2016/05/16

【紳士のSNS講座】第3回 「優秀な新入社員たちが配属されたこと」を自慢する

「大人が集う、お自慢サロン」たるSNS。わたしたちは、チャンスがあれば電脳世界を通じて全世界に「お自慢」しようと身構えています。生活のなかで発生したり遭遇したりする様々なイベントや、新たに手に入れたり見かけたりした物品や風景を、どんどん投稿していきたいものです。

「TIME & SPACE」では、スムースでファンタジックな「お自慢」を推奨します。合言葉は「オール・フォー・SNSお自慢!」。すべてはSNSでのお自慢のために。SNSの荒波を乗りこなし、最大の幸福を得るためのお勉強、今回も始めましょう。

今回のテーマは「新入社員たちの優秀さを自慢する」。

基本、このテクは部や課の責任者向けに設定していますが、あなたが「単なる先輩」でも十分活用可能です。そして電脳社会に向けて、できるビジネスマンたるオイラをアピールするだけでなく、その後の部署内人間関係を円滑に進めることにも役立ち、さらには新人たちにおごる際の経済的ダメージを最小限にとどめる工夫も入れ込みました。ではご紹介していきます。

SNSに自慢する体で、実は新入社員たちに訴える

さて、作例をみていきましょう。

■ポイント①「わがフレンド諸君」

今回非常に重要なのは「誰に呼びかけているのか」という点。"自分の部署に新入社員がやってきてうれしくて、テンションと仕事へのモチベーションが上がってついついSNSに投稿してしまった"という姿勢はとても無邪気です。フレンドたちは、微笑ましく読んでくれることでしょう。でも、実は本当に読んでもらいたいのは、当の新入社員たち。このひとことを冒頭に配置しているのは、「あくまでもフレンドたちへの呼びかけですよ」というカムフラージュ。職場で顔合わせした新入社員たちが気まぐれに先輩の名前を検索する→ここに行き当たる→「どんなこと書いてるのかな?」......を想定したうえで書かれているのです。で、得られる効能は「おお! オレたちのことほめてる!」→「なんかいいセンパイじゃね?」っていう。

■ポイント②「AT」

場所を表す前置詞ではなく"アツノリ・タケダ"のイニシャル。そしてSNS上の一人称。普段会社では決して使わないタイプの、こんな一人称を用いればプライベート感も満点。単に"アツノリ"でもいいかも! 新人たちにしてみれば「あの上司/センパイが自分のことを"AT"とか呼んでる!」てなもんです。これで、新人たちとのあいだにちょっとした"秘密の共有"ができるわけで、一層親しみを持ってもらえることになります。

■ポイント③「キャプテンマークを巻くチーム」

「自分の部署」をサッカーにたとえました。「野球」とか「船」とか、ただ漠然とした「チーム」とかでもいいでしょう。サッカーにおけるキャプテンは「ピッチ内での責任者」なので、あなたが部長とか課長とか係長じゃなくて「実質現場を取り仕切ってる(と思ってる)」立場で使っても問題なし。でありながら、対SNS的には、あたかも部署の長であるように見せかけることができる非常に便利なたとえです。

■ポイント④「加入してくれた」

「してくれた」、という部分が新人たちへのリスペクトを表して好印象を与えます。

■ポイント⑤「前線まで駆け上がりすかさず守備に戻るサイドバック」

体力自慢ということです。

■ポイント⑥「コンタクトが強く、ボール奪取に長けたボランチ」

要は体力自慢ということです。

■ポイント⑦「猪突猛進で泥臭くゴールを狙うフォワード」

結局のところ体力自慢ということです。
新入社員のヤングたちは、よほど何かがない限りオジサンたちに対して「若さ」や「体力」で優っているものです。その部分を褒める比喩をたくさん持っておけばうまく褒めることができるでしょう。

■ポイント⑧「鍛えれば戦力になってくれそう」

つまり「これから鍛えるぞ」という宣言です。

■ポイント⑨「ヤツらの自主性にまかせたい」

面と向かって「おれはお前たちの理解者だ」と言うのはとても胡散臭いもの。でもこれはフレンド諸君という第三者に向かって言っているのです。だから非常に信頼の置ける発言です......と、たまたまこの投稿を見た新人ちゃんたちは思ってくれるでしょう。「あのセンパイって、オレたちを信頼してくれてるんだよな」っていう刷り込みがスムースに行われます。

■ポイント⑩「穴場ランチスポットは『串銀』」

各種どんぶり580円とかの超お手軽な店の紹介です。てか、実は誘導です。これはもうひとつの刷り込み。上司/センパイともなれば、おごらざるを得ない機会が何度もやってきます。近場のバリューなお店情報を事前に知らしめ「ATセンパイといえば『串銀』」と、新入社員を洗脳しておくことで、こちらのサイフに響くことなく太っ腹な上司/センパイ像を演じることができるのです。グルメサイトの点数の低い店ほどむしろ、"通好み"な演出ができる可能性もあります。

絵:Shu-Thang Grafix

講師:武田篤典

何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。

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