2016/06/07

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2018/05/25

【おもいでタイムライン】第8回:1992〜1989年、着信はポケットで

1989年、「HP-501」の名で発売されたマイクロタック。携帯電話の「小型軽量化競争」のベンチマークとなったモデル。
この時代の携帯電話・スマホは?「HP-501」(1989年発売)
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日本で初めての携帯電話「ショルダーホン」が発売されてから、約30年が過ぎました。そして携帯の進化と同時に、私たちのコミュニケーションも大きく変化してきました。携帯電話の歴史は、コミュニケーションの変遷の歴史でもあるんです。

では、一体どんなふうに変化してきたのでしょう?

連載の第8回は、1992〜1989年までさかのぼってみましょう。

携帯電話をポケットに入れること。今となっては当たり前ですよね。でもこの時代までは、そうではなかったのです。1985年に登場した携帯電話のルーツ、ショルダーホンは、その名のとおり、ショルダーバッグみたいなサイズとデザインでしたし、それよりも少し小型の電話機は"辞書型"なんて呼ばれていました。

国語辞典を立てて、側面にストラップをつけたようなフォルム。仕事や学校に行くとき、バッグに辞書1冊入れるとすごく邪魔ですよね。でも、なにしろ当時の最先端機器ですからね。それでも「ちょっとイケていた」んです。

それが小形化し始めるのは競争が始まったから、とも言われています。今回は、今では聞かれない、いろいろな会社の名前が出てきます。でも、それが携帯電話黎明期の特徴でした。

携帯電話会社が次々と参入!

そもそも携帯電話は自動車電話と同じカテゴリーでした。1985年に自動車電話事業の規制が緩和されると、次々と新たな会社が手を挙げます。IDO(日本移動通信株式会社)が88年からアナログ式自動車電話事業を開始すると、翌年にはセルラーグループが開業。自動車電話(携帯電話)事業への参入は自由化されたのですが、ひとつ大きなきまりごとがありました。それは「1エリアをカバーするのは最大2社」というルール。

ショルダーホンを開発し、全国をカバーしていた先行企業に加え、IDOは関東・中部エリアを受け持ち、残る北海道・東北・北陸・近畿・中国・四国・九州・沖縄でセルラーグループは携帯電話事業を行うことになりました。

この時代の携帯電話・スマホは?
マイクロタックの第2世代「トーキョーフォン T61Ⅱ」(1992年発売)
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まさにバブル期真っただ中。民間活力を積極的に活用し、各種規制緩和・自由化がどんどん行われた時代でした。つまり、イケイケ。ちなみに1991年7月にツーカーセルラー東京、1992年2月にツーカーセルラー東海が参入。携帯電話事業はこの時期、まさに群雄割拠の様相を呈し始めていたのです。

後発の衝撃的端末が、競争を激化!

セルラーグループは、それまで日本の携帯電話業界で優勢だった「HiCAP」ではなく「TACS」という通信方式を採用していました。これはアメリカのモトローラ社が開発した仕組み。

端末に対する考え方も、従来の事業者とは一線を画していて、積極的に社外の家電メーカーに端末の設計を依頼していました。こうして京セラ製のHP-101、ソニー製のHP-201、東芝製のHP−301など、ショルダーホンや"辞書型"に比べると、小型の機種を次々と発表。そして89年10月に登場したHP−501はマーケットに衝撃を与えました。すでに海外で発売され、大人気だったモトローラ製の通称「マイクロタック」です。

■1989年当時のケータイ電話は...
ケータイ図鑑
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この時代の携帯電話・スマホは?
「ミニモJ J-53」(1992年発売)
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NTTの"辞書型"の重量はそれまで1kg近くあり、89年に満を持してモデルチェンジ。容積約300ccという小型端末を発表したのですが、マイクロタックはその約約3分の2サイズを実現していました。この時期、NTTでも外部のメーカーブランドによるデザインが活発化。一層の小型化を目指したプロジェクトが立ち上がったといいます。

1989年1月、64年続いた「昭和」が終わりました。手塚治虫と美空ひばりが亡くなり、なにかしら、「新しい時代」への期待と不安が渦巻いていた時代。街には、スポーツ新聞と立ち食いそばが似合うオヤジギャルが闊歩し、「アッシーくん」「メッシーくん」「ミツグくん」なんて男子をジャンル別にカテゴライズして利用するような新しい価値観が生まれていました。

そしてこの時期に誕生したのがノートパソコン。ここでぐんぐん成長してきた携帯電話は、さまざまなものが新しくなり小さくなる時代の象徴的な存在だったのかもしれませんね。

文:T&S編集部

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