2021/08/02
ORANGE RANGEが5Gでライブ配信!メンバーの歌声や演奏に近づける音のVRの魅力とは
2021年7月11日、今年結成20周年を迎えるロックバンド ORANGE RANGEの20周年ライブ「一日千秋"楽" vol.3」が、山口県の「KDDI維新ホール」で開催された。このライブはYouTube で配信されるとともに、au 5Gを活用した「音のVR」でもリアルタイム配信を行い、東京の「GINZA 456 Created by KDDI」では、抽選で選ばれたファン限定で、その「音のVR」によるリアルタイム配信視聴体験会が開催された。
この「音のVR」によるリアルタイム配信で、どのような体験ができたのか。ライブの裏側や実際に体験会に参加した人の声とともに、その内容を紹介しよう。
スクリーンとスマホによるリアルタイムライブ体験
午後4時半。ライブの視聴体験会場であるGINZA 456のイベントスペースは、ライブ会場である山口県と同じ熱さと高揚感に包まれていた。
抽選で選ばれたファンが続々と集まり、席に座る。
午後5時。山口県の「KDDI維新ホール」でライブが始まると同時に、東京の「GINZA 456」でもライブ映像の幕が上がった。
「GINZA 456」では、YouTube配信は壁面の大型スクリーンと入口のファサードで、「音のVR」はスマホとヘッドホンとで視聴を体験することができた。
ここでまずは「音のVR」について説明しておこう。
「音のVR」とは
「音のVR」はKDDI総合研究所の技術で、360度動画の視聴中に見たい部分の映像だけでなく、聴きたい部分の音も自由にフォーカスできるという “新しい視聴技術” だ。
ORANGE RANGEのライブの場合、画面を引いて全体の映像を見ればライブ会場と同じく3人のボーカルの声と3つの楽器が一体となった演奏を聞くことができ、一人ひとりの映像にフォーカスすれば、そのフォーカスしたボーカルの声や楽器の音色に近づいて聴くことができる。
一般的なライブ配信では会場のカメラのスイッチングで、歌や演奏のメンバーが映し出されるが、音のVRでは、ずっと特定の人の映像と音にフォーカスすることができる。しかも今回はリアルタイム配信なので、あたかもライブ会場に行っているように、現地さながらに自分の好きなメンバーをずっと見ることができる。
実際にライブ中のファンの手元を見ると、好きなメンバーを固定で視聴している人もいれば、ボーカルに寄ったりベースに寄ったり、ギターに寄ったりドラムに寄ったりと、曲ごとにフォーカスする人もいて、新しいライブ視聴の仕方が垣間見えた。
ライブは、「花」「以心電信」などヒット曲の演奏で盛り上がり、MCではHIROKIさんが「いろいろな事情で今日のライブに来たいのに来れなかった人がいると思うけど、今日は生配信もしているので、皆さんそれぞれの場所で楽しんでいってください」と呼びかけ、RYOさんとYAMATOさんも「みなさんの気持ち、ここまで届いています」とそれに続いた。
会場と一体となって盛り上がるなか、本編最後の曲とともに配信も終了した。
実際に体験された方はどう感じたのか。ライブ終了後のまだ熱気のある会場のなか、参加いただいた方に、その感想を伺った。
NKさん「現地とこれだけ離れていても、音のVRとしてリアルタイムで聴けることに驚きました!以心電信などケータイの着信音時代からORANGE RANGEの曲を聴いていたので、時代を超えてスマホになり、そのスマホの中で新しい技術のライブ配信が見えるようになることに驚きです」
にいおかさん「音のVRを初めて体験しましたが、ORANGE RANGEはボーカルが3人いるので、一人ひとりの声に寄れるということがとてもライブ内容とマッチしていました。ORANGE RANGE最高です!」
SNS上でも音のVRを視聴した方からは、楽器の音に近づいて聞こえることや特定のメンバーにフォーカスできる楽しさ、そしてライブの時のようにメンバーを目で追いかけられる体験に喜ぶコメントも投稿されていた。
笑顔に終わった音のVRリアルタイム配信の視聴体験会。実は今回の取り組みは、世界初の試みだったという。当日のライブ会場側ではどんなことが行われていたのか。引き続きその裏側を、現地の写真とともに見てみよう。
音のVRリアルタイム配信の仕組み
時はさかのぼりライブ当日の午前10時。ライブ会場となる山口県「KDDI維新ホール」に、音のVR配信班が到着した。
通常、音のVRの撮影収録では、ステージの中心に360度カメラや360度マイクを配置し、演奏者にはその周りを囲むように立ってもらい、撮影を行っていた。しかし今回のように観客のいるライブのリアルタイム配信では、ステージ上にカメラを設置することは容易でない。
「ライブそのままの雰囲気で、映像と音楽をズレなく音のVRとしてリアルタイム配信できるかが大きな課題でした」と、現地で音のVRの配信を監修したKDDI総合研究所の堀内はいう。
堀内「今回は、ORANGE RANGEの皆さんにいつもどおり演奏いただけるよう、360度カメラとマイクではなく、通常のステージ演奏の収録用カメラとマイクで配信することにチャレンジしました。以前GINZA 456の取り組みでORANGE RANGEさんと音のVRのコンテンツを収録した際、360度マイクで収録した音声と、ライブ形式で撮影した映像を合成した経験があって、実際のライブでも音と映像を360度に再配置すれば、リアルタイム配信もできるのでは、という手応えを持っていました」
何回も事前のテストを重ね、ライブ会場でステージの映像をリアルタイムで取り込み、360度動画に合成するとともに、複数のマイクからの音をミキシングによりサラウンド化することで、通常のステージ演奏のもと、「音のVR」リアルタイム配信が実現したというわけだ。
堀内「なので今回は、ステージ全体を撮影するカメラのほかに、常にボーカル3人と楽器3人の合計6人、一人ひとりを追いかけて撮影するカメラを用意しました」
この6トラックの映像をリアルタイムで取り込み、360度画面に合成し、サラウンド化した音楽と合わせて「GINZA 456」のB1Fイベントフロアを模した音のVR用動画を瞬時に作り上げる。
堀内「あとは、この動画をいかに早く配信プラットフォームにアップロードできるか。速度と安定性、そして携帯性を考えた結果、この通信には5Gを活用しました」
これだけのデータを安定的に配信プラットフォームにアップロードしようとすると、会場に光回線をひき、専用の配信機材の設置が考えられるが、今回はPCと5Gスマホだけで配信を行った。
堀内「5G通信は1Gbpsを超えるダウンロード速度が注目されていますが、エリアにさえ入っていれば、気軽に持ち運べてその場で100Mbpsクラスのアップロード速度を確保できます。配信者にとっては大変な進化と感じています。連続使用によるスマホの温度上昇には、今回はファンを用意して、冷却しました」
映像と音声処理と5G通信。それが今回の音のVRリアルタイム配信を支えたというわけだ。
そんな今回の取り組みについて、ORANGE RANGEのメンバーはどう感じたのか。ライブを終えたばかりのHIROKIさんとRYOさんにもオンラインで話を伺った。
HIROKIさんからは「最初はリアルタイム配信もあるということで緊張したけど、収録よりもお客様が入っているライブのほうがパフォーマンスを出せるので、会場の盛り上がりとともに最後までいつもどおりのライブができました」と笑顔がこぼれ、RYOさんからは「僕たちとしては一番はライブに来てほしいけど、新しい技術を通じて見てくれる人が増えるのは嬉しいこと。今後も音楽の幅を広げていきたい」と、今後に対する意欲が見えた。
5Gと最新技術のチカラで、ライブ映像をシームレスに動かし、好きな部分の音を聴く。それをリアルタイムに配信するという、新しい映像体験が実現できた。
堀内「専用機材や専用設備がなくても、5GスマホとPCひとつで手軽に高品質な映像配信ができる時代が来ました。今回の取り組みをきっかけに、またおもしろい体験にチャレンジしたいと考えています」
KDDIはこれからもワクワクを提案し続けるために通信技術で心をつなぎ、さまざまなパートナーとともに新しい体験価値をつくりだしていく。今後の5Gによるサービスの進化を期待したい。
ORANGE RANGE
沖縄出身の5人組ロックバンド。2001年に結成し、2002年2月22日にアルバム「オレンジ ボール」でインディーズデビュー。2003年シングル「キリキリマイ」でメジャーデビューを果たす。2021年に結成20周年のアニバーサリーイヤーに突入。
ジャンルにとらわれない自由かつ高い音楽性と、卓越したポピュラリティが話題となり、数々の名曲を送り出し続けている。
オフィシャルサイト:https://orangerange.com/
20周年特設サイト:https://orangerange.com/
撮影:Rickey-style(ライブ会場)
文:TIME&SPACE編集部
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