2022/02/23

次世代アーティストを未来へつなぐ「推しスタ」とは?番組の魅力や裏側を紹介


KDDIが提供する総合芸術番組「推しスタ」のメインビジュアル

新型コロナウイルスの流行により、学校やイベントなど人が集う場所における活動機会が制限されるなか、芸術の分野では、通信やテクノロジーの力を駆使し、その活動の場を広げるアーティストが生まれている。そんな次世代のクリエイティブシーンの担い手になるアーティストを応援すべく、東京藝術大学、テレビ朝日、KDDIの3社がタッグを組み、次世代のスターアーティスト候補を発掘し、応援する番組「推しスタ」の配信を開始した。

いったいどんな番組なのか。その魅力とともに、取り組みに至った経緯など紹介する。

推しスタとは

推しスタは、次世代のスターアーティスト候補となる「推し」を発掘すべく、ナビゲーターが東京藝術大学を訪問し、同大学の先生から「推し」となるアーティストの創作活動やその作品の魅力を掘り下げていく番組だ。

KDDIが提供する総合芸術番組「推しスタ」のオープニング

KDDIが提供する総合芸術番組「推しスタ」に登場する小久保タクミさんとフカミエリさん

今回の取り組みは、芸術と最新のテクノロジーを融合させることで日本の文化芸術の発展を目指すKDDIのau Design project「ARTS & CULTURE PROGRAM」の一環として生まれた。数多くの日本を代表するアーティストを生み出してきた東京藝術大学とアート番組制作の実績を持つテレビ朝日がこの取り組みに賛同し、3社がタッグを組み、番組の制作・配信が実現。

番組中、どこか儚くやわらかい声で視聴者を導いてくれるナビゲーターは、バーチャルダークシンガーの「ヰ世界情緒(いせかいじょうちょ)」さん。

KDDIが提供する総合芸術番組「推しスタ」のナビゲーター「バーチャルダークシンガーのヰ世界情緒(いせかいじょうちょ)さん」

オープニング曲、番組挿入曲は、ミュージシャン、イラストレーター、アニメーターなどクリエイターとして幅広く活動する「はるまきごはん」さんの楽曲を使用。オープニングタイトルバックのデザインは、「はるまきごはん」さん率いるスタジオごはんが制作した。

KDDIが提供する総合芸術番組「推しスタ」のオープニング曲、番組挿入曲を手掛けた「はるまきごはん」さん

番組は、YouTubeチャンネルで15分程度の本編動画を、au 5Gチャンネルで最大4Kの短編動画を見ることができる。番組は1月19日から3月30日の期間に、全8回配信される。

あらためて、この推しスタの見どころはどこなのか。この取り組みの発起人であり、KDDIでau Design Projectを推進する砂原 哲に話を聞いた。

KDDIが提供する総合芸術番組「推しスタ」の担当者 KDDI 5G・xRサービス戦略部 エキスパート 砂原 哲(au Design Project)

視聴者の未来にクリエイティブな良い影響を与える番組を

―――番組の見どころはどこでしょうか。

砂原:最近、東京藝大と言えば『ブルーピリオド』が話題ですよね。「推しスタ」の第1回目、2回目では、その舞台になっている東京藝術大学 上野キャンパスを訪ね、美術学部 絵画科 油画専攻・薄久保香准教授と、4人の次世代アーティストに登場いただきました。番組を通して、漫画で描かれているあの藝大をリアルに身近に感じていただけるのではないでしょうか。

3回目以降は、取手キャンパスの先端芸術表現科、千住キャンパスの音楽環境創造科、横浜キャンパスの映像研究科アニメーション専攻を訪ねていきます。藝大には上野以外に3つのキャンパスがあり、油画や日本画、音楽のほかに、先端芸術表現や映像・アニメーション・ゲームも学ぶことができます。

KDDIが提供する総合芸術番組「推しスタ」の担当者

「推しスタ」はアート番組と銘打っていますが、正確には総合芸術大学である藝大の複数学科を横断的に取材した、総合芸術番組ですね。ユニークな4人の先生と16人の学生・卒業生を通して藝大の魅力をぎゅっと凝縮した番組なので、ふだんあまり芸術に関心がなかったとしても、「推しスタ」を見ればきっと皆さんの内なるクリエイティブ魂が動き出すのではないでしょうか。

また、藝大の魅力だけでなく、はるまきごはんさんやヰ世界情緒さんが生み出す、2000年代に生まれたボカロ文化・バーチャル文化の世界と、明治の創設以来、日本の芸術の形を綿々と創り上げてきた東京藝術大学の世界とがつながることで生まれる、この「推しスタ」独自の世界観も楽しんでいただけたらと思っています。

KDDIが提供する総合芸術番組「推しスタ」に登場する東京藝術大学 美術学部 絵画科 油画専攻・薄久保香准教授

20周年を迎え、新たな展開を見せるau Design project

―――番組をつくろうと思ったきっかけは何でしょうか。

砂原:そもそもは、5GやXRなどの先端技術を活用して現代アートの世界をもっと身近に感じられるような仕組みと、ボカロ、バーチャル界隈で活動している「Z世代」と呼ばれる10〜20代のクリエーターを応援する仕組みを融合したら新しい世界が生まれるのでないかと、テレビ朝日やThe Chain Museumのみなさんと検討を重ねていたのが始まりです。

au Design projectの活動としても、今まではケータイやスマホというわかりやすいフォーマットを通して幅広い人にデザインやアートに身近に触れる機会をつくってきました。au Design projectのおかげでデザインやアートに興味を持ちましたとか、デザイナーになりましたと言ってくださった方も結構いらっしゃって、au Design projectは多少なりとも日本のデザイン文化に貢献できたのでないかと思います。

5G時代を迎えた今は、au Design project[ARTS & CULTURE PROGRAM]を始動し、5G、XRなど先端テクノロジーをつかって文化芸術体験を拡張する活動に力を入れてきました。

au Design project[ARTS & CULTURE PROGRAM]進化の変遷

INFOBARなどau Design projectのケータイやスマホを使っていただいていたのは、団塊ジュニア世代(1971年〜1974年生まれ)、ポスト団塊ジュニア世代(1975〜1981年生まれ)を中心にその前後の世代でした。INFOBARが2003年に出た当時、20代〜30代前半で、今、Z世代と呼ばれる若者たちの親の世代ですね。

au Design projectも今年20周年を迎えます。そこで、もう一度、若い世代に良い影響を与えられるようなプロジェクトに仕立て直そうと考えました。Z世代のアーティスト、クリエーターを応援し、社会と接続する上での手助けとなるようなプラットフォームができないだろうかと先ほどのメンバーで考えていたところに、全く別のところから、東京藝術大学と何かできないか、一度ミーティングをとの機会をいただきました。

つながる関係者の想い

―――東京藝術大学とのミーティングでは、どんな話があったのでしょうか。

砂原:初回のオンラインミーティングで、画面の先に先端芸術表現科の八谷和彦教授がいて驚きました。八谷さんは僕がまだ20代前半だった頃からリスペクトしているメディアアーティスト。映画「風の谷のナウシカ」でナウシカが乗っている飛行機「メーヴェ」を自分で作ってしまった人です。ジェットエンジンを買ってきて。しかも飛行技術を学び、体を鍛え実際に飛んでしまったんですよ、すごいでしょ。それからピンクのかわいいクマ「モモ」がメールを運んできてくれる「PostPet」の作者でもあります。記憶を辿ると、なぜだか大体10年くらいに1度のタイミングでばったり八谷さんにお会いする周期になっていて、そして今回また思いがけず再会したわけです。これはもう運命なので、今回は何か一緒にやり遂げたいなと。

さらに八谷さんと一緒に岡本美津子副学長(映像研究科アニメーション専攻教授)がいらっしゃいました。岡本さんは、NHKで2000年から放映されていた「デジタル・スタジアム(デジスタ)」のプロデューサーだった方です。2000年はKDDIが誕生した年。後にau Design projectとなる企画を構想していた時期ですね。僕は「デジスタ」ファンとして当時かかさず見ていました。今でも強く印象に残っている伝説の番組です。

八谷さん、岡本さんは、2021年2月に上野、取手、千住、横浜につづく第5のキャンパスとして「東京藝大デジタルツイン」を公開し、バーチャル内で作品を発表したり、演奏会を開催したり、テクノロジーを使いながら芸術を拡張する場をつくるなど、デジタルでの活動を開始されていました。

東京藝大デジタルツイン 東京藝大デジタルツイン DIGITAL GEIDAI β

砂原:そこでKDDIの5G、VR /AR技術と東京藝大デジタルツインを掛け合わせたクリエイティブプラットフォームを構築できないか考えるところから始めました。考えを進めるうちに、もともとau Design projectとテレビ朝日、TCMで検討していた「Z世代アーティストを応援する企画」に合流させてはどうかという考えに至り、藝大在学中もしくは卒業したZ世代の若きアーティストを応援し、社会につなぐことが目的なら、動画プラットフォーム向けに番組を制作して配信したほうが、思いがダイレクトに届くのではと考えました。

そこでZ世代の若者の心に届く「デジスタ」現代版ができないだろうかと思い、岡本さんと八谷さんにその旨をお伝えしました。そして岡本さんに番組名を考えていただき、「デジスタ」を彷彿とさせる「推しスタ」という番組名が生まれたのです。

ちなみに「デジスタ」の「スタ」は「スタジアム」、「推しスタ」の「スタ」は「次世代スター」の「スタ」なのでだいぶ違います(笑)。最終的に音楽環境創造科の亀川徹教授、油画専攻の薄久保香准教授にも参加いただき、油画、先端芸術表現、音楽、アニメーションと分野の異なる4名の先生にそれぞれ4人の次世代アーティストを紹介いただく構成となりました。

―――今後どんな番組にしていきたいでしょうか。

砂原:例えば10代20代の人が見たときに、同年代でこんな人がいるのかと刺激になったり、こんな人になりたいと思ったり。あるいは年代問わず何か自分も作り出したいという気持ちになったり、「推し」アーティストを見つけて応援する喜びを感じたり…

かつてau Design projectを通してデザインに関心を持つ人が多少なりとも増えたように、この番組で今まで出会ったことのない作品や人の考え方に触れたことが、その人の未来に創造的な良い影響を与える番組になれば嬉しいです。10年後「推しスタ」に触発されてアーティストになりました!という人に出会えたら最高ですね。

つなぐことで生まれる新たな価値

これまでもKDDIは、電話やメールなど、いろんな手段で人と人をつなぎ、時間と場所の概念をなくしてきた。国際通信があらたな文化を運ぶきっかけとなったように、アートとテクノロジーをつないでいくことでまた新たな価値を生み出す、au Design Projectの今後の展開に期待したい。

■推しスタ配信スケジュール

KDDIが提供する総合芸術番組「推しスタ」の配信スケジュール


文:TIME&SPACE編集部

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