2016/10/14

【紳士のSNS講座】第12回 新ドラマに、自分が知ってる店が使われていることをお自慢する

10月ですね。年間4回あるテレビの改編期のひとつです。ネットのがエライと言われて久しいですがテレビの影響力・浸透力にはまだまだ大きなものがあります。

地方都市が舞台となったアニメでは、そこを"聖地"として同じアングルで写真を撮ったりアップしたりするのが流行っていますが、ドラマのほうでは依然として都市部が舞台になるのが中心。で、首都圏で暮らしていると、普段自分が活動しているエリアがたまたま舞台になったりする僥倖に恵まれることもあります。

今回のテーマは、それ。しかも一歩踏み込んで、自分の行きつけの店がまさにロケ地になった場合のお自慢の仕方を見ていきましょう。はしゃいではいけません。すでに常連であることのアドバンテージを前面に押し出すのがポイントです。

■ポイント※①「なぜドラマの投稿をしたのか」の言い訳で、まず軽くお自慢ジャブ

あなたが普段からドラマの感想をよくアップしている人なら、このくだりは不要なのです。だって普通のことだから。でもそうじゃないなら、「自分のよく知ってる場所でドラマのロケが行われたことにはしゃいでいる人」認定されてしまいます。だからきちんとした言い訳は必要。

慎重にカムフラージュしておかないと「必死か!」のそしりは免れません。あくまでも「偶然見たらそういうことになっていた」を装いながら、それを別のお自慢に転化する。

ここでは「月曜から夜10時には家にいられない忙しさ」「せっかく早く帰宅しても、あえて自分の趣味の領域ではないドラマを見てリサーチする意識の高さ」をそれとなくアピールしましょう。

■ポイント※②スタンスはあくまでも「巻き込まれ事故」

端的にいえば「俺が5年通っている月島のバーがドラマの舞台になっている」ということ。お自慢主義者にしてみれば、絶好のお自慢ネタでもあります。以下のようなお自慢要素がここにはぎゅっと凝縮されています。

  • ・ドラマに出るような店に、ずーっと目をつけていた俺のセンス。
  • ・実際の経営者を「ちゃん」づけで呼んで公共の場に投稿できる常連度合い。
  • ・画面に映っていない要素まで語れる経験値。
  • ・常連だからこそ一見さんを警戒する気持ち→店名の伏字。
  • ・通っていた理由が「マスコミ業界のインサイダー情報を得る」という意識の高さ。

自分の"庭"がみんなの"聖地"になることについて、実は嬉しい。でもそれを前面に出さずに、「ちょっとうんざり」というスタンスを取るのが、お自慢紳士たるもののマナーということもお忘れなく。

■ポイント※③ドラマを論評するというアリバイづくり。あとは自由だ!

「メタ」とか「行間」とか「伏線」とか言っておけばOKです。これは「流行りのドラマを見て勉強しよう」という自らのフリに対する回答。これで、義務は果たしています。

ドラマの放送中、彼は何度かこの作品に関して投稿するでしょう。「ほとぼりが冷めたら」とか言いつつ、「バー・トレンディ」(あ、言っちゃった!)に行って写真を撮ってアップするに違いありません。でも今後ドラマの内容には触れません。

「メタ」とか「行間」とか「伏線」とかを適当に言ってることがバレては大変なので、あとは「シゲちゃんマスター」との交流をひたすらアップすれば3カ月はこのお自慢で食いつなぐことが可能。願わくば、そのドラマが、ネット炎上するような駄作になりませんように。大ヒットして、あの店が一層認知されますように!

絵:Shu-Thang Grafix

講師:武田篤典

何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。

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