2020/11/27
スタジアムが便利で楽しく!5GやARを活用した京都サンガF.C.の新しい挑戦
こちらは、「サンガスタジアム by KYOCERA」。2020年10月18日に行われた、サッカーのJ2「京都サンガF.C. VS レノファ山口FC」の試合風景だ。
この日、開催されたのは「au 5G スペシャルデー」。今年1月にオープンしたばかりの真新しいスタジアムは秋晴れに恵まれ、集まった多くのサポーターがスマホを片手に楽しむ風景があちこちで見られた。
KDDIと京都サンガF.C.は、昨年より連携を開始。5Gを活用した新たなサッカー観戦の創出に取り組んできたが、この日サポーターたちは、初めてそれを体験することになったのだ。
「京都サンガF.C.アプリ」でスタジアムが便利で楽しく
この試合では、リリースしたばかりの「京都サンガF.C.アプリ」を用いてスマホと場内の大型ビジョンを連動した応援や、スタジアム外の混雑状況がひと目でわかるシステムなど、数々の新体験が提供された。
KDDIは、アプリの開発にスタジアムの5Gエリア化、それらを連携させて通信テクノロジーを活用した新しい観戦体験をサポートしている。
京都サンガF.C.アプリで、どんなことができるのかというと……
①スタジアム前と最寄り駅前の混雑状況がリアルタイムでわかる「スタジアムマップ」。
②スマホをタップして応援できる「TAP! GO! SANGA!」。この試合当日の独自コンテンツ。
③試合前のウォーミングアップなどの模様がライブで見られる機能。
ほかにも、スタジアムグルメを事前に予約し、決済まで行えるモバイルオーダーをこのアプリから利用できる。
では、これらの中身について見てみよう。
混雑度を視覚化した「スタジアムマップ」
スタジアム前と最寄り駅前の混雑状況がリアルタイムでわかる「スタジアムマップ」には、このスタジアムの立地ならではの理由がある。
「サンガスタジアム by KYOCERA」は、最寄りのJR山陰本線亀岡駅からは、実に徒歩約3分。日本のサッカースタジアムのなかでも圧倒的に駅近なのだ。
試合が開催される日には、駅はもちろん、スタジアムの周囲は大混雑する。密集にサポーターたちが巻き込まれることなく、安心して来場できるよう、まずこの機能が搭載された。
JR亀岡駅前に1台、スタジアムの北側広場に2台のカメラが設置されており、現地の様子をリアルタイムで配信し、映像解析を行い、混雑状態を表示。来場客はどの程度の人出になっているかがアプリを通じてひと目で確認することができる。
プライバシー保護のため、実際の映像をそのまま使用するのではなく、AIが人であると認識した被写体に青い人型として表示する処理が行われている。この画像は、1分ごとに更新される。
ちなみに操作感はこんな感じだ。
スマホをタップで応援できる「TAP! GO! SANGA!」
アプリに搭載された応援コンテンツ「TAP! GO! SANGA!」は、サポーターみんなの応援の力を可視化するものだ。サポーターはそれぞれ、アプリでキーをタップ。
サポーターみんなのタップの熱量は、スマホと連携した大型ビジョンおよびグラウンド脇のLEDパネルにリアルタイムで届き、その回数に応じて映像がどんどんヒートアップしていく。サポーターみんなで歌ったり、ピッチに歓声を送ることがままならないいま、スマホと通信を活用して場内ひとつになって応援しようという試みなのだ。
みんながアプリでタップすればするほど、スマホディスプレイ内でフラッグは揺れ、クラブの象徴であるエンブレムに使用されている、鳳凰が激しく飛び回る。そして大型ビジョンとLEDパネルでも連動。
声を出せないなかで、試合開始直前のアプリによる応援で、来場したサポーターたちが一体となったように感じた。
なお、「サンガスタジアム by KYOCERA」は5Gアンテナを設置。場内全域で、5Gスマホが使用可能となっている。
持参した5Gスマホで試してみると、応援演出のレスポンスがスムーズで、このあと紹介するウォーミングアップの模様なども、ストレスなくサクサク見ることができた。
鮮明なライブ映像に便利な「モバイルオーダー」も
③のライブ機能では、試合前に場内で行われるイベントの模様をリアルタイムで見ることができる。この日は選手たちのウォーミングアップの様子が中継された。「サンガスタジアム by KYOCERA」はどの席に座ってもピッチが非常に見やすい、素晴らしい専用スタジアムだが、それでも場内に設置されている複数台のカメラから、随時切り替わって届く映像はうれしい。
また、「モバイルオーダー」も使いはじめると手放せない。この日は、メニューを試合開始3日前の13時からアプリで公開。スマホだけでキャッシュレスで複数店舗のメニューやドリンクを一括注文、一括決済ができ、現地では1カ所で一括受け取りできる。
スタジアムグルメは楽しい。だが人気のショップだと行列することになる。並ぶより、ピッチの選手たちが見たい。モバイルオーダーは、そんなサッカーファンのジレンマを解消してくれるのだ。
スタジアムをVPSでAR装飾!au PAYも便利!
京都サンガF.C.アプリの機能ではないが、スタジアムの外では、スマホの画面をのぞけば、スタジアムの壁面に選手やマスコットたちが現れるというAR(Augmented Reality)コンテンツが人気を集めていた。
こちらは日常空間にさまざまなARコンテンツを表示させる「XR CHANNEL」というアプリを通して楽しむことができる。指定されたエリア内でスマホカメラを向けた場所に、巨大な選手やマスコットが現れるのは壮観でとても未来的な体験。
「XR CHANNEL」アプリはVPS(Visual Positioning Service)という「空間認識技術」を活用しており、KDDIが開発に関わっている。衛星写真から生成した街の3Dマップを生成することで、建物の向きや高さからずれることなく、より自然な見え方でAR画像を出現させることができる。
ちなみに場外の京都サンガF.C.ショップではau PAYも使用OK!
スムーズなキャッシュレス決済が、ショップの混雑解消にひと役買っていた。
サポーターとクラブの望みと、KDDIのマッチングがカギ
KDDIと京都サンガF.C.は今回初めて、アプリを中心として、通信テクノロジーを活用した観戦体験の実践にこぎつけた。京都サンガF.C.で地域との連携やサポーターへの体験価値向上に取り組む地域連携本部長兼マーケティング部長の小川雅洋さんに、今回の狙いと今後のビジョンを聞いた。
「最大のテーマは混雑の緩和でした。今年2月のプレシーズンマッチでは、スタジアムと駅の間の移動に1時間もかかるほどの大混雑が発生してしまいました。ご来場いただくサポーターのみなさんに快適に観戦いただき、地域のみなさんにも気持ちよく迎え入れていただくため、混雑の可視化をもっとも望んでいました。それは非常にわかりやすいかたちで実現できたかなと思っています。
せっかく5Gの電波も飛んでいることですから、今後はデジタルを活用したイベントがもっとできるといいですね。サンガスタジアムは外の広場があまり広くないので、スタジアムの外で多くのお客様にお集まりいただくことができません。だからこそスマホアプリを活用して、場内やご自宅からでも参加できるイベントを開催できればと考えています。あとは、KDDIさんで開発されている、あらゆる視点から自由にプレーを観ることができる、自由視点映像も取り入れてみたいですね」
もっと安全により快適に観戦していただきたいというクラブの要望と、より楽しく応援しスタジアムを体験したいというサポーターの思い、そしてKDDIの技術をうまくマッチングさせていきたい、と小川さんは述べた。
KDDIはスポーツの観戦体験を拡張していく
今回の取り組みをすべて担当してきた、KDDI 5G・xRサービス戦略部の岡亮佑と山口昌志に、現場で話を聞いた。
「京都サンガさんと今回の取り組みをすすめるなかで、“人の滞留”という課題を持たれていることがわかりました。なにより重視されていたのは、混雑の度合いをファンのみなさんに瞬時に把握してもらいたい、ということでした。そんなご提案をいただいたため、ひと目で混雑度がつかめるシステムを採用しました。
チームやサポーターにとって現実的になにが重要かは、私たちだけではわからないものです。今回のように京都サンガさんと綿密にお話しをし、助言いただき、それにお答えすることでより良い結果を生み出し、ファンのみなさんにも喜んでもらえるものと思っています」(山口)
「一方で、新スタジアムの魅力を打ち出す施策に関してもご相談いただいていました。スタジアムならではの新しい体験の提供とともに、“京都サンガの新しさへの意欲”もお知らせしたい、というお話でした。そこで今回は、スタジアムの武器である『LEDリボン』を活用しました。スマホを使い、2基の大型ビジョンと絡めた応援演出『TAP! GO! SANGA!』で、現状、大声での応援を制限されているファンのみなさんに盛り上がっていただけたのではないかと思います」(岡)
山口と岡は、チームとのしっかりした連携があり、互いに希望を出し、提案をし合うことで、こうした新しい観戦体験を実現することができるのだという。
「チームごとに課題の解決に技術面で支援し、それをもとに、また別のチームや別のスポーツや、別のエンターテインメントへと波及させて活用していきたいと思っています」(山口)
通信テクノロジーの進化と、さまざまな課題解決をふまえて、今後もファン目線、チーム目線に寄り添い、KDDIはパートナーとともに体験価値を提供し、ワクワクを提案し続ける。
文:TIME&SPACE編集部
写真:京都サンガF.C.
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