2016/11/16

【紳士のSNS講座】第14回 衣替え中に見つけた「昔のヤンチャだった俺」をお自慢する

油断しているうちに一気に冬が来ましたね。つい先週までは夏布団を足に挟んでスヤスヤ寝てたのに。家の中ならTシャツ短パンで平気だったのに・・・・・・。もはやイタリアのあのブランドのダウンとか、英国紳士向けの歴史あるコートとか、天国のような肌触りのカシミアとか出してこないと、寒さをしのげなくなってきたじゃないですか!

といわけで、今回は「衣替え」でお自慢してみましょう。気付きましたか? 上記ですでにやっちゃっています。こんなふうに手持ちのおしゃれアイテムをバンバン羅列したりするのもカジュアルお自慢になります。季節の変わり目は、「それまでの自分と違う自分」感をアピールするのに最適な機会なんです。

テーマは「昔バンドやってた頃の服発見!」。いわゆる「黒歴史自虐風アプローチ」ですが、いかに「黒」感を出しながら、「歴史」を小出しにするかがポイントになります。作例を見ていきましょう。

■ポイント※①本当は今すぐ当時の写真を投稿したい。でも、じらします

SNSはコミュニケーションの場です。オーディエンスとのコール&レスポンスあってこそのお自慢ですから、私たちは常に「コメントしやすくなる投稿」を心がけるべきでしょう。

今回の場合、「※①」がポイントとなります。オーディエンスに「その先」、つまり当時の写真の存在を匂わせます。でも見せない。さらに「金髪&ピアス」のくだりで、見たい感の醸成に拍車をかけます。情報だけ与えておいて想像させて、でも見せない。まだ見せない。政治家が立候補するときの戦略を参考にしてください。世論が高まるまで機を待ちます。

余談ですが、実は「サイズはまだたぶんイケる」のくだりにもうひとつの巧妙なお自慢が隠されています。学生時代に履いていたスリムのブラックジーンズを今でも履ける=体型が変わっていない若々しさをほんのり匂わせています。ここら辺、今の同僚だけでなく、かつての同級生を意識している「お自慢意識高い系」といえます。

■ポイント※②ひとことでリアリティとロック感を醸成

ロックやってたっぽい感じが出るようなワードを挿入しておきましょう。唐突でかまいません。好きなギターのメーカー名とかを勢いよく!

■ポイント※③で、結局、見せない

結局、最初の投稿時に昔の写真は見せません。

その代わり、「朝イチのMTG」という現実的な要素をおいて、「革ジャン・蛇T・金髪ピアスのオレ」とのミスマッチ&ファンタジー感を際立たせます。で、トドメが「さすがに似合わんだろ〜な〜w」。

「そんなことないよー」「あんときのライブ写真まだあるんかいwww」「見たい見たい」的な、各方面からのレス祭りが目に浮かぶようですね!

■ポイント※④好機を逃さず、コメント欄に写真公開

ほどよく場が温まり、いい感じの「くれくれ」コメントがたまってきたら、ようやく「マジでヤバイもん発見!!!!」などと過去画像を流出させましょう。

あの温厚で理知的で家庭的なビジネスエリート・タケダさんの、「やんちゃしてた時代」の登場です。もう1回ぐらい、いい意味での炎上は起こるでしょう。ただくれぐれも引っ張りすぎないように。平たく言うと出てくるのは単なる「おっさんの昔の写真」です。

オーディエンスたちの「見たいブーム」、せいぜい持って半日ぐらいでしょうか。

絵:Shu-Thang Grafix

講師:武田篤典

何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。

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