2016/07/29

【紳士のSNS講座】第8回 「投票に行ったこと」を、いかに「投票に行った感を抑えて」お自慢するか

いかにSNS上でエレガントに「お自慢」できるか? これが紳士SNS講座の目指すところです。今回のテーマは「投票に行ったことをお自慢する」です。

時事ネタはまさに「お自慢」の題材としては最適です。ただ、SNSで「政治」を語ることは推奨できません。昔から言われますよね? 「飲み屋で政治と宗教と野球の話はするな」と。必ず議論になり、口喧嘩ならまだしも......拳喧嘩にも発展しかねないお題ですので。SNSなら間違いなく炎上、非エレガントの極みです。
ただし、「投票」ならば話は別。政治について具体的に何かを語ることなく、政治について考えている人なのだ、ということをアピールできるわけですから。「投票」はそんなマジックワード。

今回は「投票」をいかにさりげなくプレゼンテーションできるか、がポイントになります。

では、作例をみていきましょう。

■ポイント※①ポスト全体を支配しかねない「投票」。必ずほかの行動とセットで。

「意識の高さ」をお自慢するのに、「オレって、意識高くね?」と主張するのは、まったく意識が高くありません。自意識が前面に出すぎです。作例のように、必ずほかの行動とセットにしましょう。

ただし、「帰り道でゴミを拾った」とか、「募金をした」とか「グラフィックレコーディングのセミナーに参加した」とかいった、意識の高い行動の上塗りはいただけません。作例のように、なるべく無邪気な行動とセットにすることで、「照れ隠し」を演出できるようになれば、お自慢上級者といえるでしょう。

■ポイント※②なんか良さげなことを言う

ここは、バランスです。本当は投票に行ったことを世間に全力で発表したいわけです。もしかしたら、気づいてくれない人がいるかもしれません。もう少しだけ引っ張っておくという安全策。難しいことを言う必要はありません。なんか良さげなことを書いておけば大丈夫。

実際のところ、ジャングルジムから夕焼けを見る政治家が有能かというと、なんの関係もありません。でも、"ジャングルジムに登って、眩しそうに夕日を眺める若手政治家"って(勝手に良さげなワードを足しちゃいましたが)、なんだかドラマの1シーンみたいじゃないですか。政界を舞台にしたラブコメ的な。

恥ずかしがってはいけません。こういう「良さげ」が、新たな層の共感を呼び、新たなリプやシェアに繋がって、もうウハウハです。しかも「良さげ」だから、リアクションしてくれるみなさんも、リアクションしていることに気持ちよくなったり......。

■ポイント※③日々の営みのひとつであることを強調し、ハッピーエンドに。

この作例では、写真も重要です。キレイな風景とおいしそうな料理で、見る人の生理的な快感に訴えかけ、「投票」という非日常を、三丁目感溢れる庶民的日常のなかにうまく溶け込ませています。

「普段の何気ない"暮し"の一部として、そういえば投票に行ってきましたよ」という、『とと姉ちゃん』的なさりげなさを演出する素晴らしい作法と言えるでしょう。細かい話ですが、文末の「幸せ」は当然、投票にもかかっていますね。

絵:Shu-Thang Grafix

講師:武田篤典

何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。

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