2017/03/23
【紳士のSNS講座】第23回 花見の季節に、お花見センスをお自慢する
お花見の季節ですね。
でも、お花見って実は意外にお自慢の幅が狭いんです。だってみんなアップするから。
時節ネタとしてはハロウィンのように、「現場に出向いて驚く(そして軽くディスる)」というお自慢ワザもありますが、今回はストレートな方向性でいきます。
テーマは「風流」。
お自慢のポイントは、「情報咲くサイトのお花見コーナーには掲載されていない、地元の地味〜な人知れず咲く1本の桜に美しさを見出すオレの審美眼」。ワビサビの世界ですから、いつものように強烈な自己主張はしません。じわじわと広がってくる薄味の奥から、確実にしっかり立つ出汁の旨味。そんなお自慢を心がけました。
では作例、ご賞味あれ。
■ポイント※①なんでもない桜に美を見出す審美眼。「侘び寂び」でオールOK
フツーにキレイな満開の(あるいは桜ピントのバックボケの)桜は、この時期ものすごくたくさんSNS上に躍ります。ここでのポイントは、どんな桜を選んで「オレの桜」として紹介するか。フツーにキレイな桜はまさにフツー。それ以外で、あまり有名じゃない桜ならば問題なし。
帰りにひと駅手前で降りるぐらいの近所ならばリアリティが増すし、「桜を見るのに遠回り」ってなんか風流じゃないですか? なのでその辺の描写入れつつ、あとは「ワビサビ」がマジックワード。地味でパッとしない桜でも、説得力がグッと増します。
■ポイント※②フツーの花見への疑問提示による、オレのオリジナル花見アゲ
この3行のなかに、他人サゲとオレアゲが凝縮されて読み込まれています。
まずベタな有名花見スポットへ盲目的に馳せ参じることへの批判もあります。目黒川とか上野公園とかに行っておけばいいのではなく、自分の美意識に則って、「好きな花見ポイントを見つけるべきだ」(そしてオレはできている)という主張。さらには、「以前は自分も目黒川は好きだった」という告白と、すっかり人出が増え変質したことに対するがっかり感=ワビサビ男の悲哀も漂わすことにも一役買います。
■ポイント※③「本当の花見とはこういうことだ!」というお自慢
ここには3つのお自慢が潜んでいます。まず「青田買いお自慢」。いかに前からお自慢対象のことを知っていたかの表明です。多くの人は咲いてから桜を認識しますが、彼の場合はなんと「去年の秋」。花のない桜の木を見て満開に思いを馳せる超最速のトレンドセッターお自慢も炸裂しているのです。
そして「思索お自慢」。前段のフェス系花見では決して到達することのできない高み。桜を眺め、美酒を傾けて、人生を思う。これこそが「真の花見」である、という主張。
最後は「友人たちへの触発お自慢」。オレはこの場所を知ってるけど、みんなに教えない。ゴメンね・・・・・・という、詫びの体の、実はお自慢。読み手に「オマエはオマエで、お自慢できる花見スポットを見つけろよ!(オレは見つけたけど!)」っていう。
あ、言い忘れていましたが今回のお自慢最大のポイントは、ぼっちでも実践可、という点です。会社や友達同士の花見なんて関係ない! オレだけの桜を孤高に楽しみましょうぞ!
絵:Shu-Thang Grafix
講師:武田篤典
何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。
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