2022/02/03

詐欺電話は年間1万件以上 フィッシング詐欺の手口やKDDI・auの対策サービスなど紹介


固定電話

電話や対面を通じて不特定多数の人から現金や金品を奪い取り、社会問題にもなっている特殊詐欺。オレオレ詐欺や還付金詐欺など、社会的関心の高いできごとや時事ニュースにあわせ犯罪グループの手口が日々巧妙化しているなか、防ぐ手立てはあるのだろうか。

最近の発生状況や手口、またその対策方法について、迷惑電話やセキュリティの課題解決に取り組むトビラシステムズと、KDDIのケーブルテレビ電話サービス担当者に話を聞いた。

【目次】

どれくらいの迷惑電話件数があるのか

まずは、日本において、どれくらいの件数が申告されているのかデータを見ておこう。警察庁の調べによると、2020年の特殊詐欺の被害については、認知件数が13,550件、被害額が285億円となっている。

特殊詐欺の被害額や被害件数の年度推移(トビラシステムズ)

被害額を示す青棒グラフを見ると、2014年をピークに、ATM振込上限の制限やオレオレ詐欺の防止啓蒙など、詐欺の対策を進めたことなどから年々減少傾向にあるものの、赤線グラフに示すとおり、認知件数については、まだまだ減少傾向とは言えない状況が続いている。顕在化している認知件数だけでもこの状況であることから、申告のない隠れた犯罪も含めると、まだまだ特殊詐欺の被害が蔓延している状況だと言えよう。

なぜ被害が減らないのか

被害が減らない要因のひとつが、犯罪グループの手口が、日々巧妙化していることだ。社会的関心の高い出来事や時事ニュースにあわせてトークや手口を変えてくるため、ついつい詐欺に遭ってしまう人が後をたたない。直近だと「コロナ給付金がもらえますよ」や「ワクチンを優先的に打てる権利がありますよ」など、言葉巧みに近寄り現金を騙し取るような新たな手口の詐欺が増えている。

特殊詐欺のトーク手口例(トビラシステムズ)

トビラシステムズが認識しているだけでも「年間約1,800万件」の迷惑電話がかかっており、固定電話にかかってくる通話の22%、つまり約5件に1件がブロックの対象となる迷惑電話に該当することから、固定電話は詐欺グループから狙われやすいターゲットになっていることがデータからも読み取れる。

固定電話における迷惑電話の割合(トビラシステムズ)

これは日中一人きりになる高齢者やご家族の方を狙って電話をかけていることが推測されるが、詐欺を仕掛ける前の在宅確認に固定電話が使われやすいということもあり、詐欺の発生源となる電話を「いかにつなげないか」ということが直近の課題になっている。

この迷惑電話の内訳を見ると、2/3にあたる66%が悪質営業や勧誘と言われる電話で、悪質なリフォーム業者やリサイクル買取業者が、強引な営業手法やさまざまな誘い文句で電話をかけていることがわかる。こういった電話は法には触れないとしても消費者トラブルにつながりやすく、トビラシステムズではそういった電話を「グレーゾーン犯罪」と位置づけ、徹底して電話をブロックしている。

固定電話における迷惑電話の内訳(トビラシステムズ)

トビラシステムズにおける迷惑電話ブロックの仕組みとは

では、こういった電話をどうやってブロックしているのか。迷惑電話をブロックする要となるのが、迷惑情報データベースと呼ばれるもので、ここに登録している電話番号から着信があると、迷惑電話を拒否するということができる仕組みになっている。

トビラシステムズでは約3万件の電話番号を迷惑情報データベースとして保持しており、主に3つの方法で新たな情報を入手し、日々データベースを更新している。1つめが利用者からの申告で、1,400万人以上の利用者から申告があった電話番号を日々追加している。2つめが警察や自治体からの電話番号の提供で、犯行に利用された電話番号をデータベースに登録している。3つめが独自に収集したデータで、これら3つの情報先から日々更新される膨大なデータを元に、迷惑電話をブロックする環境を提供しているというわけだ。

トビラシステムズにおける迷惑電話ブロックの仕組み

KDDIが提供する迷惑電話や迷惑SMSのブロックサービス

このような背景のなか、特殊詐欺が社会的問題になってきたことを受け、KDDIでは、2015年5月からトビラシステムズと協業し、固定電話や携帯電話向けに迷惑電話や迷惑SMSのブロックサービスを提供してきた。

■固定電話用
・2015年5月:迷惑電話 光ってお知らせ(au利用者/トビラフォン)
・2015年12月:迷惑電話 光ってお知らせプラン(ケーブルテレビ利用者/トビラフォン)
・2018年3月:迷惑電話発着信ブロック(auひかり契約者/ホームゲートウェイ)
・2022年2月:迷惑電話自動ブロック(ケーブルプラス電話契約者)

■モバイル用
・2016年2月:トビラフォンモバイル for au(auスマホ向けアプリ)
・2019年6月:迷惑メッセージ・電話ブロック(auスマホ向けアプリ)

KDDIとトビラシステムズとの協業サービス

注目したいのが、2022年2月16日から開始する「迷惑電話自動ブロック」サービスだ。従来、固定電話への迷惑電話をブロックするには、対策機器を外付けで設置するか、迷惑電話防止機能付きの固定電話に買い替えて対策する必要があったが、このサービスではネットワーク上で迷惑電話の着信を自動でブロックするため、専用機器を必要とすることがなくなった。

KDDIのケーブルプラス電話「迷惑電話自動ブロック」

通信会社ならではのネットワークで遮断する仕組みと、トビラシステムズの迷惑情報データベースを活用したテクノロジーとが掛け合わさり、常に最新のデータで固定電話を守ることができるようになったというわけだ。

もちろん、ブロック先は固定電話だけではない。2019年から提供している携帯電話向けのサービス「迷惑メッセージ・電話ブロック」は、その名のとおり、迷惑電話だけでなくメッセージもブロックするため、最近増えてきているSMSを利用したフィッシング詐欺(スミッシング詐欺)の対策にもなる。家に固定電話がなく携帯電話だけという人は、ぜひ参考にしてほしい。

KDDIの「迷惑メッセージ・電話ブロック」

また、直近では海外からの使用されていない国番号を利用した迷惑電話も問題になったが、それらにいち早く対応できるよう、海外からの着信を一括で拒否できる機能を追加している。迷惑電話の情報を持つ会社と通信会社とが一緒にサービスを進めることで、先進的に安心安全な環境に取り組んでいるというわけだ。

携帯電話においては、KDDIの提供サービスだけでなく、iPhoneやAndroidスマホでも標準機能として迷惑電話やメッセージの着信拒否機能が搭載されているものもある。過去にもTIME&SPACEで紹介しているので、そちらもぜひ参考にしてほしい。

KDDIでケーブルテレビの電話サービスを担当している西沢 雅也は言う。

西沢:モバイル用の迷惑電話対策サービスは、アプリでの提供により、どなたでも簡単に導入いただくことが可能になっています。一方、これまでの固定電話用の迷惑電話対策サービスは、電話機の買い替えや専用機器の設置などが必要で、特殊詐欺の被害に遭われる可能性の高い高齢のお客様にとっては、かんたんに導入できるとは言えないものでした。今回新たに開始する「迷惑電話自動ブロック」は、ご利用中の電話機のまま、面倒な設定などなく迷惑電話をブロックできるサービスですので、高齢のお客様における迷惑電話対策の一助となればと考えています。

KDDIのケーブル電話担当者 KDDI CATV営業企画部 西沢 雅也

西沢:トビラシステムズは日本国内で最大の迷惑情報データベースを維持しており、迷惑電話対策サービスを普及したい当社と、「特殊詐欺被害ゼロ」を目指しているトビラシステムズとの思いが一致し、さまざまな対策サービスを実現してきました。警察や自治体でも特殊詐欺の撲滅に向け、啓蒙活動などに力を入れていますが、被害はまだ大きく減っておらず、きっかけになる固定電話の着信が課題と認識されている状況です。お客様に固定電話を提供している私たちとしては、どなたでもかんたんに導入できる迷惑電話対策をご用意することで迷惑電話を減らし、固定電話を安心してご利用いただける環境をつくっていきたいと考えています。

現在4兆円とも言われる詐欺犯罪やグレーゾーン犯罪。通信会社だけでなく、メーカー、セキュリティ技術をもつ会社が一丸となって、詐欺ゼロの世界に向け、日々取り組んでいる。



文:TIME&SPACE編集部

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。