2020/09/11
通信テクノロジーがスポーツを変える!プロ野球・Jリーグの新しい自宅観戦体験とは
新型コロナウイルス感染症の影響により、Jリーグもプロ野球もスタジアムへの入場制限が続いている。ファン同士がスタジアムで一体となり、客席から声を振り絞り、選手の名を叫び、歌うという、これまでのスタイルでの応援がままならなくなっている。
そうした状況のなかKDDIは、Jリーグの「名古屋グランパス」とはクラブ公式アプリを通じて、プロ野球「横浜DeNAベイスターズ」とは「バーチャルハマスタ」という試みを通して、遠隔によるこれまでにない観戦体験を届けている。
ファンは、自宅にいながらにしてスタジアムを体感し、仲間とともに試合観戦する雰囲気を楽しみながら、選手たちに応援の声を届けることができるのだ。通信技術と先端テクノロジーを活用することで、プロスポーツの観戦・応援体験を新しくする、このふたつのプロジェクトを見ていこう。
名古屋グランパス:サポーターがつながる観戦体験
こちらが「名古屋グランパス公式アプリ」。
このアプリでは、試合日程や結果、スタジアム情報などを提供するのはもちろん、チャント(応援歌)を聞けたり、今までであればスタジアムに行かなければ見ることのできなかった豊田スタジアムの大型ビジョンに映し出されるチームバスで選手がスタジアム入りする模様、選手たちのウォーミングアップやスタジアムDJのYOSUKEコーナーなど、試合前のスタジアムの様子や試合前イベントをつぶさに見ることができる。まさに試合観戦だけではない「スタジアムを感じる」という体験がここにあるのだ。
「2020明治安田生命J1リーグ」のリーグ戦に関しては全チームの全試合を「DAZN」が配信。一部、BSや地上波などでも放送されるが、中継はキックオフ直前。この「名古屋グランパス公式アプリ」では、試合開始約2時間前から、少しずつ盛り上がっていくスタジアムの雰囲気をまるごと楽しむことができる。これは現地で応援したいサッカーファンにとってはたまらなくうれしい。まさに会場の体感だ。
また、7月18日に実施された第5節 サガン鳥栖戦では多彩なゲストやクラブマスコットの「グランパスくん」と抽選で選ばれたファンクラブ会員によるライブチャットもアプリ上で実施。ライブチャットをつないで、双方向コミュニケーションを行いつつ、「みんなで応援している」気分を味わえるのだ。そして、試合終了後にはサプライズで選手も登場、大いに盛り上がった。
さらにライブチャットで応援するファンの映像をスタジアムのLEDモニターにリアルタイムで表示することで、自宅にいながら選手の間近で応援でき、スタジアム来場のお客様と一緒に応援する試みも行われた。
こちらがアプリでライブチャットに参加した選手たちの模様だ。
名古屋グランパス公式アプリ(iOS)
名古屋グランパス公式アプリ(Android)
横浜DeNAベイスターズ:「バーチャルハマスタ」でみんなと応援!
一方プロ野球では、横浜DeNAベイスターズの「バーチャルハマスタ」無料トライアルを、8月11日の阪神タイガース戦で実施。
「バーチャルハマスタ」はバーチャルSNS「cluster」上に「横浜スタジアム」の一部を再現したもの。
スタジアムは実際のデータに基づいて緻密に再構築されており、ユーザーはスマホやPC、VRゴーグルなどを使って、バーチャルハマスタオリジナルアバターで来場する。
“来場”したファンは、エントランスからコンコースを自由に散策可能。ファンにはおなじみの「ベイメンチ」の売り場やお弁当屋さんなども再現されており、まさにハマスタの雰囲気にあふれている
さらに、コンコースから階段を降り、ベンチを通ってグラウンドへ出ることも可能。グラウンドには選手たちの巨大なオブジェが展示され(足元に行ったり登ったりもできる)、試合観戦はグラウンド中央に降りてくる特設ビジョンで行う。アバターはグラウンド内の好きな場所に移動し、思い思いにビジョンを見て楽しむことができる。
また、ベイスターズの選手がホームランを打つと、花火や大型ビジョンでの表示など、バーチャル空間ならではの演出を展開。ベイスターズファンにはおなじみの「ヤスアキジャンプ」や、現状スタジアムでは禁止されているジェット風船を飛ばす演出もある。
テキストによるチャットや、アバターが拍手したりハートマークを浮かべたりする感情表現の機能も装備。周りに、自分と同じようなファンたちがたくさんいることを実感するだけでなく、盛り上がりや喜びも共有できるようになっている。
なお、この日の無料トライアルでは、球団OBの荒波翔さんと、熱烈なベイスターズファンであるインパルスの堤下敦さんが生解説を行い、随時メッセージを読み上げ、ファンとアバターで交流したりもした。
この無料トライアルには、約3万人のファンが参加。試合終了後もチャットでコミュニケーションし続けるファンたちの様子が見られた。
なお、バーチャルハマスタは利用者からの声を取り入れてさらにアップデートされていく予定だ。
※利用には「cluster」 の無料アカウント作成と、利用デバイス用の「cluster」アプリのインストールが必要です。
スポーツ界の発展を先端テクノロジーでサポート
KDDIは名古屋グランパスおよび横浜DeNAベイスターズとパートナーシップを締結し、5Gの商用化をベースとした、おもにスタジアムにおける新たな観戦体験の提供を目指していた。
こうしたプロジェクトを統括するKDDIの繁田光平は、「新型コロナウイルスの感染拡大にともない、スタジアムに来場したくてもままならないファンたちのため、チームとファンとをつなげるために通信会社になにができるかを考えた」という。
「名古屋グランパス、横浜DeNAベイスターズそれぞれのホームスタジアムにはすでに5Gの電波を使った新たな施策ができるよう、場内に基地局を設置しており、それにともなう新しい体験の提供も準備していましたが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で見直さざるを得ないことになりました。
そんななかでも新しいことをやりましょうとお話をした結果、かなりのクオリティのものを短期間でつくり上げることができました。たとえば『バーチャルハマスタ』は、現地にいるかのような体験でありながら、バーチャルだからこそのまったく新しい体験だと思います」
いま実施しているのは名古屋グランパスと横浜DeNAベイスターズの2チームだが、これらをスポーツ界全体に広げていきたいと繁田はいう。
「いまご提供しているものを、利用いただいたみなさんの声をもとにさらに改良し、かつ、スポーツのジャンルごと、チームごとにある課題を踏まえてほかのチームやスポーツに広げ、スポーツ界全体のコロナ禍を吹き飛ばしていきたいと思っています。
今回の施策には5Gは使われていませんが、今後は5G技術を用いた遠隔観戦への映像配信なども考えています。アプリなどを通じて、ファンのみなさんのスポーツへの熱気をさらに盛り上げ、また現地に来場いただいて応援いただけるようになれば、遠隔だけではなくスタジアムでも5Gによる新たな観戦体験をご提供することができます。そして、その場をどんどん広げていきたいと考えています」
昨今の新型コロナウイルス感染症の影響などにより、プロスポーツ界を取り巻く環境は大きく変わっている。これからまた環境がさまざまなかたちにかわっていっても、KDDIは先端テクノロジーを活用し、スポーツファンとチームがつながり続けるコミュニケーションのあり方を提案し、持続可能なスポーツ・エンターテインメントの創出を通してプロスポーツ界の発展に貢献していく。
文:TIME&SPACE編集部
※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。