2016/06/29
【紳士のSNS講座】第6回 嫌われがちな「仕事忙しいアピ」を巧妙に、エレガントにカモフラージュする
今回は難題の「仕事忙しいオレ」お自慢です。仕事が忙しいみなさん。終電まで頑張っているみなさん。「こんなにオレ頑張ってるんだから自慢のひとつやふたつ、させてくれよな!」......いいんです。思い切り自慢しちゃいましょう。要は、巧妙にカモフラージュしてしまえばいいんです。
なにでカモフラージュするかはセンスの勝負
では、作例をみていきましょう。
ポイント①
隠蔽されている最大のお自慢は「忙しいオレ」
この投稿の最大の目的は「忙しさをお自慢したい」です。
あえて具体的に「忙しい」とは明言せず、読んだ人に読み解かせるのがポイントです。
「伊藤若冲の展覧会に行けないこと」と「アマゾンで本を買いまくることがストレス解消」という2つのピースをはめ込むと「俺は忙しいんだぜ」というメッセージが自ずと現れてきます。
「相変わらず、忙しそうですね(^_^;)」とか「おからだにお気をつけて」なんてコメントなど得られようものならしめたもの。「じゃあ今度一杯行きますか」的なお誘いが発生すればコレ最高。同僚と愚痴り合いながらよりも、ずっと美味い酒になりそうですし。
ポイント②
カムフラージュとしての「本好き」もまたお自慢。
「どうだい? 俺ってこんなにいろんな本読んでるんだぜ」というお自慢です。DJにおける選曲や、スタイリストにおけるコーディネート同様、この部分こそお自慢の腕の見せどころといえます。
「都市工学」(=字面がカッコいい)、「江戸の食文化」(=なんか渋くて興味ある)、「アジアの寺院」(=ニッチ。写真集なのでパラパラめくるだけで可)、「オヤジ向けファッション誌」(=弱点のアピール)、「サッカー漫画」(=少年の心アピール)。 ......なんか、いやらしいまでに完璧じゃないですか。ジャンルもさることながら、用途をチラチラ見せてるところも周到です。仕事の息抜きに仕事の本を買うところとか、夏休みにアジアを旅することをイメージさせるとか、本当は毎月購読しているかもしれない「オヤジ向けファッション誌」をサラリと「興味本位」で流しているところも。
この人、間違いなくモテようとしていますし、かなりそのアピールに成功していますね!
ポイント③
レスを発生させるエンディング。
「てか、びっくりするぐらい本好きだね、オレってばwww」。
この1行前で終わったほうが収まりがいいのです。でも収まり良く終わっていないところがポイント。一見、露骨なお自慢とも取れる終わり方は、実は「読者への挑戦」。この1行に込められたメッセージは「へいへーい、オレはこんなにも本好きだぜー。オマエらはどうなんだーい」なのです。
もしこうしたTHE LAST MESSAGEがなければ、この投稿は「問いのない文章題」になっていました。
ところが、この一文で終えたことで......
「オレも同じです! 忙しいほどポチっちゃいますよね! もっともオレの場合は紙で買った本を出張用に電子版で買い直したりするからタチが悪いんですがw」
「収入の5分の1は本買っちゃいます。自分でもなんとかしなくちゃ、ですが、アート系の本って高価だし。ま、自分の未来への投資だと思って諦めてますけど!」
みたいな新たなお自慢を誘発し、SNS上を華やかに盛り上げてくれることになるのです。肝心の「おつかれさまです」コメントは寄せられないにしても。
絵:Shu-Thang Grafix
講師:武田篤典
何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。
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