2020/06/22
コロナ禍でも「つながる」を届けるために… KDDIで通信を守り続けた人たち
未曾有の事態において通信事業者は、指定公共機関として社会のライフラインである通信を安定的に支えなければならない。ときには一企業の垣根を超えた活躍を求められることもある。
2020年1月から新型コロナウイルス感染症の影響により、国内でさまざまな事態が発生した。そしてその裏には、“つながること”を守るために動くKDDI運用本部スタッフの姿があった。
新型コロナウイルス感染症との闘い
2月3日夜、巨大クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に到着。新型コロナウイルス感染症に対する緊張感が高まりつつあるなか、現地にはKDDI運用本部のスタッフも駆けつけていた。
実は、現地で携帯電話がつながりづらく、政府関係者や医療従事者が困っているという話が舞い込んできたのだ。携帯電話がつながらないことで遠隔でのやり取りができず、感染リスクがあるなかで人の往来が幾度となく発生する事態が起きていた。
実際に、自動車に基地局が搭載された車載型基地局で現地に向かった「KDDI 運用本部 サービスコントロールセンター」副センター長の廣瀬一也に、当時の話を聞いた。
「通常時以上にたくさんの方々が埠頭に集まり、通信を頼りにされていることは容易に想像できました」
本来、廣瀬らが所属する運用本部 サービスコントロールセンターは、auの携帯電話の通話やデータ通信が安定的かつ快適にやり取りできているかをチェックし、ネットワークを監視すること。しかし、彼らはそれらの通常業務を行いながら、新型コロナウィルス感染症という未知の難局に直面する人々に、通信環境を提供する任務の準備を開始した。
横浜港に到着した運用本部のスタッフは、冷静に埠頭周辺の図面を確認しながら電波状況をくまなく測定し、車載型基地局の設置場所を探した。これは、一時的に音声通話の接続数やデータ通信量が増える屋外の大型イベントなどの対策で培ってきた経験があるからこその動きといえる。その甲斐もあり、時間を費やすことなく必要な対策を講じることができた。
また、日本に一時滞在する乗員の支援も行った。船員を含め、乗客は多国籍。下船したものの、家族や大使館と連絡が取れない状況が続くなか、乗員たちの通信環境を整え、つながることの安心感を届けた。
廣瀬らの仕事は直接、命を救うものではない。だが、通信を守ることが、人々の暮らしや心、そして安全を守ることにつながっていた。
急変するトラフィック
運用本部の闘いは、4月7日に発令された緊急事態宣言を受け、さらに加速する。テレワークの増加に伴い、トラフィック(通信量)が急変したのだ。
「自然災害や大規模障害の場合は、地域や場所も特定でき、壊れた機械を直すことで目途が立ちますが、今回の事態はそうではありません。国内・海外両方のトラフィックが日々変化し、前日に行った対策が次の日には効かないといったこともあるため、変化をいかに早く察知し、予測を立て、運用対策と設備増強などの対策をとることがとても重要になります」
KDDIでは、auの携帯電話の通話やデータ通信の拠点となる日本全国約20万カ所の基地局が正常に稼働しているかをチェックし、常にお客さまが安心して携帯電話を使えるように、24時間365日体制でネットワークを監視し続けている。
在宅勤務やオンライン授業など、お客さまの通信量や利用環境が変化しても、いつもと変わらぬ安定した通信を提供し続けるため、廣瀬をはじめとする通信状況を監視するメンバーたちは、日夜、ネットワークを見守っている。
「『24時間365日通信を守る』という考えに変わりはありません。世の中の人たちが外出自粛を強いられるなか、『 “つながること”を支えるんだ』という社会的責任を果たすべくみんな頑張ってくれています」
24時間365日、通信を守り続けるために
廣瀬らには“つながること”以外にも守らなくてはいけないものがある。スタッフの安全を確保することだ。自分たちが感染してしまったら通信を守ることもできなくなってしまう。
そこで、感染防止策について次々と手を打った。エントランスに体温計測用のサーモグラフィーを用意したほか、接触を極力減らすべく、各部署の協力を得て運用本部専用のエレベーターを設定。
通信状況をチェックするオペレーションルームに入る際の検温・消毒の徹底はもちろん、感染者が出た場合に備えた訓練、保管されていた防護服を試着し、いざという場合に機敏に動けるか装着感を確認。さらに、ソーシャルディスタンスを確保するために、一部社員のテレワークやほかの事業所への分散配置も行った。
新型コロナウイルス感染症が感染拡大期に入る前からさまざまな打ち手を講じてきたが、それでもまだ十分とはいえない。自身の感染リスクや、出勤に対する家族の不安。事態の深刻度が増すにつれて、不安の声も大きくなってきていた。
「みんなの話を聞いてみると、家族から『どうして出勤しなきゃいけないの?』と心配されることが多かったんです。そうしたご家族の不安を少しでも和らげられたらと思い、始めたのが監視メンバーへのマスクと消毒液の配布です」
最近になってようやく供給体制が追いついてきたものの、当時はこうした物資もなかなか手に入らなかった。廣瀬らはさまざまな調達ルートを駆使してなんとか物資を集め、小分けにして一人ひとりに渡すことができた。
感染を防ぐためにできるかぎりの対策を取りながら、日本全国のauの通信インフラが正常に機能しているかを確認し、もしトラブルが起きても迅速に対応することで、いまも通信をつなぎ続けている。
ぱぱ おしごと がんばてね
新型コロナウイルス感染症が広がるなか、廣瀬と息子(6歳)とのあいだでこんなやり取りがあった。
息子「まわりのお父さんやお母さんはお家にいるのに、どうしてパパは会社に行くの?」
廣瀬「パパがいないと、おまえが大好きなYouTubeを見られなくなっちゃうんだ。だから、パパは頑張ってお仕事しているんだよ」
やり取りを振り返りながら、廣瀬は照れくさそうに話す。
「どこまでちゃんと伝わっているかわかりませんが、家族と仕事の話をする機会が増えたと思います」
そして、4月末日、廣瀬が仕事から帰宅するとリビングに置き手紙が置かれ、そこにはこう書かれていた。
ぱぱ おしごと がんばてね
ぱぱ だいすき
息子はこの春から小学生。本来であれば、今頃新しい生活にワクワクしていたはずだった。
「学校にも行けず自宅にこもりきりで、かなりストレスが溜まっているはずなんです。それなのにこうした手紙を書いてくれたことが、すごくうれしかったですね。
今、いろいろな人たちがそれぞれの持ち場で闘ってくれています。私たちは通信事業者としてできること、“つながること”を守るために全力を尽くします。この事態を乗り切るために、一丸となって取り組んでいきたいと思います」
どんな状況であっても、お客様に安心してスマホや通信サービスを使ってもらう。そのために、KDDIは“つながること”を守り続けている。
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