2017/02/07

【紳士のSNS講座】第20回 バレンタインデーは、チョコをもらわずしてお自慢する

季節が巡るのは早いものです。

ただでさえ早いのに、街の風景が拍車をかける。ついこのあいだまでクリスマスかと思っていたらば、お正月。お正月かと思っていたらば、もうバレンタインです。「本命チョコには無縁だ」という理由で、この恰好のSNS投稿チャンスを逃す手はありません。

そこでご紹介するのは、バレンタインチョコの獲得個数にかかわらずできるお自慢を一席。極端な話「ゼロ」でも、存分に語ることができます。

さまざまなチョコレートや製菓材料が店頭に並ぶ時期、アイドルではないのですから、もちろん「個数」などでお自慢できるはずもありません。

そこで紳士ならば、1個ずつのクオリティーにこだわるのが、まず一手。さらに、その1個にどんな背景があるかを紐解くことは、十分なお自慢要素になります。

今回の作例。「過去にもらった話」はしているものの、今年の成果については一切言及しません。

そもそも自分はチョコレートが好きである→バレンタインデーの時期は様々なレアなチョコを手に入れるチャンスである→だから私はチョコを話題にする・・・・・・という「ショコラ三段論法」をもとに、本来のバレンタインのあり方を完全に無視して、チョコ好きという1点突破でお自慢を展開するという力技。チョコレートへの姿勢は完全に"攻め"。しかもよく見ると、意外にちょこっとしか知識がなくても煙に巻けるという。・・・・・・チョコだけにね。

では作例を見てみましょう。

■ポイント※①バレンタイン関係なくチョコレートが好き、というスタンスを表明

「バレンタインだから」と世間は浮かれ、年に一度のチョコレートへ真摯な視線を注ぎます。
「自分はそうではないのだ」という点をとにかく明らかにするのがこのパート。風物詩だから追いかけるのではなく、人生を通して好きなのであると表明して、安易に流行りに乗っかる層との差別化を。

この人がショコラ好きでもそうでなくてもいいのですが、よくよく読んでみると、巧妙にディテールは回避されています。ベースはせいぜいが「ヨーロッパツアー」と「カカオの産地」。ここでは10年前から産地を意識していると表現していますが、5年前でも3年前でもよしとしましょう。

ともあれ、従来と違う価値観を"ちょっと前"から持って "ショコラ"と対峙しているという事実さえあれば、「バレンタイン、ウェ〜イ」と盛り上がっている"浮動票"と差をつけられるのは明らかです。

■ポイント※②バレンタインデー憎しで投稿しているのではないことを明確に

地味ですが意外に重要なパートです。ここをきちんと処理しておかなければ、冒頭のバレンタイン無関心感が、単に「自分がもらえないから拗ねている」いうふうに理解されてしまいかねない。時々"本命"はもらってきたのです。それをはっきりさせておくのに必要なパートです。

もし万が一、あなたにモテモテな過去があればきちんと触れておかねばなりません。コンプレックスから意見を明らかにするだけでは「お自慢」は成立しません。

むしろここでは自分が「バレンタイン、ウェ〜イ」側の人間であることを記しておいたほうがいいでしょう。まあモテモテの過去なんて、幼稚園とか小学生時代で構わないのですから。そもそも具体性を求められる要素ではないので、「もらったことあるぜ!」ということ自体、ハードルの高い捏造ではないでしょう。

■ポイント※③とはいえ、今年もらう新しいチョコの呼び水にするに越したことはない

ここまで、いかに自分が "従来の日本的バレンタインデーへの関心がないか"、"そうした孤高のショコラーであるか" を表明してきました。でもやっぱり女子からのチョコは欲しいですよね? だから最後のパートは非常に重要。

読めばおわかりの通り、自分がすでにショコラのイベントで買ったアイテムを明らかにし、女子たちに物々交換を投げかけています。

重要なのは立場的に「イーブン」であるということ。ここでは女子とのあいだのいわゆる「友チョコ」を提案しています。もちろん女子からの愛のこもったチョコが欲しいのはやまやまですが、ここで提案しておけば、空振りに終わることはありません。またいつも通り、SNSの活性化につながるという点でも重要でしょう。

絵:Shu-Thang Grafix

講師:武田篤典

何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。

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