2016/08/18

【紳士のSNS講座】第9回 「マイナー競技に注目している、目の付けどころがシャープなオレ」をお自慢する

世界的スポーツイベント、お自慢にうってつけです。

世界的スポーツイベントといえば、もうひとつ有名なサッカーの方のヤツがありますが、あっちはなかなか難しい。なぜならサッカーについて「語らなければならない」からです。世の中には、サッカーに関して尋常じゃない知識を持っている"プロ"がいっぱいいて、適当こいて論破されると恥ずかしいからです。とても恥ずかしい。

片やスポーツイベントは、バリエーションがものすごくたくさんあって幸せです。もちろんメジャースポーツの代表チームや著名選手を応援することで、「ピュアな少年の心を持つオレ」、もしくは「かつて自分が打ち込んだ種目を応援することで、かつてスポーツマンであったオレ」を遠回しに自慢するという、極めてオーソドックスで安全な方法もあります。そうそう、「中継に写った景色の場所行ったことあるお自慢」もありますね。

今回は、種目の多さに乗じて、「あまり知られてない競技をプッシュする、目の付けどころががシャープなオレ」自慢を披露したいと思います。ここには、様々な行き掛けの駄賃が眠っているんですよ。

■ポイント※①「寝不足」はスポーツ大会中の季語。上手に組み込んで、共感を得ましょう。

このあと始まる今回のお自慢は、「あまり知られていないことを教える」、つまり「上から目線に見える」というリスクをはらんでいます。いらぬ反発心を抱かせないためには、「私とあなた、同じステージに立つ仲間」というメッセージを冒頭で送り、懐柔しておくことがとても重要になってきます。

「睡眠不足」はさまざまなスポーツの祭典開催時につぶやかれます。この時期は、それだけで同志。もちろん録画ではなく、リアルタイム視聴派。日中、眠くてしょうがなくなってでも、代表選手の活躍を応援する。そんな気概で結ばれた、即興の仲間・・・・・・。

「お、ワイもやで!」。そう思わせちゃえば、もうあなたの術中(なかま)です。

■ポイント※②あまり知られてない競技に着目する"選球眼"を自慢する。

今回は、要するに「人とは違うユニークな視点を持つオレ」の自慢です。リスペクトさえあれば、違うスポーツでも問題ありません。普段、日本では話題に上りにくい競技を探してください。早い者勝ちなので、急ぎましょう。

「ロンドン時代」「バーニーに勧められて」について、無粋な説明を加えていない点もお自慢スキルが高く、好感が持てます。「あ、そこは本題じゃないから割愛するけど」感の醸成が絶妙です。旅行で行ったことがあるだけなんですけどね。ウソはついていませんからセーフです。

また、選手名などの固有名詞も効果的に配置しましょう。真実味が増します。詐欺師の手口ですが、誰も不幸にはならないのでセーフです。

■ポイント※③愛を叫びましょう。

オレがハマってるというだけで終わらないことが、実は重要です。「楽しめる」「見てね」とひと言を添えるだけで、あなたのお自慢は、無邪気な「競技愛」へと見事に昇華されます。さらに、届くはずのない日本放送協会へのお茶目な陳情も、競技への盲目なる愛情を示す効果を発揮していますね。

「あまり知られていないスポーツを、素敵なきっかけで知ってハマってる」ということを述べておけば、素晴らしいお自慢になるだけでなく、場合によっては「流行の半歩前を行っていたお自慢」にもつながるのです。有望そうな選手の名前を調べてつぶやいておくのも効果的でしょう。

絵:Shu-Thang Grafix

講師:武田篤典

何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。

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