2020/02/10

ドアを通れば別世界! アウト オブ キッザニアで未来の社会見学を体験

2020年1月11日と12日、岩手県滝沢市にて『アウト オブ キッザニア in 滝沢』が開催された。これは、子どものための職業体験施設『キッザニア』の出張版。東京・豊洲と兵庫・甲子園にある『キッザニア』の街を飛び出して、全国の子どもたちにリアルな職業体験をしてもらうイベントだ。

アナウンサーや時計職人、駄菓子屋さん、水道工事屋さんなど、数々の職業体験ブースが軒を連ねるなか、KDDIは滝沢市からの「子どもたちに先端技術体験を」との声に応え、「XR Door」ブースを出展した。

ドアを開くと別世界が広がる「XR Door」とは

出展ブースのタイトルは、未来の社会見学「XR Door 〜おもしろいほうの扉へ〜」。

KDDI出展ブースに掲げられた看板

「XR Door」は、ゴーグルなどの専用機器は使用せず、目の前にかざしたスマホの画面で手軽にXR体験ができるというもの。2019年10月に幕張メッセで開催された、デジタルや家電などの最新技術・情報を一堂に集めたイベント「CEATEC 2019」においてKDDIが発表し、好評を博した技術である。

「XR」とは、360°カメラで撮影した映像をゴーグルなどで視聴し、あたかも現実の出来事かのような体験ができるVR(仮想現実)や、スマホなどのカメラを通して見た現実の風景にそこにはない情報や映像を重ね合わせるAR(拡張現実)など、現実世界と仮想世界を融合させた新しいリアリティ体験の総称。

ガランとした会場には青いドアがひとつ置かれている。そして、その前の床にはマーカー。

KDDI「XR Door」ブース
KDDI「XR Door」ブース

スマホで「XR Door」アプリを起動してカメラでマーカーを認識すると、画面内に現実とそっくりなバーチャルのドアが出現する。位置もピタリとシンクロ。そして画面内のドアをタップすると開いて、バーチャルな世界に足を踏み入れることができる。

「XR Door」アプリで会場を見た様子

ドアの向こうに広がるのは、巨大なスタジアムや海中、広大な国立公園など、世界のどこかに実際にある場所。菜の花畑では、ひらひらと飛び回るチョウを追いかけることができ、見上げれば青空がどこまでも広がっている。それは「スマホ越し」に見る仮想世界だが、自分の移動やスマホを持った腕の動きと完全にシンクロしているので、ゴーグルをつけていなくても、そこに実在しない空間への「没入感」は非常に高い。

さて、子どもたちの反応やいかに?

子どもたち、バーチャル空間への対応が早い!

用意したのは、こちらのスマホ。Galaxyの折りたたみ式スマホ「Galaxy Fold(ギャラクシー フォールド)」。

サムスンの折りたたみスマホ「Galaxy Fold」

折りたたんだ状態で見えている外側のディスプレイは約4.6インチだが、開くと約7.3インチの大画面のディスプレイとなる。子どもたちはこの最先端のスマホで「XR Door」の世界を体験した。「本を開く」ように画面を開いて「学ぶ」、未来の社会見学をイメージした。

ブースに集まった子どもたちは、まずはKDDIスタッフのレクチャーを聴く。

「XR」のレクチャーを受ける子どもたち

「みなさん、XRって聞いたことがありますか?」
いきなりの問いに黙り込む子どもたち。
「ではVRは? まるで現実であるかのようにそこにない現実を見せる技術です」とVRゴーグルを掲げるスタッフ。

「スマホのゲームで『ポケモンGO』とか『ドラゴンクエストウォーク』をやったことがありますか? あれは“現実世界にないもの”を現実の映像に重ね合わせた『AR』。拡張現実といいます。そうした『AR』と『VR』を組み合わせた技術が『XR』なんです」

「Galaxy Fold」を操作する子どもたち

Galaxy Foldを1台ずつ渡されると、子どもたちは“折り畳まれたスマホ”に興味津々。ニコニコしながらディスプレイを開き、画面内のドアをタップ。

「Galaxy Fold」を操作する子どもたち

まさに新たな世界への扉が開く瞬間。目の間のドアをくぐると、なにもなくガランとしていたはずの会場が、見たことのない世界へと一変する。

「XR Door」を体験する子どもたち

目の前に広がるのは、夜空いっぱいのオーロラや、東京のサッカースタジアム、あるいはアメリカ・ユタ州の真っ赤な岩肌だ。

「XR Door」アプリで扉を開いた様子 Galaxy Foldの画面越しに、海中の世界からドアの外を見ると、現実の景色が広がっている

こちらはモルディブの海の中。見渡せばまわりに魚が泳ぎ、ダイバーの姿も。画面の中のドアの外には、現実の世界が見えている。そして、現実のドアをもう一度くぐると、画面の中も現実の世界に戻る。

「XR Door」でオーロラの世界を体験 アラスカのオーロラの世界に没入している様子。オーロラはとくに女の子に人気が高かった

実際にはなにもないスペースで、体験している子どもたちはスマホ内に広がる世界に夢中だ。スマホを見ながら移動するためイベント会場はガランとした空間になっていたが、子どもたちがぶつかったり転んだりしないよう、配慮しながらイベントは進められた。

「XR Door」を体験する子どもたち

彼らがどんな世界を体験したのか? 実際のスマホ画面の様子はこちら。

遊びのなかから学びを得る! 子どもたちはどう感じた?

「XR Door」を体験する子どもたち

2日間のイベントで4歳〜15歳、合計176人の子どもたちが「XR Door」を体験した。 以下、子どもたちの感想をアンケートから抜粋する。

「技術でいろんな場所に行けるというITをもっと知りたいです」(8歳・女子)

「XRで見ると実際のところにいなくても、違うところで楽しめる気分でとても楽しかったです。XRだと見え方も面白いなと思いました」(9歳・男子)

「将来、この技術を使ってもっと楽しいことができると思うとワクワクする」(11歳・女子)

「XR技術のことがもっと知りたいと思いました」(11歳・女子)

「端末を見てドアの中に入ると、すごい景色を見ることができたのでよかったです」(8歳・男子)

「もっと新しい技術について知りたいと思いました」(10歳・男子)

「本当に違う色々な世界の国に行っているような感覚で、どうやったらできるのか知りたくなりました」(8歳・女子)

「未来ではもっと技術が進歩しているんだろうなと確信しました」(11歳・男子)

「日本や世界の技術について、もっと知りたくなった」(9歳・女子)

XR Doorを楽しむ子どもたち
XR Doorを楽しむ子どもたち

子どもたちは会場に来るまでは知らなかった「XR」という概念を自然に学び、肌で感じた先端技術にワクワクし、未来に思いを馳せたり、「XR Door」で体験した世界の様々な場所に興味を持ったことが伝わる。

先端技術を活用した「エデュテインメント」「地方創生」

KDDIは、5GやIoTなどの先端技術を活用し、子どもの成長のための新しい体験価値を共に生み出すべく「キッザニア」を運営するKCJ GROUPと包括的なパートナーシップを構築している。一方で、2019年3月に滝沢市と地域の活性化を目指してパートナーシップを結んだ。そのようななかで今回の「先端技術体験ブース」が実現したのだ。

「アウト オブ キッザニア in 滝沢」の出展テーマは「5GやIoTなど先端技術を子どもたちに体験してもらうことを通じて地方創生を実現すること」。

ブースの企画・運営を担当したKDDI auスマートパス推進部の隅野景に、この取り組みの狙いと成果について話を聞いた。

KDDI auスマートパス推進部の隅野景 KDDI auスマートパス推進部 隅野景

「今回の『XR Door』による先端技術体験は、イベント実行委員会の方々の『地方にあっても子どもたちに最先端の技術に触れさせたい』という思いに応えるかたちで実現しました。地方と都市部の格差を改善することは、KDDIが取り組む地方創生の重要なテーマです。

また、次世代を担う子どもたちを育むことは、キッザニアをパートナーとしてKDDIが実現したいことのひとつです。子どもたちにとって『楽しみながら学び体験する=エデュテインメント(Education + Entertainment)』の機会になるよう企画・運営を工夫しました。

アンケートに『将来はもっと楽しいことができると思うとワクワクする』と書いてくれた子がいました。子どもたちが自分の未来に期待感や可能性を感じてくれたようです。今回、KDDIブースを体験した子どもたちのなかから、将来は技術開発の道に進んだり、技術を活用して地方の課題を解決していく人材が育ってくれるとうれしいですね」

終始、笑顔を絶やさず子どもたちと向き合っていた隅野は頬を緩ませる。

XR Door体験者に笑顔で接するKDDI隅野

先端テクノロジーに触れることで、子どもたちが未来に期待や可能性を感じられるようになることこそ、KDDIが目指すエデュテインメントの姿なのだ。

写真:中田昌孝(STUH)
文:武田篤典

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