2022/03/08
白銀の北京から感動の瞬間を!スポーツ国際大会の映像を途切れず届ける舞台裏とは
大きな喜びと涙と感動に包まれている北京での国際的スポーツの大会。この映像をリアルタイムで日本に届けるべく、大会が開催される一か月前の1月初めに、KDDIから10人の技術者が現地 北京に渡った。彼らのミッションは、各会場で行われる競技映像を受け取り、日本の放送局までお届けすることだ。東京での国際大会に続き、KDDIはこの国際的スポーツの大会において、映像伝送のネットワークを支えつづけている。
今回はその裏側を、現地対応している佐藤のレポートでお届けしていこう。
映像はどのように日本に届けられるのか
こんにちは。KDDIの佐藤です。
私が所属しているKDDIの「グローバルネットワーク・オペレーションセンター」という部署では、海外で行われるさまざまなイベントの映像を日本にいる皆さんがリアルタイムで視聴できるよう、海を超えて日本までお届けする仕事をしています。
「国際的なスポーツの映像だけでなく、海外のニュースやインターネットなど、国際通信の大部分は「光海底ケーブル」を通じて日本に送り届けられます。今回の北京での国際大会においては、北京市内に設けられた「IBC(国際放送センター)」を経由し、光海底ケーブルを通じて、皆さんの元に映像が届けられます。」
①各競技会場→②IBC(国際放送センター)→③海底ケーブル→④KDDI(東京)→⑤各放送局→⑥ご自宅のTVへ
大会開催期間中、北京IBCが私たち10名の仕事場となります。IBCでは、リーダー、回線担当と残りの8名が2名×4チームに分かれ、日勤、宿明け勤務の1日2交代制で運用保守を行い、万が一の事態が起きても直ちに対処ができるよう、いわゆる「寝ずの番」を行っています。
今回のチームメンバーを簡単にご紹介させていただきます。経験豊富なメンバーを中心にそれぞれの専門分野で映像伝送ネットワークをつくり、守っていく4つのチームです。
リーダーの山田昌弘さんは、これまでに数多くの国際大会映像伝送を経験している信頼の厚い隊長です。「海外現場対応は何回目ですか?」と聞くと「もう分からないな」と笑いながら答えてくれました。
■1チーム
盛田さんは、国内外のイベント映像伝送経験が豊富な先輩です。今大会ではライブ映像が流れる回線の設計を担当しています。
太田さんは、海外業務経験が豊富な頼れる存在です。海外事業者とのスムーズなやり取りに一役買っています。趣味は筋トレとのこと。
■2チーム
佐々木さんは、ネットワーク運用の大ベテラン。持ち前のリーダーシップで若手たちをリードしてくれます。
深津さんは、状況を把握する能力がずば抜けて高く、ネットワーク運用業務と並行して業務の効率化を担っています。
■3チーム
中城さんは、現場作業のスペシャリストです。誰よりも正確な作業をする一方で、スカイダイビングが趣味とのことでダイナミックさも感じます。
原田さんは、仕事が早いのでつい色々とお願いしてしまいます。今回のメンバーでは折さんに次ぐ若手で、最年少二人でチームを盛り上げてくれます!
■4チーム
折さんは、私のネットワーク運用のペアです。入社1年目で現地担当に大抜擢されたチームのムードメーカー。教えたことをどんどん吸収するので今後が楽しみな逸材です。スポーツ全般に興味があるとのことで、今大会の業務に対して熱い意気込みを感じます!
私も初めての海外経験は入社2年目で、2018年韓国で開催された国際的な大会となります。はじめは現地でのネットワーク運用で精いっぱいでしたが、2回目の国際大会では機器設定を行い、その次の大会では設計図の作成からプロジェクトに参加、次第に自分の業務範囲(できること)が拡大していきました。昨年からは大会期間中のネットワーク運用に不可欠なシステムの監視装置の構築にも取り組み、少しは貢献できているのかなと思います。
入社後から海外経験を積み重ねてきて今年で入社5年目。リーダーの山田さんからも「一つひとつ現場で経験を重ね、設備、システム全体に目が行き届いているため、安心してネットワーク運用を任せることができる。」とお墨付きをもらえるようになり、今回の大会では、プロジェクト全体の計画から進捗管理、そしてデータ系サービスの設計を任せてもらっています。今回海外での勤務がはじめてのメンバーもいるので、自分の経験をまわりに伝えてまとめる立場でもあります。
このメンバーで挑んだ北京の国際大会ですが、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、その準備は大変なものでした。
先の見えないコロナ禍での事前準備
大きな国際的な大会の際は、IBCで映像を受け取り日本に送るための「機材」を用意することからスタートします。今回の北京大会で言えば、およそ半年前から準備を始めました。
今回の大会は新型コロナウイルスの影響で、どれだけの人数が現地に就くことができるのか、いつからIBC内で作業できるのか、なかなか決まらなかったことが大変なところの一つでした。
渡航の制限、そして現地に着いてからの隔離。ホテルからIBCへの移動方法にも制限があり、どんな体制を組むことができるのか、ギリギリまで誰もわかりませんでした。そこでどんな状況になっても対応できるよう対応策を用意し、そのどのパターンでも任務を遂行できるよう、何度もシミュレーションを繰り返しました。
そしてようやくネットワーク運用の体制が決まり、12月の上旬に機材を現地に発送しました。
ダンボールにしておよそ200個。そのあと1月上旬にメンバーが北京に入り、IBCに搬入して組み上げました。
実はこちらの機材は、昨年(2021年)の東京の国際的なスポーツ大会でも使用したものです。何度も利用し慣れている機材ですが、発送前に東京で一度すべて組み上げ、問題なく伝送できるかを検証したあと、北京に配送してまたここで組み上げています。
どんなに慣れた機材でも、海外の事前に見ていない場所に機材を設置し、0からネットワークを構築するのはとても大変な作業です。
そして大会が開幕しました。期間中は無事故で映像を届けるのが当たり前とされているため、現場の緊張感はひとしおで、中継が終わるころにはどっと疲れが出ますが、その分、やり遂げると大きな喜びを感じる仕事です。
テレビで「当たり前」を楽しんでほしい
今回に限らず、どのイベントでも同じですが、最後までトラブルなく終えることが私たちの任務となります。大会が終わるまでまだあと半月ぐらいありますが、体調面にも気をつけながら、無事故で完遂できればと思います。そして日本の皆さんがふつうに映像を見て、「当たり前」に楽しんでいただけたら、それがいちばん嬉しいです。
―――スポーツの感動を届ける裏側には、通信のチカラとその裏で働く人々のゲンバダマシイがあった。KDDIは、これからも期待を超える感動を届けるためにつなぎ続ける。
文:KDDI 佐藤健太、TIME&SPACE編集部
写真:KDDI 佐藤健太、北京現地メンバー
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