2015/05/13

あの文豪がスタンプを送信? LINE風画面で名作を味わい尽くせ

来年2016年は夏目漱石の没後100年を迎えるとあって、新聞数社で小説の連載開始や、ゆかりの土地としてアピールする自治体が登場。さらに今年3月には、文豪を擬人化させ、能力バトルをする漫画『文豪ストレイドッグス』が120万部を突破するなど、今、各界で"文豪"に熱い視線が送られている。

ところが、いざその作品を読んでみようと本を開いてみると、文豪の名文に敷居の高さを感じるかもしれない。読書が苦手な人にとってはなおさらだろう。もっとフレンドリーな文体で、身近な存在だったらいいのに......。

そんな願いを叶えてしまったのが、ウェブサービス「文豪メッセンジャー」だ。サイトのデザインはLINE風で、文豪のアイコンがトークのような吹き出しで物語の会話部分を発言。それに対してまるでユーザーが受け答えているかのように、会話文が交互に繰り返されることで物語が進行していく。あたかも文豪と自分がトークをやりとりしているように物語を読み進めることができるユニークなサービスだ。

使い方は、いたってシンプル。サイト「文豪メッセンジャー」にアクセスし、画面左上の本のマークをタップ。「青空文庫」から読みたい文豪のXHTML形式版URLを入力することで作品を取り込むことができる。例えば、太宰治の名作「走れメロス」の場合、画面上には「走れメロス」という作品名とともに、「太宰治が入室しました」というメッセージが表示される。作品を読み進めるときは、画面下の「トーク」をクリックすると、一文ごとに文章が表示されるという仕組みだ。

さらに、本家LINEの最大の特徴であるスタンプもしっかりと文豪が投稿する。一定の確率で画像検索した結果に基づき画像が投稿される仕様とあって、いわゆる"挿絵"としての機能だと思いきや、クスっと笑いが込み上げる"スタンプ"を投稿してくるのだ。ネットユーザーのあいだでは、そのふい打ちが「面白すぎる」と話題になったほどだ。

制作者のみやおかさんによれば、「文豪とメッセンジャー友達だったら小説を読むのがはかどるんじゃないか」というコンセプトのもと作られたというこのサービス。確かに、お堅いイメージのある文豪も、これだとグッと親近感がわいてくる。

PCはもちろん、スマホでも手軽に文豪の名作をメッセージアプリ風で楽しめる「文豪メッセンジャー」。いつもの通勤通学時、ちょっとした空き時間に文豪の名作を取り出せば、日常をもっと楽しく、人生をより豊かにしてくれるはずだ。

文:山中一生