠かせない気象衛星。日本の新しい気象衛星「ひまわり8号」が、2015年7月7日から運用を開始している。先代のひまわり7号に比べると、カメラの解像度が2倍になり、カラーの可視光画像が撮影可能になるなど、大幅に性能がアップしている(下図参照)。テレビの天気予報の背景に映る衛星画像が、格段に美しくなったことに気づいた人も多いだろう。
そんななか、きれいになったひまわり8号が撮影した画像を、ほぼリアルタイムでパソコンやスマートフォン、タブレットなどで見ることができるウェブアプリ「ひまわり8号リアルタイムWeb」が公開されている。
画像提供:NICTサイエンスクラウドひまわりプロジェクト
公開されている画像は、「地球全図」と「日本列島」の2種類。地球全図は10分おき、日本列島は2分半おきに更新されており、画面下のスライダーを動かして、太陽が移動していく様子や雲の動きを見ることができる。「ひまわり8号動画ライブラリ」では、日付別に1日の雲の動きが分かる動画や、ひまわり7号との比較、大きな台風や噴火した火山などを集中的に観測した「機動観測」の様子が分かる動画も公開されている。
日本は夜明け前。東から夜が明けていく様子が見える(画像提供:NICTサイエンスクラウドひまわりプロジェクト)
日本に接近する台風の大きさを衛星画像で実感する(画像提供:NICTサイエンスクラウドひまわりプロジェクト)
「ひまわり8号動画ライブラリ」では、1日の雲の動きや、過去の台風・噴火などの様子を見ることができる(画像提供:NICTサイエンスクラウドひまわりプロジェクト)
このウェブアプリは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が、気象庁と千葉大学環境リモート研究センターの協力で公開しているもので、NICTサイエンスクラウドのビッグデータ技術開発プロジェクトの一環として実施している。ひまわり8号は年間150TB(非圧縮時)もの膨大なデータを出力するため、気象の研究だけではなく、大容量データの伝送技術、ビッグデータの管理・処理技術、データ可視化技術などの研究材料としてもうってつけなのだ。
ひまわり8号リアルタイムWebには、現在時刻を常に表示する機能や、GPSと連動してスマートフォンで現在地の雲の様子を衛星で見られる機能もある。手のひらの上で美しい地球を眺めて、広大な宇宙に思いを馳せてみよう。
文:水島みなと