2022/03/18

#大阪環状線をアートでつなぐぞ 参加アーティストとKDDIが語る制作の舞台裏

KDDIは、「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」と19人のアーティストのコラボで、「#大阪環状線をアートでつなぐぞ」をキーワードに、「未来の大阪環状線駅」を描いたイラスト作品を公開している。

19人のアーティストが描いた未来の大阪環状線

2022年2月28日からはウェブ上だけでなく、大阪駅のポスターや大阪環状線の車両内、車両ラッピングなどでも作品を見ることができる。

大阪駅に掲出されたコラボポスターと大阪環状線を彩るアートたち

今回は、天王寺駅のイラストを担当した原田ちあきさんと、森ノ宮駅を描いた森山標子(しなこ)さんのアーティスト2人による対談を企画。「#大阪環状線をアートでつなぐぞ」を企画したKDDI担当者・松本沙久良も加わり、このコラボのそもそもの成り立ちから、テーマとなる駅やイラスト制作への思い、アーティストの仕事などについて存分に語りあった。

アーティストの原田ちあきさん、森山標子さん、 KDDIの松本沙久良 左からアーティストの原田ちあきさん、森山標子さん、KDDIブランドマネジメント部 松本沙久良

■「#大阪環状線をアートでつなぐぞ」はどのようにはじまった?

KDDI松本「KDDIでは「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」というキーワードで、みなさんが生活している身近なエリアで5Gを使えるように取り組んでいます。2021年の6月から順次、山手線駅や大阪環状線の全駅と駅間でauの5Gサービスが使えるようになったのですが、そのことを広く知っていただき、5Gサービスへの期待感を表現したく今回の企画はスタートしました。

「ここでも5G使えるんだ」ということがより楽しく伝えられるように、19人のアーティストのみなさんに、5Gの先進的なイメージを連想できる「未来の大阪環状線駅」を描いていただきましたが、どの作品も個性的で目を引くので、アーティストみなさんのファンの方だけでなく一般の方たちからも大きな反響をいただいています。」

原田さん「実は私、(前企画である)「#山手線をアートでつなぐぞ」に参加した「ともわか」さんと仲良くさせていただいていて、KDDIさんと山手線の企画を聞いたときから「いいないいな、私も描きたい」とずっと思っていたんです(笑)。だから、今回参加できてすごくうれしかったです。」

森山さん「私は関西出身なのですがいまは東北に住んでいるので、そういう取り組みがあることは知りませんでした。でも、今回こうして仲間に入れていただいて、すごく光栄です!」

KDDI松本「ありがとうございます!この企画ではそうした“つながり”も生み出せたらいいなと考えていたんです。auからお客さまへメッセージを発信するだけでなく、今回の企画がきっかけとなってアーティストのみなさんとお客さまだったり、アーティストさん同士がつながっていくのはとてもうれしいです。

おふたりは今回のテーマをどう解釈して作品づくりに取り組まれましたか?

原田さん「私は大阪生まれの大阪育ちで、いまも大阪におりまして。天王寺というすごく大阪らしい駅を担当することになって、めちゃめちゃうれしかったです。ビリケンさんや串カツ、通天閣など、大阪のシンボルが全部見えるド派手な街なので、モチーフがたくさんあって描きやすかったですね。」

原田ちあきさんが描いた天王寺駅 原田ちあきさんが描いた天王寺駅

KDDI松本「私も関西出身なのでよく知っていますが、いろいろな要素があっておもしろい街ですよね。」

原田さん「むしろ、なにを省くかですごく迷いました(笑)。私は普段、使う色をビビッドカラーの8色に限定しているんですが、背景の色をずっと迷っていました。青にすることも考えたんですが、最終的に、元気な感じのオレンジにしました。」

森山さん「原田さんの絵は、ご自身の作風にテーマを引き込んでいて、すごいですよね。」

原田さん「めっそうもない(笑)。」

森山さん「私の場合、母のふるさとが大阪で、私自身も大阪で生まれ、小さい頃は神戸で育ったんです。ただ、森ノ宮駅の記憶はなくて、今回はGoogleマップのストリートビューなどを参考に制作しました。城見エリアが印象的で、「大阪城を描きたい!」というのが最初に感じたことでした。

私はうさぎと暮らしていて、うさぎをモチーフにした絵を中心に描いているのですが、森ノ宮駅の発着メロディが「森のくまさん」だったので、くまさんを持った女の子を動物が追いかける絵が描けるな!とも思いました。背景をグリーンにしたのは、SDGsの意識がさらに強まって、未来の森ノ宮駅は緑が増えていると想像できたからです。」

森山標子さんが描いた森ノ宮駅 森山標子さんが描いた森ノ宮駅

原田さん「私がけっこう強い色や線を使いがちなので、やわらかくてとても良い素晴らしい絵だなと思いました。めちゃくちゃ憧れます。」

KDDI松本「おふたりのイラストは本当にそれぞれの駅とマッチしていますよね。森ノ宮駅の未来が自然でいっぱいなのも納得できますし、天王寺駅は大阪のシンボル的要素が盛りだくさんで、じっくり見ると新たな発見があって楽しいです!」

原田さん「森山さんのことは、今回の企画で初めて知りました。私とまったく違う作風の方なので、すごくお話ししてみたくて。出会えてとてもうれしいです。」

森山さん「私は原田さんのことは知っていて、実は先日、原田さんの著書も買わせていただきました!すでに有名な方なので、遠い存在だと思っていたのですが、本を読んだらすごくやさしくて、気遣いができて人に寄り添える方なんだなって……さらに好きになりました。」

原田ちあきさんの著書 原田ちあき「誰にも見つからずに泣いてる君は優しい」(大和書房)

原田さん「ありがとうございます!本当にうれしいです。」

■参加した他のアーティスト同士の「つながり」

原田さん「芦原橋駅を担当した「中村杏子」ちゃんとはお友だちで、昔から一緒に合同展をするような関係なので、一緒の企画に参加できてとてもうれしかったです。あと、弁天町駅を担当された「かねこ鮭」さんのイラストも前から拝見していて、今回も絶妙で素晴らしいなって。とても勉強になりました。大阪城公園駅担当の「サンレモ」さんとはTwitterで相互フォローしているんですが……もうね、絵が上手い!」

中村杏子さんの芦原橋駅、かねこ鮭さんの弁天町駅、サンレモさんの大阪城公園駅 左から中村杏子さんの芦原橋駅、かねこ鮭さんの弁天町駅、サンレモさんの大阪城公園駅

森山さん「新今宮駅を担当した「イケガミヨリユキ」さんはこれまで一方的に絵を拝見していて、今回はどんな作品になるのか、いちばん楽しみにしていた方です。私の知っている作風とはちょっと違うイメージだったので、すごく新鮮で、色の使い方がすごくおもしろいなと思いました。」

原田さん「イケガミさんは動物や小さな子どもを描くイメージだったので、等身の高い人を描いたイラストはレアですよね。あと、「北極まぐ」さんの作品もすごく素敵な絵でした。寺田町駅は古い商店街があるのですが、それをかわいくアレンジされて、色もポップで……私もこんな色を使いたい(笑)。

今回は「駅」「極端にデフォルメされていない等身の高い人物を描く」という決まりごとがあったので、作風がいつもと違うアーティストさんもいて、おもしろかったですね。」

イケガミヨリユキさんの新今宮駅と北極まぐさんの寺田町駅 左・イケガミヨリユキさんの新今宮駅、右・北極まぐさんの寺田町駅

■普段、作品制作で使用している機材や、作業をするときのこだわり

原田さん「作品を制作するときは、PCとiPadで描いています。すぐ集中力が切れて、デスクからこたつ、リビングへと移動するんですが、iPadとスマホは常に持ち歩いていますね。PCは持って動くのが面倒で、先日ついに2台目を買ってしまいました(笑)。

ご機嫌な状態で仕事できたらハッピーだなと思って、引っ越しを機に、壁を青くして好きな家具を買い漁りました(笑)。」

原田ちあきさんの制作環境 原田ちあきさんの制作環境。左のデスクと右のこたつ、さらにリビングを行ったり来たりする

KDDI松本「すごい!原田さんの世界観そのものですね。」

森山さん「すごくうらやましいです!私も黄色の壁の家に住みたいとずっと思っているんですよ。」

原田さん「絶対似合いますよ、黄色い壁。塗りましょう!(笑) 森山さんはどんなツールを使ってイラストを描いているんですか?」

森山さん「私はワコムのMobileStudio(液晶ペンタブレット)で描いています。これでラフを描いたらプリントアウトして、その上からアクリル絵の具で塗って、さらにスキャンして、今度はPhotoshopでごみ取りしたり、色を調整したりして仕上げています。今回のイラストは、MobileStudioで色塗りもしました。」

森山標子さんの制作環境 森山標子さんが制作に使用している液晶ペンタブレットMobileStudio。ペン立てはうさぎの形をしている

原田さん「パネルとか特別な厚紙に印刷するんですか?」

森山さん「普通のコピー用紙に印刷して、それをトレス台に置いて水彩紙に鉛筆で写して描きます。無駄なこといっぱいやってるなぁといつも思います(笑)。」

森山さんの今回の作品の制作工程 森山さんの今回の作品の制作工程

原田さん「これだけ過程を経るから、線がすごく細やかなんですね。アナログだとは思いませんでした。ソフトはなんですか?」

森山さん「CLIP STUDIOとPhotoshopですね。今回のイラストは全部CLIP STUDIOで描きました。原田さんは?」

原田さん「私も無駄な過程をたくさん経ているかもしれないです(笑)。iPadのProcreateで主線を描いて、PCに転送してペイントツールSAIで主線の調整をしてざっくり着色したら、Photoshopでトーンを貼ったりセリフを入れたり、さらにCLIP STUDIOで加工したり……。この工程、本当は全部CLIP STUDIOでできると思うんですけどね(笑)。」

森山さん「そんなにたくさんのソフトを使用するというのは初めて聞きました。微妙な感覚の差で、そのやり方が原田さんにとってベストなんですね。」

■アーティストを目指したきっかけ

原田さん「絵はクラスで2、3番目ぐらいに得意で、美術系の高校に行ったんですが、アーティストになろうとは思ってなかったんです。

小さいころからずっと考えてたのは、「自分が生きているうちになにか残したい」ということ。それで高校卒業後にお笑い芸人を目指しました(笑)。でも2年で挫折して、そのときたまたま高校時代の同級生が大学でグループ展やるからと誘われて、絵本を描いたのがきっかけですね。

そしたらグループ展の感想ノートにかなり細かいアドバイスをもらえたんです。それがおもしろくて、「絵の世界なら死後になにか残せるかもしれない」と思ってはじめました。」

原田ちあきさんの初期作品 原田ちあきさんの初期作品。グループ展に出した絵本

森山さん「今と全然違う画風ですね。」

原田さん「これもたまたまなんです。Twitterに絵を投稿してフォロワー増やしに躍起になっていたら、なんと漫画の連載をいただけて。担当編集さんにフルカラー原稿を求められたんです。でも私、色を選ぶのが苦手で……。なんとか担当さんが呆れて「塗らなくていいよ」って言ってくれないかなあと思って、顔の色を真っ青に塗った原稿を出したら、そのまま掲載されちゃって。」

一同「すごい(笑)。」

原田さん「で、顔が青でもいいんだ!と思ったら、そこから色が楽しくなっちゃって。トンチンカンな組み合わせで塗るようになって、現在に至るという(笑)。」

原田さんのコラボカフェ 原田さんの近年のお仕事のひとつ。依頼を受けて、コンセプトから内装デザイン、メニューまで担当した期間限定のコラボカフェ

森山さん「原田さんのご本にも書かれてましたよね!なんだろう、いま普通にファンの気持ちで聞いていました(笑)。」

原田さん「面目ないです(笑)。森山さんはどうだったんですか?」

森山さん「私は小学生のころ、外国に1年だけ住んでいたことがあって。言葉がわからないのに現地の小学校に行くことになったんです。絵を描く宿題が多い学校で、もともと得意だったこともあって、友だちのぶんも描く流れになって。それで報酬としてアメちゃんをもらったのが、たぶん最初の成功体験(笑)。そうやって絵があったからコミュニケーションも取れるようになって、そこからイラストレーターになれたらいいなって思うようになったんです。」

森山さんの初期作品 森山さんの初期作品

原田さん「森山さんはうさぎさんをモチーフに描かれてるんですね。いつ頃からですか?」

森山さん「もともと、動物がちょっと怖かったんです。それまで生き物を飼ったことがなかったし、犬や猫もなんだか怖くて。高校生のときに、動物の絵を描くことがあったんですが、自分が怖いものってちゃんと描けないじゃないですか。」

原田さん「わかります(笑)。」

森山さん「そこで、「うさぎなら怖くないかも」と思ったんです。小学校にうさぎ小屋があったし、馴染みもあったので。それで描きはじめて、うさぎをメインにするようになったのはInstagramをやるようになってからです。

そのときにはもううさぎを飼ってたんですが、自分が飼っている動物を描くと、みなさんにすごく共感してもらえて、「いいね」がいっぱいついて。そこからはうさぎの絵ばかり描くようになりました。」

森山さんが仕事で描いたうさぎたち 森山さんのお仕事。左・壁画を手がけた雑貨店「Rebekka」、右・うさぎと少年のパートナーシップを描いた「ラビットホッピング!」(理論社)で挿絵を担当

■ファンや今回の作品を見た方たちへのメッセージ

原田さん「大阪のおもしろい部分をいっぱい描き込んだので、ぜひ隅々まで見ていただきたいです!私の絵を見たことがない方と出会えるのがすごくうれしいので、KDDIさんの取り組みや、この対談記事を通じて少しでも興味を持ってもらえたらいいなと思います。」

森山さん「このイラストを描くときに参考にしたGoogle マップのストリートビューの写真が、5年前のお花見の時期だったんです。ノーマスクでお花見をしている方がたくさんいて、切なくなりました。また、みんなで自由にお花見できるようになればいいな、という願いを込めて描いたので、明るさやにぎやかさを感じ取ってもらえたらうれしいです。」

KDDI松本「私は今回の取り組みを通して、アーティストさん同士の横のつながりもできたらいいな、と思っていました。この対談を通して、それが実現できたようでとてもうれしかったです。

今後は、5Gスマホの普及拡大とともにお客さまにお届けできるコンテンツが、ますますリッチ化(大容量化)していきます。そうなると、アーティストさんの作品や思いがより多くの方に、またさまざまな体験としてお届けできるようになります。広がるauの5Gエリアと、進化する5Gスマートフォン、リッチ化していくコンテンツが連携して、ワクワクする未来の利用体験をこれからもお届けしていきます。」

■「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」をこれからもお楽しみに

KDDIはこれからも「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」をキーワードに取り組みを続ける。5Gエリアを拡大して強靱な通信ネットワークをつくりあげることで生活をより便利で快適なものにし、さまざまなパートナーとともに新しい体験価値をつくりだして、ワクワクを提案し続けていく。

文:TIME&SPACE編集部

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。