2016/05/26
| 更新
2018/05/25
【おもいでタイムライン】第7回:2010~2008年、ゆるやかに、スマホの時代に
日本で初めての携帯電話「ショルダーフォン」が発売されてから約30年が過ぎました。そして携帯の進化と同時に、私たちのコミュニケーションも大きく変化してきました。携帯電話の歴史は、コミュニケーションの変遷の歴史でもあるんです。
では、一体どんなふうに変化してきたのでしょう?
そんな30年を振り返る連載の第7回をお届けします。今回は2010〜2008年までさかのぼってみましょう。スマホの登場から定着の時代です。
iPhone登場の衝撃
この時代の携帯電話・スマホは?
「Cyber-shotケータイS001」(2009年3月発売)
→このケータイの「auケータイ図鑑」ページへ
この時代の携帯電話・スマホは?
「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」(2009年7月発売)
→このケータイの「auケータイ図鑑」ページへ
日本のスマートフォン元年は2008年といっていいでしょう。前年にアメリカでリリースされたiPhoneが日本上陸を果たしました。
それまでの携帯電話は、ディスプレイに数字キー、通話ボタン、カーソルキーを備え、役割の決まったボタンを押して操作するものでした。当時、日本の携帯電話は、爛熟期を迎えていました。多機能が行く着くところまで行き、搭載したそれぞれの機能の使いやすさの追求に余念ナシ。
たとえば2009年に発売されたハイスペックカメラ「Cyber-shotケータイS001」は、8.1メガカメラと 3.3インチフルワイドVGA有機ELディスプレイを搭載し、スペックだけではないデジカメ感も味わえました。また、「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」は、ステレオ音声記録によるハイビジョンムービーが撮影できて、携帯電話としては世界で初めてHDMI端子を搭載し、見た目も完全にムービーカメラでした。当時の折り畳み型ケータイの多くは回転二軸ヒンジで、ディスプレイを表にしたまま折り畳める構造を採用。ワンセグ放送の快適な視聴に対応していました。
そういった多種多様な機能やギミック、特にカメラ機能や映像/音楽メディアを楽しむ方向で進化してきたのが日本のケータイの特徴。なにしろ「ガラケー」なんて呼ばれてましたからね。
iPhoneの上陸は、日本のケータイの独自進化を一撃でグローバル化させました。複雑化の一途をたどっていた本体デザインは、フラットなタッチパネルに。そして、指で直接触れて操作するインターフェイスは、当時の評論家たちに「タイプライター以来の発明」などと絶賛されたりもしました。朝の情報番組でもスワイプやスクリーンタッチで操作する模様をスタジオで実演する光景も見られたものです。
ただ発売当初は、「ミスタッチしそう」とか、「全画面液晶なんて電池の減りが早そう」というイメージを持つ人もいました。携帯メールのアドレスをそのまま使うこともできなかったし、ガラケーではおなじみだった、おサイフケータイ®、ワンセグの閲覧などもできなかったため、最初は「様子見」をしていたユーザーもいましたよね。
ただ、自分好みのアプリのダウンロードやディスプレイのアイコン表示など、あらゆる点で、ユーザーそれぞれに最適化できる仕組みは、まさに「スマート」そのもの。
そもそも、PCと連動してスケジュール管理などができるPDA(携帯情報端末)など、携帯できる「情報端末」は90年代からすでにあって、ビジネスマンを中心に普及していました。が、それ単体で通信することがなかなか難しく、ムーブメントはやがて収束。
一方、欧米での携帯電話はビジネスシーンでの使用が優勢でした。「いかにPCの機能を盛り込むか」という点が重視され、「BlackBerry」がアメリカのビジネスマンのあいだで定番化。携帯できる情報端末が進化し、やがてiPhoneが生まれたのは必然といえるかもしれません。そして世界のスタンダードになっていったわけですが、実はこの時期、携帯電話以外にもいくつかの目立ったグローバル化現象がありました。
アマゾン、あまねく使われる。
アメリカでは、奇しくもiPhoneが発売されたのと同じ2007年に、Kindleが発表されています。出版社がつくった本を流通させていたアマゾンが、この時期からコンテンツそのものを扱うようになりました。電子書籍が日本語に対応したのは2010年、あの頃「黒船来航」になぞらえて、電子出版への動きが国内でも盛んになりました。その頃あたりから、アマゾンの「通常配送」の料金が無料に(その後改定)。出版における従来の常識を覆し、世間にネット通販をより浸透させることになったのもこの時期です。 ついつい「ポチる」というストレス発散も、一般的になりましたよね。
そしてファストファッションの隆盛。
2008年8月、リーマンショックによって世界的な経済危機が訪れ、その後、不況の時代が続きました。だからといって、われわれ消費者は「安かろう悪かろう」では満足できないものですよね。
ファストファッションのブレイクが起きたのも、この時代でした。2008年秋には「H&M」がスウェーデンから上陸。翌春にはアメリカの「FOREVER21」が日本で1号店をオープンさせ、「ユニクロ」はヒートテックで大ブームを巻き起こしました。で、ユニクロのほうは、2006年にニューヨーク出店も果たしていたわけで、これはいわば"逆黒船"。
いえ、もはやこの時、"黒船"でも"来航"でもなかったものと考えられます。ICTの発展とスマホの普及によって、世界のいろんなジャンルが次々と一定の価値観で標準化。今ではすっかり当たり前になってしまった、「手のひらの中で世界を見たり買ったりできる世界」が本格化し始めたのがこの時代だったのかもしれません。
文:T&S編集部
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