2021/10/08

10台以上のカメラ映像をスマホで自在に切り替え!横浜DeNAベイスターズの新野球観戦

2021年9月、KDDIは横浜DeNAベイスターズとともにスマホ専用アプリ「ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)」(以下「ベイプラ」)を配信した。

このアプリでは、横浜スタジアム(ハマスタ)でのベイスターズ主催試合において、球場でも、自宅でも、球団が独自に設置した10台以上のカメラを自由に切り替えながら観戦することができる。こちらがその画面だ。

画面上部ではライブ映像が流れ、その下には場内に設置された10台以上のカメラからどんな映像が見られるのかを示した画像が並ぶ。ユーザーはこれらの画像をタップし、カメラ映像を自由に切り替えながら試合を観戦できるのだ。

「ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)」の実際の画面 ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)

スマホの画面を横にすれば、フルスクリーンでも楽しめる。

横位置のフルスクリーンで見た「ベイスターズプライムカメラpowered by au 5G(β版)」
横位置のフルスクリーンで見た「ベイスターズプライムカメラpowered by au 5G(β版)」

スポーツチームと通信会社のパートナーシップ

2019年、KDDIは横浜DeNAベイスターズとビジネスパートナーシップを締結。ベイスターズが推進するオンラインを活用した新しい野球観戦体験を、au 5Gを中心とした先端テクノロジーでサポートしている。

新型コロナウイルスの影響で無観客での開幕となった2020年のシーズンは、「バーチャルハマスタ」を実施。「バーチャルハマスタ」は、仮想空間に構築された横浜スタジアムに、スマホやタブレットで自ら設定したアバターで入場、まるでスタジアムにいるかのようにファン同士でベイスターズの試合を観戦し、応援することができた。

2020年に行った「バーチャルハマスタ」 「バーチャルハマスタ」の模様。VR空間内のスタジアムで試合を観戦できるというもの。2020年8、9月に加えて、2021年3月の開幕戦でも実施した

その延長線上に生まれた、新たな観戦体験を楽しめるサービスが、今回の「ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)」というわけだ。

「ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)」とは

「ベイプラ」には大きく3つの機能がある。

・ハマスタでのベイスターズ主催試合において、好きなカメラアングルを選んで観戦できる
・ベイスターズOBによる、アプリ独自の実況解説が聞ける
・試合の見どころをプッシュ通知で教えてくれる

そして、「ベイプラ」はスタジアムでも自宅でも試合を楽しむことができる。たとえば、実際にハマスタで試合を観戦したのはこんな場所だったが……。

横浜スタジアムでのナイター観戦の模様

「ベイプラ」では、打者を真横のこんなアングルから見ることができる。

横浜スタジアムでナイター観戦しながら「ベイプラ」を使用

もちろん自宅でも、自由にカメラを切り替えて見られる。

自宅で「ベイプラ」を使用してナイター観戦

では、まず「ベイプラ」のカメラについて。どのような映像が見られるのか、全アングルを紹介しよう。
※2021年9月12日現在(試合によってカメラ位置は変更になる可能性があります)

A. 追いカメラ(バックネット裏)

「ベイプラ」の追いカメラ(バックネット裏)

A〜Cの「追いカメラ」は、現地のクルーや遠隔操作によってカメラをズームしたり左右に振ったりして、投手や打者、その他の選手を追尾する。こちらはマウンド上の三嶋一輝投手を捉えた画像。

B. 追いカメラ(1塁側)

「ベイプラ」の追いカメラ(1塁側)

1塁ベンチ横に設置。おもに内野の選手の様子を見ることができる。

C. 追いカメラ(3塁側)

「ベイプラ」の追いカメラ(3塁側)

3塁側内野スタンドに設置。投手や打者も見られるが、時折映るベイスターズ側の一塁ベンチの様子も楽しめる。

D. 投手バックネット裏

「ベイプラ」の投手バックネット裏カメラ

D〜Kまでのカメラは固定。こちらはバックネット裏から投手をおもに捉えたカメラ。足下まで見えるので、プレートのどの位置から投げているのかもわかる。

E. 打者バックネット裏

「ベイプラ」の打者バックネット裏カメラ

投手バックネット裏の映像を少し引いて、投手と打者をバックネット裏から見られる。

F. 投手1塁側

「ベイプラ」の投手1塁側カメラ

1塁側から内野スタンドからピッチャーマウンドを狙ったカメラ。投球の際の歩幅もよく見える。

G. 打者1塁側

「ベイプラ」の打者1塁側カメラ

1塁側から打者を捉えたカメラ。客席も見切れているので、打撃によるリアクションも見ることができる。

H. 投手3塁側

「ベイプラ」の投手3塁側カメラ

3塁側からマウンドを中心に見ることができるほか、1塁ランナーの動向も確認できる。

I. 打者3塁側

「ベイプラ」の打者3塁側カメラ

3塁側から打席を捉えている。左打者の場合、このカメラだと表情まで見える。

J. 全景

「ベイプラ」の全景カメラ

バックネット裏の上層階から捉えた場内の全景。

K. 内野全景

「ベイプラ」の内野全景カメラ

こちらは内野にフォーカスしたカメラ。これら全景の映像は守備シフトなどがよくわかる。

L. イベントカメラ

「ベイプラ」のイベントカメラ

こちらは、おもに試合前後のチームマスコットや勝利時のヒーローインタビューに焦点をあてた映像を見ることができる。また、試合前のイベントや、ベイスターズのオフィシャルパフォーマンスチーム「diana」のパフォーマンスや、ベンチ前で素振りをする選手の表情など、近くにいなければ見られない映像がたっぷり見られる。

「ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)」のその他の機能

「ベイプラ」には、A〜Lの全アングルを試合展開に合わせて切り替えて見せてくれる「メインカメラ」もある。

「ベイプラ」のために独自に中継車を出動させ、野球中継のプロスタッフが映像のスイッチングを行っている。こちらがその中継車だ。

ハマスタ場外で稼働している中継車

車内では全カメラの映像を見ながら「メインカメラ」に流す映像を選んで切り替えている。なお、「追いカメラ」の遠隔操作もこの中継車から行っている。

「ベイスターズプライムカメラ」の中継車とその内部 左/全12台のカメラを切り替えるスタッフ 右/A〜Cの追いカメラを遠隔操作するスタッフ

ちなみに、こちらが1塁側の「追いカメラ」。ファウルボールに備えて頑丈な金属製のボックスに4Kカメラが収められている。

「ベイスターズプライムカメラ」の1塁側追いカメラ

中継スタッフが「メインカメラ」での視点の切り替えや、追いカメラでズームする選手を決める参考にするのが、オリジナルの実況解説だ。

小杉陽太氏、高森勇旗氏など、ベイスターズOBが解説を務め、守備シフトに秘められた狙いや、選手の好不調の見極め方、元同僚だからこそ語れる裏話といったトークが、ベイスターズのファンに向けて放送される。
※解説なしの日程もあり

さらに、「ベイプラ」を起動していると、リアルタイムでベイスターズのチャンスを知らせてくれるプッシュ通知もとても便利。

「ベイスターズプライムカメラ」のプッシュ通知

こうした通知がスマホに届く。家事や仕事をしながらの「ながら観戦」中にチャンスの場面がわかるのがうれしい。

横浜DeNAベイスターズが目指す新たな観戦体験

今回の「ベイプラ」が生まれた背景と、その先にどのような新たな観戦体験を想定しているのか横浜DeNAベイスターズで、テクノロジーを活用したサービス開発に携わる吉田茉優さんに話を聞いた。

横浜DeNAベイスターズの吉田茉優さん 横浜DeNAベイスターズ 経営戦略室ビジネストランスフォーメーショングループの吉田茉優さん

「ベイスターズがKDDIさんとともに推進しているスマートスタジアムの構想は、スタジアムでいかに楽しんでいただくかということを前提にしています。コロナ禍とそれにともなう観客数の制限により、2019年と比べるとお客さまの動員数は約1/4となっています。

そこで、リアルとオンラインによる新たな観戦体験を提供できるようにしました。昨シーズンから『バーチャルハマスタ』に加え、ビデオチャットサービスの『Zoom』を活用した『オンラインハマスタ』というファン参加型の観戦企画も行っています」

ベイスターズが主催したファン観戦イベント「オンラインハマスタ」 Zoomを活用してベイスターズが開催しているファン参加型の観戦イベント「オンラインハマスタ」

「『オンラインハマスタ』では、球団の独自カメラ映像を9分割で配信したのですが、その際にファンのみなさまからいただいた『自分でカメラを切り替えて自由に見たい』というご要望を生かして、今回の『ベイプラ』の機能を構成しました。

また、OBによる実況解説も、『オンラインハマスタ』で行っていて好評をいただいた企画です。『ベイプラ』は、テレビや配信、ラジオ中継などと合わせても存分に楽しんでいただけると思います。

実は、『ベイプラ』の本格運用は来年からを予定しています。いまはみなさまにご利用いただき、どのようにアップデートするかを検討するためのβ版としてご提供しています。ぜひ使っていただいて、ベイスターズに興味を持たれたらスタジアムにもお越しください。現場で臨場感を味わいながら、同時にアプリで細かなところを見ると、試合観戦をよりお楽しみいただけると思います。リアルとテクノロジーの組み合わせで、これからも新たな観戦体験をご提供していきたいと考えています」

ファンのみなさんの新たな観戦体験をテクノロジーでサポート

最後に、横浜DeNAベイスターズとともに「ベイプラ」を生み出したKDDIのスタッフに、どんな思いでこのプロジェクトに参画し、今後テクノロジーがどのようにスポーツ観戦を変えていくのかなどについて聞いた。

「ベイプラ」の開発に携わったKDDIスタッフ。 左/球団との窓口としてマネジメントを行ったKDDI 5G・xRサービス戦略部 岡 亮佑 中/アプリ開発に携わったKDDI 5G・xRサービス戦略部 村田将一 右/配信のカメラを担当した5G・xRサービス企画開発部 藤城大樹

「ハマスタ内は一部5Gのエリアになっています。マスコットなどを撮影するイベントカメラは無線ですので、5Gスマホを使用すれば撮影機材がコンパクトになり、カメラの台数を増やせる可能性があります。選手やマスコットを身近に感じるアングルの撮影もしやすくなるでしょうね。また、5Gのネットワークを使うことで、より高画質な映像を低遅延で配信することも検討できます。コロナ禍で球場に足が遠のくなか、ファンのみなさまはどこでもスタジアムの臨場感を体験いただけると思いますし、ベイスターズさんはこれまでのファンと接点を維持しながら、新たなファンとの出会いの場にもなると思います。今後ともファンとチーム、両方のプラスになるよう進めていきたいと思っています」(藤城)

「私たちは、コロナ禍における環境変化に合わせた観戦体験を提供しています。ベイスターズ様とともに、ファンのみなさまに喜んでもらえるサービスの成功要因を学んできました。今シーズンはβ版としてご提供し、より求められる機能拡張の部分を考えていきます。そのうえで来シーズン、さらなる機能を盛り込んで、もっと喜んでいただけるものにしていくだけでなく、今後は違うスポーツでも楽しんでいただけるようになればいいですね」(岡)

「とにかくシンプルで、ひと目で操作感がわかりやすいアプリを目指しました。こうしたサービスの開発において、私たちが心がけるべきなのは、パートナーであるチームが持たれている課題を理解し解決することです。そして、そのチームのファンのみなさまにどれだけ楽しんでいただけるか。いま、ありがたいことにファンのみなさまからは『テレビ中継と比べてもほぼ遅延がない』『試合前のイベントも見られてワクワク感が高まる』『ベンチ内や守備位置を見られて楽しい』『場内の音に迫力がある』など評価の声をいただいています。今後もさまざまなスポーツのさまざまなチームに合わせたごとに独自の課題の解決策や楽しみ方を提示していきたいと思います」(村田)

そして、過去のゲームのアーカイブ再生や、リアルタイムの巻き戻しなど、来季からの具体的なアップデートも予定しているという。

今回、横浜DeNAベイスターズとのタッグで「ベイプラ」をファンのみなさんにお届けしただけでなく、かねてよりKDDIは通信のチカラで、Jリーグ、クライミング、フリーライドスキー・スノーボードなど、さまざまなスポーツをサポートし続けている。

au 5GやXRなどの最新テクノロジーを活用し、ファンのみなさんが安心・安全かつ一層熱烈に観戦できる環境をつくりだし、そのスポーツに触れたことのないみなさんにも魅力を伝えていく。そしてスタジアムや競技会場に赴けば、映像コンテンツの配信やさまざまなサービスによって、さらにそのスポーツを楽しむことができる。

KDDIはファンとチームをつなぎ、スポーツシーンをさらにもり立てていくべく、通信のチカラを活用していく。

「ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)」サービス概要
・料金:無料(2022年シーズンより有料化予定)
・利用方法:
 【Android】Google Play
 【iOS】App store

文:TIME&SPACE編集部

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。