2020/06/25
お近くのauショップで「手話サポート」! 相談から契約まで、ますます身近に
聴覚に障がいのある方にもスマホは必需品。auが取り組む3つの手話対応サービス
いまや誰にとっても生活必需品といえるスマホだが、それは聴覚に障がいのある方にも同じこと。テキストでのコミュニケーションや情報収集、さらにはビデオ通話を通じて手話でのコミュニケーションも可能にするなど、スマホは必要不可欠なツールだ。
にもかかわらず、いざ聴覚に障がいのある方がスマホの機種変更や新規契約をするとなると、これまでは筆談の対応に限られる店舗が多く、説明もコミュニケーションも十分とまでは至らない状況があった。
auでは、一部auショップに手話スタッフが常駐しているほか、店頭にあるテレビ電話を介しての手話通訳を利用してさまざまな手続きや疑問を解決できる「遠隔手話サポートサービス」など、手話対応サービスのさらなる充実を図っている。
ショップへ足を運ぶのが難しい場合には、「手話通訳による問い合わせサポート」を行っている。これは聴覚に障がいのあるお客さまと、お客さまセンターのコミュニケーターとのあいだに手話通訳者が入り、問い合わせや相談に応じるというサービスだ。
このサービスを利用すれば、ショップを訪れることなく、日本全国どこからでもスマホの使い方などさまざまな相談ができる。
ただし、機種変更や新規契約といった手続きは店頭でしかできないため、各種申し込みなどを行う場合には、やはり手話対応が可能な直営店まで足を運ばなくてはならないという課題は残る。
手話でのご相談や手続きをサポートする、店頭での「遠隔手話サポートサービス」
身近なauショップでの手話サポートを充実させるために開発したのが「auセルフアプリ手話対応」。以前より店頭に設置されていた「auセルフアプリ」端末にお客様センターと連携し、「遠隔手話サポートサービス」を導入し、店頭で提供しているすべてのサービスを手話で受けられるようになった。2019年11月から全国のショップに順次導入を開始し、2020年6月以降、全国の913店舗で順次利用可能となる。
この端末を使えば、店頭でも「遠隔手話サポートサービス」を利用できるので、どの店舗でも手話での相談や各種手続きが可能になるのだ。
では、聴覚に障がいのある方にとって、こうした手話での接客やビデオ通話といった手話対応サービスは、実際にどれだけ役に立つのだろうか。
ポップスや歌謡曲などの曲に合わせて手話で歌詞の世界観を表現する「手話歌」の魅力を伝える活動を続けているほか、東京コレクションにモデルとしても参加しているNyanko(にゃんこ)さんに体験してもらった。
手話での会話なら、筆談よりずっと多くのことを伝えられる
手話接客ができるスタッフが常駐するKDDI直営店「au SHINJUKU」を訪問。「機種変更を考えているので、おすすめの機種やお得な料金プランについて教えてほしい」というNyankoさんに、手話スタッフの三原毅がNyankoさんの要望に合いそうなスマホを紹介し、続いて同じく手話スタッフの藤澤真樹が料金プランや各種サービスについて丁寧に説明していく。
手の動きや、なにかを尋ねるようなしぐさや表情、その後に笑い合う様子などを見ていると、手話に詳しくない筆者でも会話がスムーズに進んでいることがわかる。
いろいろと気になっていたことが解決したNyankoさんは、「手話ができるスタッフさんがいると、とにかく話が早くて助かります!」と、とても満足した様子。これまで、手話スタッフがいない店舗を訪れる際は筆談で相談をしていたそうだが、手話のほうが言いたいことをコンパクトに伝えられるので、時間も手間も少なくて済む。
「聴覚障がい者がスマホを使う際の心配事について、わかってくれているだろうなという安心感がありますね」(Nyankoさん)
お客さまが求める情報を的確に汲み取る接客が評判を呼び、月に約180人が来店
普段から、聴覚に障がいのあるお客さまの接客をしているau SHINJUKU 手話スタッフの藤澤真樹と三原毅にも話を聞いた。
現在、au SHINJUKUに来店する聴覚に障がいのある方は、月に180人前後。平均すると、1日あたり6人が訪れている計算になり、手話ができるスタッフが常時2〜4名で店頭対応にあたっている。手話接客を開始した当初は、月に1〜2名が来店する程度だった。
「来店されたお客さまが別のお客さまにご紹介してくださり、今のようにたくさんの方に来ていただけるようになりました」(三原)
実は、三原と藤澤はともに耳が聞こえないが、同時に2人とも自身の個性を接客の強みに変えている。
「耳が聞こえないからこそ、聴覚に障がいのあるお客さまによるスマホの使い方の特徴や、必要としている情報がよく理解できますし、それに合わせた料金プランやサービスをきめ細かくご提案できると自負しています」(藤澤)
「たとえば、聴覚障がい者のコミュニケーション手段は、メールやチャット、テレビ電話がメインで、当然のことですが、通話機能は不要です。また、若いお客さまほど写真や動画をやり取りする割合が高く、月のデータ通信量が30〜50GBになるという方も少なくありません。
そのため、通信使用量が多いお客さまにはデータの上限がない料金プラン、そうでもないお客さまには月々のデータ使用量に合わせたプランをご紹介するなど、ニーズに応えたご提案ができていると思います」(三原)
「手話でのコミュニケーションは多くのことを早く伝えられるので、ぜひauのいろいろな手話対応サービスを知って、気軽に利用していただきたいですね」(藤澤)
実は、三原と藤澤は手話対応の取り組みが評価され、企業で活躍する障がい者を表彰する「ACEアワード」において、三原は2014年の初代グランプリ、藤澤は2017年のグランプリを獲得している。自分の力だけでは解決できない困ったことがあったら、ぜひ相談してみてほしい。
手話スタッフがいない店舗でも、気軽に手話サポートを受けられる!
次に、Nyankoさんに店頭での「遠隔手話サポートサービス」を試してもらった。手話スタッフによる対応が充実しているau SHINJUKUには遠方から来店するお客さまも多く、同等のサポートを全国のショップで受けられるようにするために、au SHINJUKUの手話対応のノウハウをヒアリングしながら開発されたサービスだ。
こちらは、Nyankoさんと画面に映る手話通訳コミュニケーターが手話で会話しているところだ。
先ほど同様、料金プランやおすすめの機種について、画面に映る手話通訳コミュニケーターに手話で質問していくNyankoさん。店頭での手続きが必要な内容については、手話通訳コミュニケーターが音声で店舗スタッフに連絡。店舗スタッフは、端末横の受話器でコミュニケーターと会話し、その内容をコミュニケーターがお客さまに手話でフィードバックする、という流れだ。
様子を見ていると、コミュニケーターの通訳を介して、店舗スタッフとNyankoさんとの意思疎通も取れているようだ。遠隔手話サポートサービスを利用したやりとりもスムーズな印象を受けたが、Nyankoさん自身はどう感じたのだろう。
「この遠隔手話サポートサービスを使えば、手話ができない店舗スタッフさんとも手話通訳を介して相談ができるなんて、本当に便利だと感じました。通訳の方との会話も、とてもスムーズにできましたし、説明も丁寧だったので十分満足しています。これが全国のショップで使えるようになったら、最寄りの店舗で機種変更ができるので、早速使いたい(笑)。そして、このサービスが各店舗にあれば、ちょっとしたことがすぐに聞けるという安心感がなにより大きいです!」(Nyankoさん)
手話対応サービスの存在を広めることもサポートのひとつ
これまでNyankoさんは、スマホ関連でわからないことが出てきたら手話ができる友人に聞くか、ネット検索することが多かったそう。
「それでもわからなければ……放置です(笑)。それ以上に聞ける人がいなかったので」(Nyankoさん)
全国のauショップへの遠隔手話サポートサービスの導入は、聴覚に障がいのある方にとって心強いものになるだろう。気軽な相談から契約手続きまで、利用しやすい最寄りの店舗でau SHINJUKUと同等の手話サポートを受けることができるようになるのだ。
一方で、これは手話対応サービスを必要としない人にも大切な情報といえそうだ。こうしたサービスの存在を知って周囲に広めれば、それを必要とする人のサポートにつながっていく。KDDIが取り組んでいる、店頭での手話接客や遠隔手話サポートサービスについて、身近に必要な方がいたら教えてあげてほしい。
文:知井恵理
撮影:有坂政晴
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