2015/12/07

プログラミングを小学校教育に! 現場の先生を支援する取り組みを『みんなのコード』が実現

パソコンやインターネットの普及に伴い、世界各国でプログラミング教育を基礎教育の一環として位置づけることが、世界的な潮流となりつつある。日本でも、2013年6月に発表された政府の成長戦略のなかに、義務教育段階からのプログラミング教育等のIT教育を推進するという内容が明記されたことを受け、プログラミングを学ぶ子どもたちが増えてきた。2015年にはプログラミングを必修科目にした通信制高校「コードアカデミー高等学校」が開校するなど、その動きはますます加速している。

その動きをリードする団体のひとつが、アメリカで2013年1月にパルトヴィ兄弟により設立されたNPO「Code.org」。すべての人々がプログラミングできることを目的に設立されたこのNPOでは、子どもがドリル形式でプログラミングを学べる教材「Code Studio」を無償で公開している。ブロックをドラッグアンドドロップしてプログラムを書くことができる「Blocky」を使用した教材が多数用意されており、子どもたちはひとつずつ簡単な問題を解くことで迷路を解いたり、絵を描いたりするコードを書ける。ウェブブラウザ上で動作し、パソコンでもタブレットでも利用できる。教材は40以上の言語に対応しており、日本語でも利用可能だ。

「Hour of Code」は、毎年12月のコンピューターサイエンス教育週間に、Code Studioの教材を利用してプログラミングのワークショップを開催しようというイベントだ。2014年までには、全世界で6,000万人の児童生徒が参加している。特にアメリカでは、学校の授業にも取り入れられ、約9万校が授業に採用し、 400万人の生徒児童に提供されている。2015年は12月7日から13日に予定されており、180カ国以上の生徒1億人の参加を目標としている。

教材は子どもが独習できるようにできているものの、ワークショップを開催するとなれば指導者が必要だ。しかし、日本ではプログラミングを教えられる教員が不足しており、子どもが興味を持っても学校での取り組みは難しいのが現状だ。

そこで、Hour of Code日本事務局として国内での推進活動に取り組む「一般社団法人みんなのコード」が、「Hour of Code」の期間中に、小学校・中学校・高等学校の先生を対象としたプログラミングワークショップ開催支援研修を、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5都市で実施した。期間中は、日本全国で約70件のワークショップ開催が予定されており、約2,000人の子どもが参加を予定している。

写真提供:みんなのコード

同様の試みとして、Life is Tech!とリクルート社によるTech for Teacher!では、iPhoneアプリ開発とWEBデザインのカリキュラムで使える動画教材やプリントを提供している。動画教材は、リクルートマーケティングが運営するオンライン予備校「受験サプリ」のコンテンツとして無料で提供され、情報科を受け持つ先生だけでなく、広くIT教材に興味のある人が利用できる。教師向けには、補助教材や専門スタッフによる支援も用意されている。

教材の画面例(画像提供:みんなのコード)

写真提供:みんなのコード

教員だけでなく、専門家も子どものプログラミング教育を支援する。「Hour of Code」開催に先立つ12月5日には、東京でIT系企業12社の現役エンジニアが集まり、小学生を中心とした子ども50人を対象にプログラミング入門ワークショップを開催する。3時間のワークショップでは、プログラミングそのものだけでなく、実社会でどのようにITが役立っているのかについて、現役エンジニアから直接、子どもたちに説明する。

「教える人がいない」という大人の事情で、子どもたちの可能性の芽を摘むことがあってはならない。子どもだけでなく、教える大人もICTで教育することが必要とされている。

文:水島みなと