2019/12/06
| 更新
2020/02/27
令和時代を生き抜く侍へ! 兜型のスマホケースを作る
スマホケースというものがある。ケースをつけることでスマホを守りつつ、オリジナリティも出せる。スマホユーザーの多くは利用しているのではないだろうか。スマホとケースは、もはやセットなのだ。
そのスマホケースに、よりオリジナリティを出したい。なるべく他と被らない、自分だけのケースをつけたいのだ。そこで作ろうと思う。この現代を生きる我々に適したオリジナルのスマホケースを。
オリジナリティの塊
オリジナルに惹かれる。外出したときに、他の誰かと同じ服を着ていると急に照れてしまう。感性が同じ人に会えたという喜びもあるのだけれど、恥ずかしい気持ちのほうが強い。これが大量生産の弊害だ。
私も被るのは避けたいと思って生きている。普段着ているTシャツも被ることを避けてオリジナルで作っている。最近はパーカーも、アウトドア用のジャケットもオリジナルで作っている。ナンバーワンにならなくてもいいけれど、オンリーワンにはなりたいのだ。
スマホは被るんです!
オリジナリティを出したいけれど、スマホ自体は被る場合が多い。たとえば、auの2019年秋冬モデルのスマホはiPhoneを含めて10種類。冷静に考えれば多いけれど、世界の人口を考えれば、被る可能性が高い。そこでオリジナリティを発揮するにはケースで差をつけるということになる。
KDDIからのご提案
オリジナルのスマホケースを作ろうというのは、KDDIからのご提案だった。Tシャツとか散々オリジナルを着ているのだから、スマホケースもオリジナルで作ればいいのでは? というナイスなご提案だ。そして、作るケースについていくつかのリクエストがあった。
半谷「いよいよ2020年春から次世代通信5Gが実用化されて、4Gから5Gの時代になっていきます。新しい時代がやってくるわけです。次世代が始まるのです。そんな時代を反映したスマホケースを作れないものかと考えています」
地主「いいですね! 時代を反映したスマホケースはカッコいいと思います!」
半谷「また、2020年はau誕生から20周年の年でもあります。ガラケーからスマホに変わり、ケースもいろいろ変わってきました。昔は皮のケースでベルトにつけるタイプなどもありましたが、最近はいろいろなケースが出ています。イメージも変わりましたよね」
地主「つまり5Gを感じさせ、さらに20周年感があるといいんですね!」
半谷「そうですね!」
地主「おまかせください! 新時代のケースを作ります!」
au20周年ということは、20歳ということだ。私が20歳の頃と思うと、特になにもしていなかった。歴史上の人物を見ると、織田信長は20歳で織田家の頭領になっている。さらに後の豊臣秀吉を召し抱えるなど、彼の時代の幕開けの年とも言える。
竹中半兵衛は20歳で稲葉山城を1日で奪取している。20歳とは記念すべき年であり、新時代を切り開く年でもあるのだ。ということで、いろいろ考えた結果、20周年で、次世代のスマホケースとなると下記のようになるのではないだろうか。
歴史上の20歳の偉業からのインスパイアを形にすると、 “20周年は兜”ということになる。ある意味、我々は現代で戦う侍。令和を生き抜く侍なのだ。兜のひとつくらいは持っておいて損はない。ただ、邪魔だ。でも、それがスマホケースならどうだろう。実用性しかないではないか。
5Gをどう表現するか考えたところ、兜の立物を「5G」にすることにした。直江兼続は立物に「愛」という文字を使い、真田幸村は「六文銭」を使った。現代ではなにになるのか? と考えると「5G」ということになるのだ。これが次世代のスマホケースなのだ。
兜について学ぶ
5Gとau20周年から、兜という奇跡的なスマホケース案が生まれた。だからこそ、しっかりとした兜を作りたい。しかし、私は兜について特別に詳しいわけではない。学ばなければならない、兜について。
埼玉県川越市にある「川越歴史博物館」は多くの兜を展示している。そこで館長さんから話を聞き、さらに兜を見て、兜について学ぼうと思う。そうすることで、より素晴らしい兜型のスマホケースを作ることができるのではないだろうか。
兜を含む鎧は、その時代の総合芸術のようなものだったという。工芸、染色、板金など各種の職人が分業で作り、ひとつの鎧を作るのに20人から30人が関わっていた。値段は現在の金額で1,000万円から2,000万円もしたそうで、鎧を作ったために貧乏になる家もあったほどだ。
鎧は鉄で作ることもあれば、軽くして動きやすさを重視するために馬の皮で作られることもあった。鉄で作られた兜は2.5kgもある。鎧全体では25kgほど。かなりの重装備だ。当時の人の身長は150cmくらい。スタミナの塊だったわけだ。
兜は黒だったり、赤だったり、銀色だったり、金色だったり様々なカラーバリエーションが存在する。もちろん、兜についている立物にも意味がある。盃の場合は「相手をすくい取る」という意味があり、月の使いと信じられていたウサギやトンボ、毛虫は後ろに進まないので、「前進あるのみ」という心意気を表した。
ただ、基本的には「目立つ」ということが大切だった。万が一、戦死した場合に「戦場にいた」証拠を派手な立物で示すことにより、今でいう二階級特進みたいなものがあったそうだ。とにかく存在感を出すことが重要だったのだ。デザインは基本的に鎧を作る人の自由。そのため、いろいろな鎧が残っている。
また、神を宿すこともあった。春日神(かすがのかみ)や八幡神(やはたのかみ)、天照大神(あまてらすおおかみ)などを鎧にあしらったのだ。鎧にはいろいろな思いが込められている。守り、目立ち、神を宿す。これが兜を作るうえでのポイントだ。さっそく作ろうじゃないか。
兜型スマホケースを作る
兜のことを学んだので、現実的に可能なもので兜型スマホケースを作ろうと思う。だって鉄で兜を作る技術はないし、馬の皮を加工する技術もない。見た目を重視した兜を作るのだ。ただ「守る」ということは大切にしたい。
安全を守るためのヘルメット。いいチョイスだ。絶対に守ってくれるだろう。ちなみにスマホを守るのではない。守るのは「頭」だ。スマホケースの歴史上、スマホではなく頭を守るケースがあっただろうか。ないはずだ。これが次世代なのだ。
ちなみに、この製作工程はかなりのダイジェストでお送りしている。鎧の知識は学んだけれど、工作の知識はないので手探りだ。最初は樹脂板をカッターで切ろうとしたがまったく切れず、急いでホームセンターに走りはんだごてのようなものを買った。作業時間よりもホームセンターにいる時間のほうが長いほどだった。
切った樹脂板は毛羽立っているので、紙やすりで滑らかにする。紙やすりの番手を変えて削っていくのだけれど、これがまあ時間のかかることかかること。ここまでで、すでに3日が経過している。兜が分業制の総合芸術だった意味がわかる。ひとりでは無理だ。
私もひとりでやっているのではなく、編集部のスタッフや、編集部の知り合いの「あの人、手先が器用だった気がする」という人を呼んで作業した。私だけでは無理なのだ。「気がする」だけの、なんの確証もない人すら呼んだのだから。実際、その人は器用だった。
兜という選択は現代の要素も入っている。2019年、ラグビーの祭典が日本で開催され、日本代表は予選プールを全勝して初のベスト8に駒を進めた。その日本代表のユニフォームも、兜をコンセプトにしている。このスマホケースは時代を反映しまくっているのだ。
完成が見えてきた。あとは色をつけた立物をヘルメットにつけて、三脚のようなものを同じくヘルメットにつければ完成だ。ここまで5日。長い制作期間だった。渾身の兜型スマホケースの完成だ。
スマホケースを使いこなす
ついに完成した兜型スマホケース。5G(ファイブ・ゴット)という神も宿している。上の映像では一瞬すぎてわからなかったかもしれないが、塗装などは甘い。これは私の技術的な問題だけれど、エイジングだと思ってほしい。
とてもよく目立つ。銀色の月に、金色の5G。中央にはスマホが配置されている。スマホをカバンやポケットに入れる時代は終わり、立物として兜になる時代が来た。それが5G、次世代なのだ。しかも、考え抜かれている。
普通に使うぶんには縦でいいけれど、動画を見るときなどは横にする。横にしてどこかに置きたいときは、スマホスタンド的なものがないと安定しない。しかし、このスマホケースならば、安定して置くことができる。快適な動画生活が送れるのだ。
ちなみに、私は兜以外にも鎧をつけている。これは作ったわけではない。レンタルだ。あくまで今回はスマホケースなので兜以外は必要なかったのだが、雰囲気を出したかったので一式レンタルしたのだ。
多くのスマホケースが、ケースに入れたまま写真を撮ることができる。それはこのスマホケースも同じだ。バンバン写真を撮ることができる。片手で撮れちゃうのだ。便利。どう写っているかは確認できないよ、頭の上にあるから。でも、偶然が芸術を生むのだ。
スマホを動かして求めるアングルを作るのではない。自分自身が動くことで理想のアングルを作るのだ。そのアングルは確認できないよ、頭の上にあるから。偶然が芸術を生むのだ。芸術とはそういうことなのだ。
必ずしも正面で撮る必要ない。撮りたいものを後頭部に持ってきて、シャッターを押すテクニックも披露できる。先ほどと同じで画面は確認できないよ、頭の上にあるから。ただ、それが次世代ということにしたいと思う。
電話がかかってくれば、兜内に響く。「脳内に直接話しかけています」みたいな状態で響くのだ。もちろん、そのまま出て、ハンズフリーで話せば両手はフリーだ。持たなくていい。しかし、もちろん持って話すこともできる。
電話がかかってきているのに気づかなかった、ということがないのだ。なんて便利なスマホケースなのだろう。もちろん弱点はあって、頭が若干重い、画面が見えないなどもあるけれど、ただ兜をかぶるよりはスマホケースという機能があるぶん、便利だ。
兜はスマホケースにかぎる
これが20周年、そして5G時代のスマホケースだ。兜に鎧姿で、すっかり戦国時代にタイムスリップしたみたいに見えるけれど、5G時代への期待とau20周年記念をスマホケースに落とし込んだ結果である。これが次世代のスマホケースなのだ。画面を直接見ることはできないが、それが“次世代”というものである。いまだかつて、そんなスマホケースは存在しなかったはずだ。
そして! au20周年記念として、このスマホケースをプレゼントします。……と言ってはみたものの、ほしい人がいるかという点において不安なので、編集部にお願いして「ほしい!」ボタンを付けてもらった。この数字が上がるかどうかでプレゼント企画が実施されるといっても過言ではない。私は読者の方に次世代を体験してほしいのだ。
ちなみにこのスマホケース、発送が非常に難しいため、当選者のもとへ私が手渡しで届けようと思う。
そのうえで「ほしい!」ボタンを押すかどうかは、各自で判断してください!
##追記##
プレゼントをしました。
この記事で作った兜をプレゼントするべく、欲しい方を募集いたしました。なんと289名の方から「ぜひほしい」「ほしくてたまらない」「家宝にしたい」などとご応募いただきました。ありがとうございます。10人くらいかな、と思っていたので正直驚きました。いつの間にか兜は、巷で憧れのアイテムになっていたんですね。
公正に公正を重ねた抽選の結果、東京に住んでいるAさんにこの兜が当選いたしました。
Aさんは20代前半で、金融系のお仕事をされているそうです。「仕事に兜をつけて行ってください」とお伝えしたところ、「無理です」という至極真っ当なお答えをいただきました。ただ、「家宝にします! 家に飾ります! アクリルケースに入れます!」と言っていただけたので、「マジで?」と正直なリアクションをしてしまいました。とにかくうれしいお答えでした。
ご覧の通り、私よりAさんのほうが似合っていたので、選ばれるべくして選ばれた方だと思います。再度時間をおいて、「仕事に兜をつけて行ってください」とお伝えしたところ、「無理です」という至極真っ当なお答えをいただきました。でも、似合っているので、割と自然になじむのではないかと思います。
さっきから兜と言っていますが、本当はスマホケースです。兜型スマホケースです。しかし記念撮影をするとき、Aさんは自然に、太陽が東から昇るように、夏が暑いように、当たり前のようなしぐさでスマホケースからスマホを取って撮影していました。それが兜型スマホケースなのです。
とても喜んでいてくれたので、プレゼントできてよかったと感動しました。Aさんは法螺貝を吹く私を何度も振り返っていたので、私との別れが寂しかったのだと思います。Aさんには今後も兜をかぶり、現代という戦国時代を生き抜いていただきたいと思います。すぐには捨てないでね!
イェーイ!
みんなの「ほしい!」がプレゼントに!?
たくさん集まるとプレゼントになるかも!!
文:地主恵亮
撮影:有賀誠文
取材協力:川越歴史博物館、戦国ぷらす
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