2020/08/18
こども達に笑顔を届けたい! 『音のVR』でキッザニアの世界に参加できる音楽体験
「新音楽視聴体験 音のVR」アプリに、キッザニア東京で開催された初のオンラインコンサート「プレミアムズコンサート オンライン」から、「KidZania Forever」など3つのコンテンツが公開された。
「プレミアムズコンサート オンライン」は、新型コロナウイルス感染症の拡大によりステイホームが増えたこども達とそのご家族に「笑顔を届ける」をコンセプトに、キッザニアが企画したもの。オーケストラとバンドの生演奏に、歌やダンスのパフォーマー、さらにはキッザニアのキャラクター、ウルバノ・ビータ・バッチェも加わって無観客ライブを実施、その模様が生配信された。
「新音楽視聴体験 音のVR」アプリには、コンサートで披露された楽曲から、キッザニアのウエルカムダンスソングである「KidZania Forever」、全国のこどもたちが歌う“プレミアムズオーケストラ”のオリジナルソング「ミライスタート!」、そして映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のタイトル曲という、ジャンルを超えた3曲が収録され、まるでキッザニアに来てコンサートに参加しているような感覚を楽しめる。
「音のVR」とは、KDDI総合研究所が開発した独自技術で、専用のアプリを使ってスマホやタブレットでコンテンツを視聴することができる。好きな演奏者や楽器パートを画面上でピンチアウト(拡大)すれば、映像と同時に、その音色にも寄って視聴することができるというもの。
いわば演奏しているステージ上を自由に歩き回るような感覚で好きな楽器や歌声に耳を傾けつつ、臨場感あふれる音楽視聴体験ができる。
では、デモムービーをご覧いただこう。
「新音楽視聴体験 音のVR」アプリのダウンロードはこちら
※2020年8月17日現在、iOSのみでの配信となります。
「音のVR」のコンテンツは、初日のコンサート終了後に収録。「キッザニア」の中央広場の中ほどに、360°カメラと360°マイクを設置し、その前後でボーカルやダンサーがパフォーマンス、オーケストラやバンドはそれらを取り囲むようにして演奏した。
パートナーとともに新しい体験価値を提供していく「音のVR」の取り組み
この春以降、新型コロナウイルス感染症の拡大により、音楽を取り巻く環境は大きく変化した。歌う機会を失った学生や、音楽を届けることができなくなったミュージシャンらに、KDDIは通信のチカラを活用した支援のひとつとして、音のVR技術で、パートナーとともに新しい音楽鑑賞の提案を行ってきた。
3月には東京混声合唱団との協力で、卒業式で歌う機会を失った学生たちに向けて、卒業式の合唱に参加しているような疑似体験ができる合唱コンテンツを、『音のVR』アプリで配信。
また6月には、コロナ禍における新たな音楽活動のあり方に挑戦していた新日本フィルハーモニー交響楽団と、東京混声合唱団による総勢119人のリモート共演を「音のVR」によって実現。スマートフォンでつなぐ新しい音楽鑑賞体験を提案した。
さらに7月末には、コンクールの中止により歌う目標を失った全国の中学や高校の合唱部に向けて、一緒に歌う楽しさや思い出を提供しようと企画された、東京混声合唱団と中高生100名のリモート共演したコンサートを「音のVR」で生配信した。
一方、KDDIとキッザニアを運営するKCJ GROUPとは、2018年よりパートナーシップを結び、教育(エデュケーション)とエンターテインメントを融合させた「エデュテインメント」の領域で協働してきた。2019年7月には、「キッザニア東京」「キッザニア甲子園」に国立極地研究所との協力による期間限定パビリオン「南極研究所」を開設。また、全国各地で開催される「アウト オブ キッザニア」へ、こども達も楽しめる最新技術を体験できるKDDIブースを出展するなどの取り組みを行っている。
キッザニアは楽しみながら社会のしくみを学ぶことができる「こどもが主役の街」。リアルな職業・社会体験を通して、こども達が実社会で「生きる力」を育むため、真のエデュテインメントを目指している。
そこで、おうち時間の増えたこども達に夏のステイホームエデュテインメントとして、キッザニアの世界観を通じた新しい音楽体験を伝えたいと「プレミアムズコンサート」のオンライン配信を企画。さらにKDDIが「音のVR」で配信することになった。
現場での“体感”をこども達に届ける「音のVR」
「プレミアムズコンサート オンライン」を企画したキッザニアの辰巳勝洋さんに、コロナ禍でのキッザニアの現状とオンラインコンサート開催の背景について聞いた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、キッザニア東京は3月初旬から5月末日まで、約3カ月の休館を余儀なくされた。
「私たちスタッフも、その間は在宅勤務の比率が多くなりました。そのときに『オンラインを使って何かやりたいね』という話が出たんです。新型コロナウイルスの影響で、今年は多くのお子様や保護者が休校や外出自粛などによるストレスを感じていたはずですし、キッザニアとして何ができるかを考えていました。キッザニアは、来館してもらって実際に仕事体験をしてもらうことが基本ですが、休館中でも『キッザニアは元気だよ』とお子様たちに伝えたいと考え、接点を保ち続けられればいいなと思うようになり、これまで未経験だったオンラインの企画に取り組むようになりました。オンラインの企画なら全国のお子様たちにも届けることができますしね」
世間的にリモート会議が当たり前のようになったことも理由のひとつだという。
「親が家でパソコンに向かってなにか話しかけているのを、きっとお子様たちは興味深く見ているんだろうなと思ったんです。だから、お子様たち自身にオンラインで呼び掛けて、参加してもらえるようなイベントができれば喜んでもらえるんじゃないかと考えました。それで、休館中にはZoomを利用し、キッザニアのスーパーバイザー(※お子様達の体験のサポートをする役割の職種)と『キッザニアダンス』を一緒に踊ることを通じ、お子様達と当社スタッフがコミュニケーションをする企画などを行いました」
キッザニアは営業時間を短縮するなど、さまざまなコロナ対策を講じて6月1日に営業を再開させた。閉館している時間帯の施設を使って、こども達に喜んでもらえるようコンサートを配信しよう、という企画は営業再開後すぐに立ち上がったという。
「『プレミアムズプロジェクト』総合プロデューサーのSocial Shimizuさんにも大いにアドバイスをいただきました。“プレミアムズ”さんは、お子様たちに“本物”を体験してもらうことをテーマに、さまざまなイベントを行うチームで、通常行っているコンサートは、お子様たちが単に観客として音楽を聴くのではなく、演奏中に興味のある楽器に触れたり、ステージに上って一緒に演奏してみたりすることができるような構成になっていたんです。そんなノウハウを、配信でも生かして、視聴するお子様たちが家にいながらにして参加できるコンサートをつくれるのではないかと考えたんです」
実際には、生配信中に「一緒に歌おう」「歩いてみよう」「座ろう」などのテロップが入り、ボーカルが画面越しに呼びかけることで、こども達の参加を促す演出を行った。
そしてもうひとつ、“体験できる”“参加できる”という点で、辰巳さんが注目したのが「音のVR」だった。
「映像のなかで、自分の好きなパートや楽器にズームしてその音に寄ることができるって、すごいことじゃないですか! 『音のVR』が紹介されている記事を読んで、実際に自分でダウンロードしてコンテンツを体験したのですが、本当に興奮しました」
「通常のライブ中継でも、複数のカメラの映像が切り替わって、いろいろなパートを見ることができますが、それはあくまで送り手側のコントロールとスイッチングです。でも『音のVR』ならば、お子様たち自身が自分で興味を持った楽器を選んで、簡単にズームし、アップで見たり聴いたりできる。これをキッザニアでのコンサートに取り入れたら絶対に面白いと思いました。それはもう、単に動画を見ているのではなく、参加している感覚に近いと思います。今後のキッザニアにおけるオンラインでの企画の新たな可能性が見えてきた気がします」
今回の「プレミアムズコンサート」の企画・演出・演奏を担当した、ソーシャルプロジェクト「プレミアムズプロジェクト」総合プロデューサーのSocial Shimizuさんも、「『音のVR』はまさに映像に参加できる体験」だという。
「僕たちのコンサートでは、今回のようなオーケストラとバンドの組み合わせやビッグバンドのセットもあるし、J-POPや演歌歌手の方をゲストで呼ぶこともあります。
全体で見てもパートに寄っても面白くなるように構成しているんですが、『音のVR』ならオンラインでそれを体感できると思います。“ピアニストかっこいいな! あ、でもいまバイオリンはどんな演奏をしてるんだろう?”というように、こどもが興味の赴くまま積極的に、まさに映像に参加し、聴きたい音を自分で選んで聴くことができる。そこがすばらしいですね」
「たとえば屋外でコンサートをすれば、音楽のパートだけでなく波の音や鳥の声にも寄れますよね。あと、プレミアムズプロジェクトではレストランの厨房体験なども行っているんですが、炒める音や包丁の音を『音のVR』で届けることができたら、家にいながら臨場感たっぷりの体感もできますね!」と可能性にワクワクが止まらないといった様子で語ってくれた。
さまざまな通信技術で生活をより楽しく
今回の収録を行った、「音のVR」の開発者であるKDDI総合研究所の堀内俊治は、さらなる「音のVR」の進化について語った。
「いつも用いている360°マイクの音源に代えて、ボーカルや楽器ごとに収録した、オンマイクの音源を用いることに挑戦しました。『音のVR』は、定点収録した、オフマイクのサラウンド音源を用いて、好きなパートに近づいたり遠ざかったりできる技術なのですが、オンマイクの音源を上手く用いることができれば、活用範囲をより広げられると考えたからです。みなさんとても元気で、楽しい現場でしたから、そのままの空気感、雰囲気を伝えられればいいなと思いながら、心を込めて制作しました」
そして、さらなる進化の可能性を述べた。
「いま考えているのは2つです。ひとつは用いる360°マイクの本数を増やすこと。これによって収録できる範囲が広くなりますから、いろいろなパートにさらに細かく近づくことができるようになります。もうひとつは、マイクを移動しながら収録すること。いまは中央に固定し、演奏する方々にはそれを取り囲むように配置いただいていますが、動かしながら収録することで、趣の異なる新しい体験が提供できるのではないかと考えています」
単にライブパフォーマンスを届けるだけでなく、家にいながらにして会場の臨場感が体感でき、オンラインコンサートの鑑賞とは異なるインタラクティブな音楽体験ができる「音のVR」。こうした通信のチカラで、生活をより便利にするだけでなく、豊かでワクワクした新しい体験価値を、KDDIはパートナーとともに今後もお届けしていく。
文:TIME & SPACE編集部
写真:落合由夏
※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。