2021/04/21
au『TORQUE 5G』開発者インタビュー 別格の耐久性を備えたタフネススマホの舞台裏
2021年3月、auから京セラ製5Gスマホ「TORQUE 5G」が発売された。落下や衝撃など米国国防総省が定める耐久試験に準拠した別格の耐久性を備えたTORQUEシリーズの新作だ。
別格の耐久性を備えた5Gスマホ「TORQUE 5G」はどのようにして生まれたのか?優れたタフネスを実現した背景とは?開発を手がけた京セラおよびauの担当者に話を聞いた。
ユーザーの期待に応えるために
――まずは「TORQUE 5G」の開発コンセプトを教えていただけますか。
辻岡さん「TORQUEは2014年発売の初代「TORQUE G01」以来、お客さまに支えられ、育てていただいているブランドです。お客さまへ頻繁にアンケートを取ってきたほか、定期的にユーザーミーティングを開催し、そこから得られたご意見やご要望をモノづくりに反映させてきました」
辻岡さん「それは最新の「TORQUE 5G」においても同様です。開発にあたって、お客さまから寄せられた5,000通を超えるアンケートにあらためて目を通しました。その中で強く感じたのは、TORQUEはお客さまからとても愛されているブランドであるということ。フリーアンサー欄には「TORQUEを選んで良かった」「これからも使い続けます!」といった熱いメッセージがたくさん寄せられていました。私たち開発陣は、そういったお客さまの期待により一層応えていきたい。そして、TORQUEを使ってくださるみなさまにもっとハッピーになっていただきたい。そんな思いで「TORQUE 5G」の開発がスタートしました。」
――TORQUEのユーザーから寄せられたリクエストには具体的にどのようなものがありましたか?
辻岡さん「大きく分けて2つあります。ひとつは「タフネスの強化」です。「もっと丈夫に」「もっと壊れにくく」はお客さまからもっとも多く寄せられるご要望であり、私たちとしても TORQUEシリーズの開発においてこだわり続けているポイントです。タフネスの追求に終わりはありませんから。
もうひとつは「カメラ機能の向上」。いまやスマホできれいな写真を撮れるのは当たり前ですが、「あらゆるシーンで、もっときれいな写真を撮りたい」というご要望はお客さまから絶えず寄せられています。「TORQUE 5G」の開発においても特にこだわったことのひとつです。」
“新しい生活様式”にも対応
――TORQUEシリーズの特長であるタフネスに関して、前機種「TORQUE G04」から進化したポイントを教えてください。
松田さん「「TORQUE 5G」では新たに「泡ハンドソープ洗浄」「耐薬品(アルコール除菌シートで拭ける)」に対応しました。こまめな手洗いや消毒・除菌など“新しい生活様式”が求められるいま、「スマホを常に清潔に保ちたい」というお客さまからのご要望に応えたものです。」
松田さん「アルコールや洗剤は、製品外観や防水機能に悪影響を及ぼすことがあります。「TORQUE 5G」では素材の選定や構造を工夫することで、泡ハンドソープでの手洗い・すすぎの洗浄サイクル試験と、耐薬品試験(消毒用として市販されているイソプロピルアルコール、エタノール、次亜塩素酸ナトリウムを少量含ませた柔らかい布での拭き取り試験)をクリアしました。」
氷漬けでも動作する驚異のタフネス
松田さん「「TORQUE 5G」では耐衝撃性をさらに強化しています。たとえば、四隅のバンパーには「TORQUE G04」よりもやや硬く耐薬品性の高いポリウレタンエラストマー素材を採用するなどして、落下面にサンドペーパーを敷いた鋼板に高さ約2mから26方向で落下させる試験を新たにクリアしました。」
松田さん「もちろん、防水、防塵、耐振動、耐荷重、耐海水など、歴代のTORQUEシリーズで培ってきたタフネスは「TORQUE 5G」にも受け継いでいます。耐氷結性能に関しては、記者発表会で『マイナス21℃の冷凍庫に3時間入れた「TORQUE 5G」に電話をかける』というデモンストレーションを行いました。氷漬けの「TORQUE 5G」から着信音が聞こえてきて、問題なく動作していることを確認できたときは、記者の方々から驚きの声が上がりました。」
目指したのは、デザインとタフネスの両立
――「TORQUE 5G」のデザイン面で特にこだわったポイントを教えていただけますか。
石井さん「「TORQUE 5G」のデザインテーマは「EVOLVE(=進化)」です。これまでのTORQUEらしさを大事にしながら、今回より新たに次世代通信規格「5G」に対応するということで、見た目からも5G時代にふさわしい進化を感じていただけることを目指しました。
具体的には、「TORQUE G04」のダイナミックな多面体のフォルムを踏襲しながら、「TORQUE 5G」ではそこからさらに進化させ、洗練されたデザインとTORQUEらしいタフネスの両立を意識しながら細部を詰めていきました。」
石井さん「特に注目していただきたいのが、メインカメラまわりの造形です。「TORQUE G04」では落下時の衝撃を防いでカメラを保護するためのリブ形状をカメラスクリーンまわりに設けていましたが、「TORQUE 5G」ではその構造を立体的な多面体形状に融合させてスッキリさせています。単なるカッコいいスタイリングをしたのではなく、美しさと機能を融合させた、意味のあるデザインにしているんです。」
石井さん「リム(ディスプレイ周囲のフチ)は、落下の衝撃からディスプレイを守るための高さを維持しながら、すこし角度をつけた斜めの形状にしています。剛性を確保するとともに、OSアップデートで追加されたジェスチャーUIのスワイプ動作などをなめらかにすることが狙いです。ディスプレイを守るにはこのリムの高さが必要なのですが、単純な突形状にすると操作性が非常に悪くなってしまいます。そこで、角度をつけたリムにすることで、操作性と耐久性の両立を図っています。」
辻岡さん「ディスプレイは5.5インチの高輝度フルHDプラス液晶を採用しました。スマホで動画を楽しむのが当たり前になりつつあるなか、より大きな画面で楽しみたいというお客さまのご要望に応えたものです。」
石井さん「ディスプレイの縦横比率は18:9です。前機種「TORQUE G04」よりもやや縦長になりました。背面の握る部分にくぼみをつくるなど、手に馴染むような形状にこだわり、大画面化しながら持ちやすさも確保しています。」
ユニークな新機能「マルチカメラ」とは?
――カメラ機能はどのような進化を遂げているのでしょうか?
辻岡さん「約2,400万画素・F値1.8のメインカメラに加え、超広角のワイドカメラは約1,600万画素・F値2.2にアップグレードしました。」
辻岡さん「メインカメラには新たに「ナイトモード」「夜景自動検出機能」を搭載しています。薄暗い場所でもきれいに撮れるうえ、周囲の明るさを自動的に検知してモード切り替えを促すアイコンを表示します。また、最大360°のパノラマ写真が撮れる「パノラマモード」も新たに搭載しました。
もうひとつ、「TORQUE 5G」の新機能が「マルチカメラ」です。メインカメラもしくはワイドカメラとサブカメラを同時に撮影し、それぞれの絵をミックスしてひとつの写真や動画として撮影できるというものです。」
辻岡さん「たとえば登山であれば、美しい景色をバックに自撮りをしながら、目の前の雄大な山々を同時に撮影できます。釣りやスノーボードなどで使っても楽しいと思います。アクティビティのシーンにあわせて活用していただきたいですね。」
ニーズが高い機能は変えずに継承
――「TORQUE 5G」はさまざまな面で進化を遂げていますが、従来のモデルから変わらずに継承している機能は何ですか?
辻岡さん「グローブ装着時でもボタン操作が可能な「グローブタッチ」や、画面が濡れていてもタッチ操作が可能な「ウェットタッチ」は、お客さまからの評価が高く、従来のモデルから変わらず引き継いでいます。」
辻岡さん「電池パックが着脱可能であることも従来モデルと同様です。「予備の電池パックと交換することで、瞬時に満タンにしたい」とおっしゃるお客さまはとても多いんです。」
辻岡さん「バッテリーに関しては、今回初めて充電器を別売オプションとしてご用意しました。これまでのTORQUEは本体のみで充電可能でしたが、バッテリー充電器を利用することで、電池パック単体で充電することが可能になります。これもお客さまの声に応えて製品化しました。」
芸が細かい!注目すべきディテールの数々
――「TORQUE 5G」の細部においてこだわったポイントを教えていただけますか。
松田さん「ボディ背面のTORQUEのロゴはぜひご注目いただきたいです。前機種の「TORQUE G04」では印刷でロゴを入れていましたが、「TORQUE 5G」ではエンボス加工したうえでスミ入れ(黒い塗料を流し込むように塗ること)を施しています。」
松田さん「立体的なデザインを成立させるために、TORQUEのロゴに関しても、非常にこだわったモノづくりをしているんです。」
石井さん「細かいところでは、背面カバーのロックリングに開閉状態がひと目でわかるインジケーターを採用しました。」
石井さん「ロックがきちんと閉まっていると、「LOCK」横の穴が赤色になるようにしています。「きちんとロックされているか確認したい」というお客さまの声に応えたものです。」
松田さん「さらに細かいところでは、カバーを外したときにビスが目立たないよう、内部の設計に工夫を施しました。TORQUEシリーズは代々、一般的なスマホの約3倍ものビスを使っています。そうすることで強度を高めているのです。」
松田さん「「TORQUE 5G」と「TORQUE G04」を見比べると、「TORQUE 5G」のほうがスッキリした見た目になっていることがわかると思います。このように、普段は見えないところまでこだわっているんです。」
コールマンとのコラボモデルに込められたこだわり
――「TORQUE 5G」はイエロー、レッド、ブラックの3色に加え、アウトドアブランド「コールマン」とのコラボモデルもラインナップされています。「コールマン」とコラボレーションしたのはなぜでしょうか?
辻岡さん「コールマンさんもTORQUEもアウトドアフィールドを舞台にしたブランドであるという共通項があり、ご縁があって今回コラボレーションさせていただきました。」
辻岡さん「起動時にはコールマンさんの代表作であるランタンに点火するようなアニメーションを表示させたり、ランタンを模した画面デザインの簡易ライトアプリやオリジナルの壁紙をプリセットしたり、コールマンさんのファンにはたまらない仕掛けをたくさん詰め込みました。
特に注目していただきたいのが、背面のカモフラージュ柄です。本体を横にして、この柄をよーく見てみていただくと……。」
辻岡さん「わかりますか?「C」「O」「L」「E」「M」「A」「N」の文字がカモフラージュ柄のなかにさりげなく隠されているんです。また、それ以外にもこのカモフラージュ柄にはいくつか秘密が隠されています。」
TORQUEシリーズでカモフラージュ柄を採用したのは今回が初めてですが、非常にユニークで完成度の高い仕上がりになったと思います。
auがタフネスにこだわり続ける理由
――auは、カシオ計算機製のG'zOneシリーズに始まり、京セラ製の「TORQUE 5G」まで、これまで数多くのタフネスケータイやタフネススマホをリリースしてきました。auがタフネス端末にこだわる理由とは?
渡部さん「auがタフネス端末にこだわり続けるのは、「あらゆるフィールドで、安心してスマホやケータイを使いたい」というお客さまのご要望に応えるためです。auはさまざまなスマホを取り揃えていますが、とりわけTORQUEシリーズは熱烈なファンが多く、「TORQUEがあるからこそauを使い続ける」とおっしゃる方も少なくありません。
冒頭で京セラの辻岡さんがおっしゃったように、TORQUEはファンのみなさまに支えられ、育てていただいているブランドです。お客さまからのご意見やご要望はKDDIにも寄せられますので、それを京セラさんと共有しながら、代を重ねるごとにタフネス性能を進化させてきました。
「TORQUE 5G」は特長であるタフネスをさらに強化しながら、シリーズで初めて5Gに対応するなど、新たな進化を感じていただける製品です。アウトドアアクティビティを趣味にされている方や、工事現場などで働くプロフェッショナルの方はもちろん、「とにかく丈夫なスマホが欲しい!」という方、これまでTORQUEをご存じなかった方にも、「TORQUE 5G」の魅力をぜひ知っていただきたいですね。」
「あらゆるフィールドで、安心してスマホを使いたい」というユーザーの要望に応えるため、auと京セラが細部までこだわり抜いて開発した「TORQUE 5G」。山や海などのアクティビティを楽しむ人はもちろん、日常使いで水濡れや落下が気になる人にとって、これほど心強いスマホはほかにない。
文:榎本一生
撮影:有坂政晴
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