2015/09/02

ハイテク必勝ダルマが光と音で目標達成を応援する

写真提供:MOTI社

ニューヨークのMOTI社は、エール大学で芸術と機械工学を学んだKayle Matheus氏が2014年11月に創業したスタートアップで、MOTIというガジェットを開発している。机の上などに置く丸っこいガジェットだが、光を発したり振動したりすることで、持ち主の日常生活の習慣を改善するヘルスケアの――流行り言葉でいうなら「行動変容」を促す――の機能を持っている。

写真提供:MOTI社

今年の夏から秋にかけての販売開始を目指してβテストが行われているが、そもそものアイデアはGoogleなどがスポンサーとなり、彼女が昨秋参加した「30 Weeks」というデザイナーの起業を支援するプログラムで生まれた。痩せるために運動するとか、外国語を勉強するとか、1日3回歯を磨くといった「行動変容」を起こすためには、「トリガー(きっかけ)」「ルーティン(日課)」「リワード(ごほうび)」の3つが肝心で、ガジェットに褒めてもらったり、叱ってもらったりすることで動機づけが維持される。単にスマホの画面で「やったね!」と表示されるのではなくて、具体的なモノが変化する様子を見聞きすることで、ポジティブ側にもネガティブ側にも気持ちが大きく動くのだという。

写真提供:MOTI社

写真提供:MOTI社

毎日、何かをやったら、MOTIの「顔」にあたるボタンを押す。さぼっていると「顔」が赤くフラッシュして叱ってくれるし、なにかを行って――たとえば、毎日、水をたくさん飲もうと決めて、飲むたびにMOTIを押したら――優しくグリーンに光って音を出す。押すたびに、発する音はちょっとだけ長くなって、目標を達成したときの音は「やったね!」感を醸し出してくれるのだ。MOTIそのものを目にすることで、今、自分になにを課しているのか思い出すことができる。

ところで、このつるっとした丸っこい姿は、どことなく必勝祈願のダルマにも似ていないだろうか。ダルマを買って、片目を入れて、目標を決めて頑張り、達成したら両目を開ける。ダルマを見るたびに、自分が何を目指しているか思い出せるし、両目を入れるために頑張ることができるはずだ。

カレンダーに印をつけたり、営業実績のグラフを壁に貼ったり、似たようなことを実生活でいろいろやっているから、MOTIには実際に動機づけする力があるのかもしれない。発売時の価格は未定だが、βテスト参加者は65ドルを負担した。さまざまなデザインを試して、本格的に発売を開始したら、βテスターにはもうひとつ、無料で提供されるとのことだ。

文:信國謙司