2017/05/29

【紳士のSNS講座】第27回 新茶の季節、ペットボトルのお茶で「風流なオレ」を語る

立春から数えて3ヶ月弱。つまり「八十八夜」を過ぎたこの時期は新茶が出回るタイミング。SNSでは「季節の移ろいに心を配る風流なオレ」を存分にアピールする絶好のタイミングです!

ポイントは「お茶のことをよく知ってる感をいかに演出するか」です。

茶道に精通している必要はありません。あくまで「知ってる感」。そこさえうまくいけば、あら不思議ペットボトルのお茶を並べるだけでなかなかの「茶人」に見えてくるものです。

では作例を見てみましょう。

■ポイント※①共感を得てから突き放すことで、「差」を見せつける

季節モノは取り上げたもの勝ちです。今回は冒頭から「新茶」がテーマであることを宣言しましょう。正直、普段あまり気にかけないことだけに、フォロワーに「やられた!」感を与えます。

ただし、「日本人に生まれてよかったよね」によって、「もちろん、新茶の季節は皆もそう思ってると思うけど」と謙虚さを示し、先制パンチで与えたざわつきを即座に鎮火することを忘れてはいけません。

・・・・・・と安心させたところで、「まぁ自分は〜〜」で差別化。お茶に関しては皆とは違うレベルにいることを示します。先制パンチから、肩を叩き合った仲間と思わせておき、やっぱり手の届かない存在だったという鮮やかな裏切り! フォロワーの心理を完璧にコントロールしたジェットコースターお自慢に、フォロワーはフラフラになります。

ちなみに調べてみるとお茶の産地って日本全国、結構あります。宇治や静岡じゃなくても、地元付近に少しでも引っかかる地域があるなら、堂々といっちょ噛みしときましょう。

■ポイント※②フォロワーの手の届く範囲で、理解できるレベルでのお自慢を展開

たとえば数学の難問でも、「解き方」そのものを示すより、「東大理数系レベルの難問を解いた」と説明した方が聴衆は感心してくれます。同じように、圧倒的茶人知識や作法などを語っても、フォロワーたちは置いてけぼりになるだけ。新茶に関して語れる知識があるか否かはさておき、語りすぎてはいけません。

銘柄と、監修している老舗茶園の名前はペットボトルのラベルにちゃんと書いてあるので、それを羅列しちゃいましょう。監修は「さん」づけするとそれっぽくなりますね。

味の感想が難しい? 矛盾する要素を並べておけば、それっぽく見えますよ。

■ポイント※③「あえてペットボトル」というエクスキューズ

前半の「お茶に対しては一過言あり」という素地のうえで、後半「あえてのペットボトルのお茶だって美味しいよね」。これはアレです、「お金持ちなのに電車で移動してます」的な、「ボクシング部のヤツが一般生徒とケンカしたあとに『お前、いいパンチ持ってるな』って言う」的な、詰まるところ自分の好感度上げにつながる状況をマッチポンプ式に醸成する手法です。

今回は「新茶」がテーマでしたが、「新米」や「新そば」、「海産物」など、自分の出身地に季節を語れる名産物があれば、簡単に応用できます。結局、「ペットボトルのお茶うまい!」しか言っていませんので。

絵:Shu-Thang Grafix

講師:武田篤典

何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。

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