2015/08/03
国民『総選挙』時代が到来する? 駅前タッチパネルの設置で簡単人気投票
去る6月19~28日の10日間、JR秋葉原駅の構内で、とある「総選挙」が行われた。スマートフォンのゲームに登場する女の子のキャラクター15人が、一人ひとり表示されたタッチパネル式のデジタルサイネージを「なでる」ことで、そのキャラクターの人気投票をするというものだ。
ゲームキャラへの自由投票。そして秋葉原という、「アイドルカルチャー」と相性が良く、かつデジタルサイネージあふれる土地......。画期的ではあるものの、限られた層のみに向けたイベントに見えるかもしれないが、実はここには次の時代の新しい「人気投票」や「調査」の可能性があるように感じる。
例えば現在、各メディアが行っている内閣支持率などの調査はRDD(Random Digit Dialing)調査法という、無作為の番号に電話する方法をとっている。しかし、電話を使うこのRDD調査法は、調査を実施する時間帯に自宅で電話を受けられる人しか回答できないという欠点がある。また、最近では専門ニュースサイトやインターネット調査会社が、Webでのアンケート調査を行うことがあるが、こちらはその分野に強く、興味のある人に意見が偏りがちであることを指摘されている。そもそもサンプリング(標本)調査は、どうしても回答者へリーチする手段による偏りが現れるものなのだ。
その点、投票する人にとっても、CMやプロモーションを展開したい企業にとっても新たなコミュニケーションの架け橋になり得る。
運営スタッフによるとイベント開始から5日間で3万5,000回以上「なでなで」されたという
これを試金石として、地方の主要駅やショッピングモールなどに、タッチパネル式のデジタルサイネージで大々的にさまざまな人気投票をやってみると面白いかもしれない。交通系ICカードやポイントカードと連動させて、投票してくれる人に、何かうれしい"ごほうび(おみやげ)"が用意されるといった、投票促進のアイデアも広がる。この「総選挙」を見て、「これから国民『総選挙』時代が到来するかもしれない」――という夢を見るのは少し大げさだろうか。
文:クロサキアキヒロ