2022/10/20

24時間365日通信を守る 東日本大震災での復旧対応

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日本における国際通信は1871年(明治4年)に開始され、2021年は150年目の節目となった。今では海外との電話やメールはもちろん、映像中継やインターネット、SNSのやり取りも気軽に行えるようになったが、その国際通信の99%は、海底を走る光ケーブルにより伝送されている。

光海底ケーブルは、漁業活動や船舶による投錨、地震や地滑り、海底面での摩擦などが原因で、一部故障する場合がある。

壊れた光海底ケーブル

その場合の修理方法は、ケーブルシップで障害海域に急行し、ケーブルを釣り上げ、修理を行うというものだ。

次のイラストのように、ケーブルシップからケーブル切断装備を取り付けたロープを海中に投入し、一度ケーブルを切断。切断したケーブルを引き揚げて光学的・電気的試験を行い、正常性を確認。続いて、切断された反対側の光海底ケーブルを引き揚げて正常性確認試験を行い、障害点を除去。予備ケーブルの割入れを行い、最後にケーブルシップ上で両側の光海底ケーブルを接続。

光海底ケーブルの修理法

図にすると簡単に見えるかもしれないが、場所によってはケーブルの位置自体を特定するのが難しく、特に富士山の高さより深い水深8,000mもの深海に探線機を投入してケーブルを引き揚げる場合は、まる一日以上かかることもあり、容易な作業ではない。

さらに引き上げたあとも、揺れる船の上で、髪の毛の細さほどのファイバを多数つなぐのは、訓練を受けた技能士にしかできない作業だ。

光ファイバの修理

このように想像以上に大掛かりで緻密な作業であるケーブル補修作業だが、2011年の東日本大震災では、日本とアメリカを結ぶ海底ケーブルが20カ所以上も切断され、KDDIだけでなく、各国のケーブルシップが出動し、国際通信の復旧に全力であたった。

KDDIオーシャンリンク

切断されたケーブルを探して船に引き揚げ、接続して埋設。このような修復作業を24時間体制で行っても作業日数は150日間を超え、KDDIオーシャンリンクが港に帰港したのは、5ヶ月後となる2011年8月6日だった。

光海底ケーブルは普段目にする機会がないものだが、国際通信には欠かせない生活インフラだ。KDDI千倉海底線中継所では光海底ケーブルの安定した品質を保つため、24時間365日体制で稼働し、通信を守り続ける。

※この記事は2022年1月11日の記事を再編集したものです。